第3話 「冬といえば」
冬の行事といえば——
クリスマス、お正月……。
楽しい行事がたくさんあるが、恋人もいない、出会いもない涼太には、とりあえずリア充爆◯しろとしか言えないのだった。
それに多くの通信高校生には冬という季節はあまり好きではない人が多いだろう。
それはなぜか。
それは——
”単位認定試験”
単位認定試験。それは単位制の多くの通信制高校が逃れられない唯一である試験なのだった。
また、体調を崩しやすい涼太は、普段の学習がネットで済むため、家にいることが多く、人が多かったりいろいろ気を遣う登校は苦手だ。
そんな涼太含む通信高校生は、単位認定試験がある冬が来ないで欲しいと思うのは、ある意味当然と言えるだろう。
青「そういえば、ぼくそろそろ単位認定試験あるんだけど、ましろっていつ?」
ましろ「私もそろそろなんだよね、やだな……」
青「それな。めっちゃやだ。対策してる?」
ましろ「うん一応!でも不安」
青「ぼくなんて、まったくしてないよ……」
ましろ「えぇ!?まずいんじゃない!?」
青「多分なんとかなるでしょ多分」
ましろ「たぶん……」
そんな雑談をしていたが、ましろも近々試験があるみたいだ。
涼太は、ましろとSNSで話すようになって以来、ゲームをしたり、アニメの話をしたり、意外と仲良くやっていた。
なので、一緒の日程と会場になりたいと思っていた。
青「そういえばさ今期のアニメのさ——」
とりあえず、期待半分憂鬱半分の試験のことは置いておく涼太なのだった。
◇ ◇ ◇
紗耶もまた単位認定試験がある冬が嫌いな1人だった。
人も多いのもそうだし、何より、過去のいじめの経験から人が、それも比較的多数の人がいる教室という環境がトラウマだった。
そんな憂鬱な試験だが、受けないと単位が取れないため、いやでも対策をする。
(倫理の哲学者の名前、覚えるの苦手だな……)
ソクラテス、プラトン、アリストテレス……だったり、ホッブズ、ロック、ルソーの著書と考え方の違い、などなど……
とにかく紗耶は倫理は苦手だった。
試験はすぐ近くまで迫っていた。
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