7話・裸の付き合い

絢ちゃんの異能を一つだけ解説するだけの回です

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 上司さんとの模擬戦のあと、上司さんが私を誘い、私が由佳お姉ちゃんと一緒がいいとゴネ、由佳お姉ちゃんが上司さんを言いくるめ、なんやかんやもあり、私達3人は上司さんのお金で温泉という大きなお風呂に来ています、この温泉も異能で作っているらしいです、私が知らない異能の使い方もまだまだたくさんあることがわかりました。


 私と由佳お姉ちゃんが並んでほのぼのとしていると、上司さんが私に話しかけてきました。


「君が模擬戦で使っていた異能、《因果》だったか、由佳君を助けたときにもその異能を発動させたらしいが、攻撃には反応しても、血しぶきや砂埃には反応しないあれは一体どういうものなんだ?」


「ちょっ、それを聞くのは……」


「私もマナー違反なのは知っている、しかし、あの現象は、出力は不可解すぎる」


「でも……」


「大丈夫だよ由佳お姉ちゃん、とっても簡単なことだから教えてあげる。

 水が下に引っ張られてるからと言って、水が下に落ちるわけじゃない」


 そう言って、私は右手で温泉のお湯を上に投げると、空中に飛んだ水滴は空中で停止する、由佳お姉ちゃんが恐る恐るその水滴を触ると、お湯はお姉ちゃんの手に合わせて動く。


「水に力をかけたからって水が動くわけじゃない」


 次に私は左手で同じことをするが、今度はお湯は波紋を一切立てず空中に飛ぶこともなかった。


「力をかけなくても、水は落ちるし、また跳ねる」


 そう言うと空中に浮いていたお湯が水面に波紋もなく落ちて、全く違う場所から複数の水滴が浮かび、今度は重力に従い落ちる。


「こういうことなんだけど、私の説明で分かったかな?」


 由佳お姉ちゃんと上司さんは分からないという顔をしていた、上司さんが要約してくれた。


「つまり、君の異能は起きることを起こさなかったり、起きないことを起こしたりできるという事か?」


「多分ちょっと違うと思う、言葉にするとちょっと難しいんだけど、過程と結果をくっつけたり、切り離したりしてるの、

 過程があって結果が起きるっていうけど、ちゃんと見ると、過程って呼んでるのは、連続した結果で、結果って呼んでるのは、一番最後に来る結果なの、だからその結果を一つ前で止めたり、適当な過程の後にくっつけたり、結果だけを持ってきたりするの」


「今度からは言葉にしてくれ、そっちの方が万倍分かりやすい、しかし、そうか、あの時、私の技が消えたように見えたのは、君が切れなかったからか」


「あっ、それは違います、それはもう少し難しくて、私に害を与えようとするものを、異能が勝手に要らないって判断しちゃうんです、それで、技発動したところからの結果を消して、技が発動しなかったことになったんです」


「それはおかしいぞ、私達は技が発動したところを見ているし、私の感触も確かに発動したときの物だった」


「えー、そう認識させたのは世界になんです、この異能も流石に人の記憶までには干渉できないので……だから……えっと、何が言いたいんでしたっけ?……」


 そのまま私は倒れてしまった、この時私は何が起こったのかは分からなかったけど、なんとなく、お風呂に長いこといてはいけないんだということを思った。

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 最後に絢ちゃんが言いかけたことは、人の記憶には干渉できないけれども、現実には干渉できるということです、つまり、誰かが吹き飛ばされて、壁に穴が開いたとして、その吹き飛ばされたことをなかったことにすると、壁は元に戻ります、しかし、見ていた人たちからすると、人がぶつかって壁が壊れた次の瞬間に壁が元に戻って、ぶつかった人が元の場所に戻っていたということになります。

 長々言いましたが、つまりは過去に戻ってやり直したけど、周りの人もやり直す前の事を覚えているってことです

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