第8話 「スクーリング 1日目その1」

 歩くこと10分ほど。

 スクーリング会場に到着する。


 涼太紗耶ましろの2人は、同じ学年で同じ教室になっていた。


「席ここにしようか」

「うんいいよ」


 着いてすぐに座席に着く。

 席は自由席なので、着いた者から早い者順で座る。


「夕方までか〜疲れるね」

「ほんとそれ」


 今日は朝から夕方まで、びっしりと科目の授業が入っている。

 涼太と紗耶は、だるいと思っていた。


 近況やアニメの雑談などをしていると、あっという間にHRホームルームが始まる。


 HRでは、スクーリングの注意事項などが説明される。


「スクーリングでは、モニターに表示されていることに注意してください。——」


 ——HRが終わると、早速1限の特別活動が始まる。


「本日の特活は、自己分析と——」


 特別活動は、3限まである。


「それでは、このモニターに表示されている人物の長所をグループで話し合ってください。」


 グループワークで、自己分析をするためにチュートリアル的な感じで人物の長所を見つけるものだ。


 机の向きを変えて、4人グループを作る。


 涼太のグループは、紗耶とがたいがよく髪を茶髪に染めた男の子と、金髪でピアスをしている女の子の合わせて4人だ。


 紗耶以外の2人は、雰囲気がキラキラしていて、いわゆる陽キャっぽい。


山﨑健太やまさきけんたです。趣味は、ゲームや筋トレ、サイクリングです。よろしくお願いします。」

金子凛かねこりんです。趣味は、旅行やインスタ用の写真を撮ることです。よろしく。」

「よろしく。ぼくは山川涼太です。趣味は、アニメとゲームです。よろしくお願いします。」

「最後!犬塚紗耶です!趣味は、アニメや漫画や散歩などです。よろしくお願いします!」


 全員が、自己紹介をし終わる。


「金子さんって、写真好きなんだね!私も、散歩とかすると撮るよ〜!」

「ふ〜ん」


 少し、興味なさげに凛は答える。


「おいおい、それはちょっと失礼じゃないか?」


 と、健太はいさめる。


「なに?あんたには関係なくない?」

「いや、紗耶ちゃんがかわいそうだろ」

「はいはい、ごめんなさい」

「もっとちゃんと謝れよ」

「うっさいな。わたしの勝手でしょ」


 と、健太と凛が口論する。


「まあまあ、2人とも落ち着いて」


 と涼太が仲裁する。


「いやこいつが悪いだろ」

「は?こいつとか言われる筋合いないんですけど」


 先が思いやられるグループだ。


「ところで山﨑くんは、なんのゲームするの?」


 涼太が雰囲気を変えるために、露骨ろこつ話題転換わだいてんかんをする。


「健太でいいよー。俺は、音ゲーとか格闘ゲーとかやるね」

「へえ〜!ぼくも音ゲーはやってるよ」

「おっ!フレなろ!」


 と、涼太のたくらみは成功する。


「金子さん、金子さんは、さっきの他に趣味はあるの?」


 と、また紗耶が質問する。


「おい、やめといた方がいいよ」

「ふんっ、あんたは話しかけられてないでしょ」

「は?」

「そうね、わたしは、朝ランニングするのが趣味」

「へえ〜そうなんだ!私も朝散歩だけどするよ!似てるね!」

「別に似てはないでしょ」

「金子さんって、思ってたより悪い人じゃないね」

「それ本人に言う?フツー。あと、凛でいい」

「わかった!凛ちゃん、改めてよろしく!」

「えぇ……」


 困惑する健太なのであった。

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