邂逅 「ヒーロー」
アステル/ヴァル
第1話 あこがれ
世界が終わりかけたあの事件が収束し、人々がその事件を忘れ
復興、日常へと戻って数日
事件を解決し、唯一事件の内容を覚えている
取り戻せたかけがえのない日常を噛み締め、お互いは平穏な毎日を過ごしていた
そんな二人とすべてを忘れた二人の大切な人。その4人のお話
明星 剣は
「つるぎ~今日はゲーム買いたいなーゲーム屋さんいこ~?」
「お、ゲームか!どんなものを買うか決まってるか?」
「ん~…決まってない!見てみてから決めるんだ~」
そんな他愛のない会話をしていると天路 凛とその妹の
剣がお、凛じゃないかと気さくに声をかけると凛はあ、どうも…と返事をする
そんな様子をみていた日華と暁は初めて見る人だけど剣と凛は違うみたいで不思議に思っていた
「つるぎ~知り合い?」
「兄さん、誰ですか?この人は」
えっと…と言葉が詰まる凛を見て剣は少し微笑んで友人だよと言った
つるぎの友達!目を輝かせている日華、ふーん…と少し警戒気味な暁
そんな雰囲気を感じ取った剣がふと言う
「偶然出会ったのもなにかの縁だ、一緒に皆で食事でもどうだ?ここにうまい店があるんだ もちろん俺が奢るよ」
「え、悪いですよおごりなんて…」
「まぁまぁいいじゃないか。連絡は取り合っていたがこうして出会うのは久々なんだしな それに二人は初対面だろ?親睦も深められたらと思ってな」
「初対面…初対面なんですね…わかりました、剣さんがそこまで言うなら」
そして飲食店に向かい、テーブルを4人で囲い、注文したメニューを待ちながら会話を始めた
「じゃあ改めて自己紹介だな。俺は明星 剣だ。一応料理人をやってる…さ、日華も」
「え、えっと、明星 日華です!つるぎとは家族のようなもの…かな」
「えっと、天路 凛です…スーツアクターをしています」
「……天路 暁です。学生やってます」
そうやって皆の自己紹介が終わり、沈黙が続くかと思うと、日華が凛に声をかける
「すーつあくたー?え、もしかしてヒーロー!?」
「あはは…そう呼ばれるのは嬉しいかな…やっぱり、憧れていたものだったので」
「すごいすごい!本物なんだ!あ、握手してほしいです!」
日華の輝かせた表情を見て暁は少し警戒が緩んだのかかわいい…とぼそっとつぶやき、はっと我に返り咳払いをし剣に質問をした
「日華ちゃんは剣さんのお子さんなんですか?」
その質問を聞き、少し剣の表情が動き俺の子供ではないが家族だと言い、そして優しい目をする。
その表情を見た暁はなるほどとまた少し警戒をといてくれたようだ
そんな様子を感じ取った剣はあの事件の時、狂気に落ちて気絶した日華を預けた時のことを思い出してまた、優しい目をした
そんなやり取りをしているとそれぞれが頼んだメニューが届き、食事をしながら多少ぎこちないながらも日華と暁は会話が弾んでいた
そんな様子を見ながら剣が凛に聞く
「最近、ヒーローの方の調子はどうなんだ?」
その言葉を聞いた凛は少し緊張したような表情と声で
「じ、実は近いうち、復興で疲れた人や子どもたちを癒やすためのイベントでショーをやることになって、それの主役に選ばれたんです」
「ほぉ!主役に選ばれたのか!すごいじゃないか!じゃあそれは見に行かないとだな」
そう言うと凛が続けて言う
「あ、じゃ、じゃあ招待券、あげますよ。剣さんの分と日華ちゃんの分。僕、今持ってるんで」
「え!?わたしの分もあるの!?すごいすごい!」
そんな様子を見ていた暁はまったく、兄さんは…と少し嬉しそうな、羨ましそうな表情をしていた
そして剣がありがとうと言いそしてドリンクを取りに席を立ち、凛の肩に手をぽんと乗せて
「また、あこがれが叶ったんだな」
そういってドリンクを取りに行った、凛はその様子を横目にぼそっと
「その言い方はずるいですよ剣さん…」
と、すこし笑みをこぼしながらそう言ったのであった
こうして偶然であった4人の食事会は滞りなく終わり、それぞれが帰路に付き、数日が過ぎ、イベント当日へと移っていった……
邂逅 「ヒーロー」 アステル/ヴァル @aster_val
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