第24話 フィリップ・K・ディック「パーマー・エルドリッチの三つの聖痕」(後)


★あらすじ3 バーニィ火星出発


バーニィの元にビュレロが帰ってきた。

「お前は、私を助けようとしなかった」とビュレロが言う。

「お前はクビだ、バーニィ」

「わかりました」

バーニィは粛々と受け入れた。ビュレロを救いに行っていたら、死んでいたかもしれないのだ。

「ロニを君の後任にする。なぜ私を助けに来なかった?」

「自分が死ぬ未来を視たんですよ」

「しかし、君自身が来る必要はなかったんだ。社員の中から捜索隊を編成することもできただろう?

つまり、君の願望は私が死ぬことだったんじゃないのか?」

ビュレロの言うとおりだった。なぜ、捜索隊を編成しなかったのだろうか。

「お前は私の敵だ」とビュレロ。

バーニィはエルドリッチの元に行く事に決めていた。

「覚悟をしておけ。あのキチガイ魔術師、通称エルドリッチと共にな」

二人は儀式的な握手を交わし、バーニィは去って行った。

バーニィは、ロニにも別れを告げた。


バーニィは、自らの卑劣さをようやく認識できるようになった。

バーニィはエミリーを訪ねた。

E療法を受けたエミリーは、やはり退行して創造力が劣化しているようだった。

バーニィは「火星へ向かう」とエミリーに告げた。徴用令状を受け取ったからだ。

バーニィは今更、先妻のエミリーと寄りを戻したく思った。

彼女と生活していた時代が、一番幸せだったのだと気づいたのだ。

バーニィはエミリーに「一緒に火星に来ないか」と誘ったが、エミリーは当然自分を捨てた前夫のバーニィではなく、リチャードとの地球での生活を選んだ。


バーニィはエルドリッチの会社に電話を入れたが、エルドリッチに取り次いでもらえなかったので、

徴用令状の火星移民を進めるべく検査に向かう事にした。

検査に向かう途中、エルドリッチから社員採用の知らせが来た。

しかしバーニィは気が変わり、火星移民へと志願し、徴募局へ向かったのだった。


バーニィの元にビュレロがやってきた。

ビュレロは「君が移民の一人になって、チュー・Zを買う。そして有害な副作用があったと申し立て、国連に提訴する、というのはどうだ?」

この提案にバーニィは「少し考えてみます」と言った。


バーニィは火星へ向かう船の中で、隣の席のアン・ホーソーンと言葉を交わした。

彼女は信心深い女性のようだった。

彼女とバーニィは近くの穴倉に住む予定だという。

アンはキャン・Dやチュー・Zに否定的で、宣教師のようにキリスト教を伝えたいという熱意を持っているようだった。

アンのキリスト教への熱意には辟易したものの、バーニィは彼女がとても美人だという事に気が付いた。



『水疱瘡ヶ丘』にバーニィは居住する事になった。

水疱瘡ヶ丘ではキャン・Dか、新しく流れてきたチュー・Zか、どちらを購入すべきか迷っているところだった。

投票が行われ、チュー・Zが選ばれる事になった。

結局、新入りのバーニィの票で決まったようなものだった。


キャン・Dには『名作セット』というものがあって、古典作品を原作準拠版・滑稽版・お涙版を選べるとのことだった(←なにそれ面白そう! ほしい!)


