10話・1年A組、最初の授業
あの首を「トンッ」ってする奴なんて言うんですか?
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私のクラスはA組、先生の話によると試験で上位15位までが集められたクラスらしい、だから他の2クラスが30人近くいるのに対し、私達のクラスだけ15人しかいない、しかも実力次第ではクラスの入れ替えなんてこともあるらしい、そしてこのクラスは、生徒の人数が少ない代わりに、担任と副担任が2人ずついるらしい、担任の片方は唯お姉ちゃんで、もう一人は学長さんだった、副担任の二人は、教頭先生と学年主任の先生らしい。
「先ほども挨拶をしたが、私は笹浦 梨愛、此処の学長だ、皆は初日はゆっくりと互いの事を知りたいだろうが……初日での授業は、互いの実力を知ってもらう、何か質問があるものはいるか?
……いない様だな、では二人一組で班を組め」
班を組めと言われたが、人数は奇数だ、誰が余るのだろうか、などと考えていると、梨愛学長が私にその答えを言い放った。
「そう言えば人数は奇数だったな……姫宮 絢、お前は組むなよ」
「はい!わかりました」
この時、周囲から鋭い視線が刺さるが、今の一瞬で何かあったのだろうか……
◆◇◆◇◆◇◆◇
実力試しの内容は、あらかじめ組んだ組ごとのトーナメント戦、他の人はじゃんけんで順番を決めていたが、私は問答無用で最後に並べられた。
全8チームのトーナメント戦は、特に面白みもなく進んでいき、四戦目、私の番が回ってきた、私は莉愛学長に言われた位置につき、対戦相手の方を見る、私達が一についた子をを確認すると由佳お姉ちゃんが「よーい、始め!」と、開始の合図をした、由佳お姉ちゃんが開始の合図を出すと、対戦相手の子達が変なことを言い出した。
「お前、学長や、先生たちに取り入っているだろ!」
「……?、何の話ですか?」
「お前だけ試験の時違う場所で試験を受けてたり、他の人間は試験結果が張り出されていたのに、お前だけ出ていなかった!」
その話を聞いた他の生徒たちがざわざわと何かを言い始めた。
「……つまり私の実力が信じられないと?」
「そうだ!」
梨愛学長と由佳お姉ちゃんはやれやれといった感じをして、私に口パクで「本気を出して」と言っていた、私は足元に私一人が入れるかどうかの大きさの円を書いて提案をする。
「分かったわ、じゃあ、貴方達が攻め始めてから1分間、私はこの円を出ないし、貴方達に攻撃をしない、もし一分間防防ぎきったら私の実力を信じてくれる?」
「いいだろう」
何故か上から目線なのは置いておいて、了承の返事をすると、その子は力を込め始めた、「攻撃を始めてから」なので、これはまだ開始ではない、10秒、20秒と時間が過ぎていくが、まだ為が終わらない、この時間動けていたら、10回は勝てたが、約束なのでまだ動かない、30秒が立った時、やっと為が終わったのか「行くぞ」とだけ言ってその子が攻撃の動作を取った、私とその子の間の地面がどんどん凍っていき、冷気が進むのと同時に白い煙が立ち、私を飲み込む、邪魔だったので、その煙を異能で払うと、私の狙い通り、私が作った円の中だけが凍っていない。
地面を凍らせた子は疲れ切っていた、私は一人だが、本来これは2人1組のチーム戦、もう一人の子が物凄い身体能力で近づいて来て、右手でこぶしを握って、私に向かって右手を振りかぶる、その手は大きく、見ているだけでも暑そうな炎が燃え上がっていた、私はその軌道は予想して指を立てる、拳は私の思った通りの軌道を描き、私が立てた指に当たると、燃え上がっていた炎は消え、その衝撃は無くなった。
「そろそろ30秒立ったかしら……」
そろそろつまらなくなってきた私が、そう言葉をこぼしてしまう、その言葉に焦ったのか、冷気の子は私の足元から氷の棘を突き上げるが、その棘は私に当たる前に崩れ去ってしまう、炎の子は器用なことに、肘のあたりから炎を出して、その推進力で私の指を押し込もうとしていた、まだ氷の子はあきらめていないのか、炎の子がいる方向とは反対方向から10本ほど氷の槍が作られて、9本が私の方に飛んできた、残りの一本は炎の子の方に飛んで行った、炎の子は気付いていないようなので、ついでにそっちも壊しておいた、これであと10秒、私はカウントダウンを始める。
「じゅ~う」
二人は、個々に動くのをやめて、炎の子は、氷の子と反対方向に走って私と距離を取る、私と二人との距離は大体同じくらいだ。
「きゅ~う」
二人が力をため始める。
「は~ち、な~な、ろ~く、ご~、よ~ん、さ~ん、に~、い~ち」
あと1秒の所で、二人は同時に攻撃を放つ、だがその攻撃が私に届く前に……
「ぜ~ろ!」
カウントダウンは終わったただ、二人の最後の攻撃だ、今までのルール通り防御してあげよう、冷たい空気で凍った水が、煙としてこっちに襲ってくる、それが後ろから来た炎で解けて膨張し、小さな爆発を起こす、こうして攻撃を無傷で受け切った私は、高速で動いて二人の頸動脈洞の圧迫、所謂「首トン」という技をして二人を気絶させ、服の襟をつかみ、梨愛学長の前まで持っていく、先生に一言。
「終わりました」
とだけ言うと、由佳お姉ちゃんは、私の勝利を宣言した。
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後の戦いは省略~
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