魔刃騎甲──救出 二
「あれは、
村民のひとりがその勇壮なる巨大な背を見つめ叫ぶと周りから歓声が上がった。助けが来てくれた。領主を継承したばかりの新たな
『ヤロウッ、どっから湧いて出やがったッ!』
だが、歓声も束の間。
『な──にいッ!?』
だが、構い無しに先行してきた〈ザートン〉頭部が突然、何かに撃ち貫かれ、へしゃげ、後ろへと吹き飛んで行った。
──銃撃!? 姿なんて見えねえぞっ。どっからッ!!?
後方を進んでいた〈ザートン〉が吹き飛んでいく
発砲──
戦熱甲弾は可視化された赤い魔力の尾を引き未だ背を向けたままの〈ハイザートン〉を襲う。
──っッッ!!?
しかし、戦熱甲弾が〈ハイザートン〉をとらえることは叶わなかった。突然真横から中空を滑り込むようにして、巨大な
『なん、だ、ぁ──ッッッ!!?』
何が現れたかと思うも一瞬、
灰色装甲は中空で回転を繰り返し衝撃を抑えてから脚部を突き出し地面へと着地すると村民達を護るように軍服達の前に立ち塞がると装甲を縦に割開き、魔刃騎甲の姿を晒し両腰に装着された特殊な魔騎装銃を奴らに構えた。
それを確認するかのように水色の〈ハイザートン〉は力強く前方へと進み、強襲を仕掛けてくる二体の魔刃騎甲へと反撃を仕掛ける。
『指揮官騎がァっ、〈ギーヴォル〉の前にノコノコと突っ込んでえッ!』
『わ、うわぁぁあッッッ!』
撃ち貫かれた味方騎の無惨な姿に半狂乱となったもう一騎の〈ギーヴォル〉は魔騎装銃を放り投げ、
瞬間、水色〈ハイザートン〉の
迫りくると感じた瞬間には既に水色〈ハイザートン〉は撃ち抜いた〈ギーヴォル〉の胴体を足場とし、左腕に握った赤く発光する
水色〈ハイザートン〉は
最後に残った
『どんなスゴ腕だろうと〈グラーゲ〉の性能差には適わねえって事を知りなッ』
細長な銃口から水の飛沫が上がり黄色の肥大な脚部を地に固定し
水色〈ハイザートン〉はその迫りくる可視化された水の魔力弾に対し、瞬時に脚部を深く沈め、体勢低く回避行動を取る。掠め過ぎる水圧流弾をものともせず前へ前へと姿勢低く駆ける。
『ヤロウッ、水遊びが趣味じゃねえならッ』
迫りくる〈ハイザートン〉に〈グラーゲ〉の鋏型両腕部に掴まれた長槍の刃先から紫電が迸る。
『黒焦げに焼かれて痺れなああぁっ!!』
〈グラーゲ〉は水色〈ハイザートン〉へと
魔力の電流が〈ハイザートン〉に迫ろうとした瞬間──〈ハイザートン〉は
目標を一瞬のうちに見失い超電磁長槍を地面へと突き立てる〈グラーゲ〉の無防備な装甲だけは厚い頭部へと飛び移るように垂直落下すると、可視化された魔力の焔を燃え上がらせた鋼刃剣を巨大な単眼に突き立てる。頭部装甲全体が真っ赤に熱上がり、剣を引き抜き蹴り飛ばすと同時に爆発を起こした〈グラーゲ〉頭部を丸ごと失い無様な格好で地に仰向けと倒れるのだった。
『か、勘弁してくれよッ。投降するからッッッ!』
『へ、へへ、すぐに投降するからよ、後ろ向きにしてくれって、これじゃ──はァッッ!?』
投降を求めた男の映り悪い
『よせ、まさか
泣き叫ぶ男の声を無視し、〈ハイザートン〉は鋼刃剣を突き振り下ろす。
鋼刃剣は魔操術器では無く鋏型の腕部を貫く、魔操術器内の男は恐怖におののき失神でもしたのだろう。声が戻って来ることは無い。
──ゲス
水色〈ハイザートン〉の
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