水疱瘡ヶ丘の6人は最後のキャン・Dを服用する事にした。

本当はバーニィも入れて7人でやるはずだったのだが、バーニィは直前でやめてしまったのだった。


すると、ブザーが鳴り来客があった。

一人だけ昇天していないバーニィが、その応対に当たった。すると相手はあのアン・ホーソーンだった。

アンは早くも火星生活に絶望を感じているようだった。

アンはバーニィの目の前でキャン・Dを飲み込んだ。

既に昇天している6人の中に、バーニィはアンを連れて行った。


半マイルの距離にある『アマノウラサス』という穴倉に住んでいるアンを、バーニィは送っていくことになった。

アンはチュー・Zによる『昇天』がキリスト教の宗教的な昇天体験と重なるのではないかと考え、チュー・Zに興味を持っているという。

バーニィはアンにプロポーズをした。けれど、そのプロポーズは断られた。

けれど、アンは「私を抱いて」と言って彼の首筋に両腕を絡め、二人は繋がった(アン意外とチョロいw)。


バーニィの元に、ビュレロの通信員が現れ、暗号書を渡した。

しかし、バーニィは今ではアンと火星にいつの間にか惹かれていた。

バーニィがここに来たのは、罪(エミリーへの罪、ビュレロへの罪)の償いだ、と通信員フェインは見破った。

「バーニィがチュー・Zを飲んだ後で、フェインからもらった毒物をすぐに摂取し、国連に訴える」というのがビュレロの企んでいる罠だった。



火星では2週間で男女の愛は冷めるという。

その分、他の男女とつがいになることで、子供をたくさん作るというのが国連の方針でもあるのだ。


パーマー・エルドリッチは義手・義眼・義歯・その他血液や肉まで作られた人間だ。

水疱瘡ヶ丘に、パーマー・エルドリッチがやってきた。

実体のない、幻影のエルドリッチだ。

自らチュー・Zを売りに来たのだ。もちろん、バーニィへの顔合わせをするためでもあった。

エルドリッチは、フェインとバーニィの会合も知っているようだった、

今度は実体のエルドリッチが出現した。

エルドリッチの船からレーザーが発射され、バーニィの持つ武器に直撃した。

エルドリッチは空を飛び、宇宙船へと戻った(なぜこんな展開になったんだっけ?)。


★あらすじ4 バーニィのチュー・Z体験


水疱瘡ヶ丘の皆は、チュー・Zを初めて試すことになった。

腐ったマッシュルームのような酷い味がする。

バーニィもまた、チュー・Zを初めてしゃぶった。7人全員がチュー・Zを食べていた。



妻のエミリーが、バーニィにお茶を持ってきた。

「あなたが私をこんなふうに呼ぶときは、いつものお説教に決まってるわ。用意はいいわよ」

「お説教なんてしないよ」

以前の自分はいつもガミガミ、彼女を叱っていたのだろうか。

バーニィがコーヒーを淹れると、またもエミリーは怯え始めた。

そして、バーニィはまたもガミガミ言い出した。


結局、芸術家肌で家庭生活に向いていないエミリーに、バーニィは我慢できないのだろうか。

家を出ると、義手と鋼鉄の義歯を持つ男が「やぁ、メイヤスン」とあいさつした。

「君は全く、学びのない男だな。同じことを繰り返して、何が楽しいのかね」と言うと

パーマー・エルドリッチは消えた。


バーニィは目を覚ました。ロニがいた。

エミリーのところに戻らなくちゃ、とバーニィは思った。

彼はエミリーのところに急いで向かった。

エミリーの家に向かうと、出てきたのは彼女ではなく、リチャード・ナットだった。

「まぁ、バーニィ。別れた前の人よ」とエミリーはいい、バーニィを家に引き入れた。

バーニィはさっそくエミリーに切り出した。

「君と別れたのは間違いだった。もう一度結婚しよう」と言うと、エミリーは大笑いした。

「我々は結婚しているんだぞ」とナット。

「今の結婚は解消すればいい。僕と再婚してくれないか」とバーニィは言うと、エミリーは

「いいえ、ダメよ」と言った。

結局、バーニィは昔エミリーにした仕打ちを取り戻すことはできないのだった。

「僕には助けがいるんだ!」

ナットは、いつの間にか鋼鉄の歯をつけていた。

「エミリーは、君(バーニィ)が思っているよりもよほど君の事が好きなんだ。エミリーは、常に義務感によって生きてきた。君(バーニィ)のキャリアを邪魔しないために、エミリーは身を引いたんだ」

エミリーはナットに対して怒りを向けた。

ナット……パーマー・エルドリッチは

「諦めちゃいかん。続けていくうちに少しずつコツがつかめるようになる」と言った。


「バーニィ・メイヤスン、ねぇ、起きて」とバーニィはアン・ホーソーンに揺さぶられ目を覚ました。

「是が非でも戻らなくちゃ。彼女をどうにかして説得してみせる!」とバーニィは言ったが、チュー・Zを持つアンの手はいつの間にか義手に変わっていた。

「もう少し後であげるわ。1日1回で十分よ。そうしないと、お金を使いすぎてしまうわ」。


他の同居人たちも意識を取り戻し始めた。トッド・モリスは高校生の頃の初デートに戻ったという。

バーニィが前夜フェインにもらった毒物を飲もうとすると、唐突にエルドリッチの声が聞こえた。

「言っておくが、君は監視されているのだぞ、メイヤスンくん。そういうことを企んでいるのなら、君の行動は拘束せざるを得ん」。

バーニィは震える手で毒物のチューブの蓋を締め直した。チューブの中身は空っぽになっていた。

バーニィはフェインに映話をした。

エルドリッチに監視されている、とバーニィはフェインに告げた。

しかし、フェインはバーニィの事は知らない、会話をした事もないと言った。



ビュレロは水疱瘡ヶ丘にチュー・Zが発売されたという報告を受けた。

アン・ホーソーンもビュレロの息がかかった人間のようだった。

ビュレロは静観するつもりだった。

「あなたは、バーニィを見殺しにするんですね、バーニィがあなたにしたように」とロニは言った。

「そして、誰もあなたを首にはしませんね。あなたがバーニィを首にしたようには」。

しかしロニに挑発され、ビュレロは自身火星に乗り込もうと気を変えた。


「君はバーニィのポストを奪っただけでなく、私が帰ってこなかったら、社長のポストまで奪おうとしている」

「社長は、本当に私がそんな事を考えていると思うんですか?」と彼女は言ったが、

「では、私が帰ってこなかったら君は私を助けに来てくれるのかい?」と言うと、ロニは答えを拒絶した。

ビュレロは自分が帰ってきたら、ロニを首にしなければならない、と思った。

しかし、その後でロニはエルドリッチが化けているのかもしれない、と考え直した。


地球はパーマー・エルドリッチに浸食されている、とビュレロは思った。

全ての存在に変身でき、全ての場所に偏在できるエルドリッチ。

エルドリッチはチュー・Zを服用した人間の幻想世界の全てに出現できる。

エルドリッチを見分けるには、義手・義歯・義眼の『3つの聖痕』だ。


アンの姿をしたエルドリッチから、バーニィはチュー・Zを奪い取った。

「せめて、もう少し間を置いて。お願い」とアン(エルドリッチ)は言ったが、

バーニィはエミリーとやり直すため、チュー・Zを服用した。


チュー・Zの飲みすぎでグロッキーになっているバーニィの目の前にビュレロが現れた。

「チュー・Zだと? あれは2年前に禁止された薬物だぞ」とビュレロ。

バーニィは未来へ飛んでしまったのだ。


「ナットは、エルドリッチとの関係によって逮捕され、火星送りになった。エミリーはナットとの関係を清算したよ。しかし、君はロニと同棲していて、ロニとエミリーは仲良しだ。君はエミリーと寄りを戻すことは恐らくできんよ。エミリーは今や大物陶芸家で、男なんてより取り見取りだ。

エミリーは君を必要としていない。諦めろよ、バーニィ」

「やはりあんたはパーマー・エルドリッチだな!」

「私が!? 私がエルドリッチを殺したんだぞ? 私の歯はステンレスか? 私の手は義手か?」

「もしちょっとの間でもエミリーに会えば……」

「いや、会えやせんよ」

恐らく、ビュレロの言った事は本当なのだ。

エレベーターに乗ると、乗っている6人はみなパーマー・エルドリッチだった。

「自分の世界に帰ろうとしても無駄だよ、メイヤスン。君は飲みすぎたんだよ。せっかく注意してやったのに」

「どうしても彼女を取り戻したいんだ!」

「わかっていないようだね。前にも教えただろう。これが君の未来である以上、ここで暮らしている君は別にいる。過去の存在である君の入る余地はどこにもない。

言っておくが、現在のバーニィも実際に行動に出たのだ。ナット夫妻が別れた時にな」

「君が何者かを言ってあげよう。君は、幽霊だ」と6人のエルドリッチは言った。

「君は死ぬことがない。飲み食いもしなくてもいいし、どんな物体をも潜り抜ける事ができる」

「エルドリッチ、あんただって2年前に殺されてるじゃないか!」

「私が金星を通過する際、国連のギルバートと会談をしていた時にいきなりビュレロが奇襲をかけてきたんだ。そうして、ビュレロは私を殺したのさ」

エレベーター内の6人は、突然エルドリッチではなく別々の個人へと変化した。

バーニィは、自分のオフィスに向かった。未来のバーニィはビュレロの地位、管理部長へと昇進していた。

ビュレロはバーニィを火星から連れ戻してくれたのだ。


アンの姿をしたエルドリッチがチュー・Zを持っていたのは、ひょっとしたら最初からバーニィに奪い取らせるつもりだったのかもしれない。

バーニィは、未来のバーニィと対面した。

「チュー・Zを服用すればするほど、現実へと戻るのが遅くなる。

しかし2つめのチュー・Zを飲んでしまったばかりに、お前は当分現実へと戻れない。

エルドリッチはお前を恐れていたのだ」と未来のバーニィは言った。


未来のロニがやってきた。

「幻想だわ」

未来のロニが手を突っ込むと、バーニィの身体をすり抜けてしまった。

一年ほど前までは、どこを見ても幻影ばかりだったという。

そして未来のバーニィは、エルドリッチに変化した。

幻影をやめる方法の一つとして、無生物になることもできるらしい。

「1世紀・100万年かかるかもしれないが、そのうちチュー・Zの効果も消えるさ」とエルドリッチ。

「俺はエミリーの作品が飾られた額縁になりたい」とバーニィは言った。

パーマー・エルドリッチの声が自分の口からほとばしった。

バーニィ自身が義手であり、義眼であり、彼自身がパーマー・エルドリッチに変身していたのだ。

ビュレロがいずれ殺す相手は、「パーマー・エルドリッチになった、俺なのだ」とバーニィは思った。


エルドリッチは言う。

「エミリーは退行した。まだ何とか売れるツボを作る事はできる。しかし、今の彼女を君は好きにはなれないだろう。浅薄で、愚かしくなっている。

君はプロキシマ星に行かないか? 連中は太陽系に来たくてウズウズしているよ」

「僕を石に変えてくれ。もう何も感じたくない」とバーニィ。

「私は惑星になるつもりだ」とエルドリッチ。

「私は火星に住む全ての人間になる」

バーニィは再度エミリーの額縁になりたいと言い、エルドリッチは許可した。

しかし、「君の本当の望みは『死』だろう」とエルドリッチは言った。

「君は私になり、ビュレロが君を殺す。そして私は生き続ける。それが君への贈り物だよ」。

エルドリッチはバーニィの身体の中で生き続けるつもりだった。


水疱瘡ヶ丘にエルドリッチ(外見はバーニィ)は出現した。

ささやかな平和と安らぎを彼は感じた。


宇宙船にバーニィ(外見はエルドリッチ)が出現した。

ビュレロにメッセージを送りたい、とバーニィは言った。

「私は彼に殺されたくない。それを伝えたいんだ」。

しかし、ビュレロはやってきて撃つだろう。

「国連承認の武装船にビュレロが乗っている。私たちは金星に来るべきじゃなかった。国連もビュレロとグルなんだ」とバーニィは言った。

「この船には何の武装もない。貴様は無抵抗の標的を打ち落とすつもりか。これは貨物船だぞ」

ビュレロに知らせるべきだろうか。

エルドリッチが宿主から宿主に転移していく以上、彼をとらえることはできないということを。

「レオ、黙って私をプロキシマに帰らせてくれ。頼む」

しかし返事はなかった。

「今のは取り消す。貴様に私を殺せるものか!」

レーザーが宇宙船に直撃した。


ビュレロは火星にやってきた。

バーニィに、チュー・Zを使ったかどうか尋ねると、バーニィはビュレロの耳元で

「俺だ……わかるな?」と言った。

アン・ホーソーンが部屋を出て行った。彼女もまた、使命を受けてやってきたブラウ(ビュレロと協力関係にある人間)の部下だった。


【ここでようやく、バーニィのチュー・Z効果が切れる】


★あらすじ5 エンディング


ビュレロがやってきたのは、バーニィがアンから2錠目を奪ったが、まだ飲む前のタイミングだった。

ようやく1回目のチュー・Zの効果は切れ、これまでの事は全てチュー・Zの幻覚なのだった。

毒物(エルドリッチをはめるための罠)を飲まないなら、火星から地球に帰さないぞとビュレロは言った。

移民として火星で暮らします、とバーニィは返した。

「貴方の一部がエルドリッチになり、彼の一部が貴方になったのね」とアンは言った。

ビュレロの放った二撃目は、エルドリッチに命中したはずだ。

死んだのはエルドリッチで、バーニィではなかった。

「もう二度とチュー・Zは使わない」とバーニィは宣言した。

エルドリッチは『神』だ、とバーニィは言った。


「ビートは嫌いなの。だから植えないでちょうだい」とアンはバーニィに言った。

「貴方のグループと時々一緒にお食事したいと思うわ」とアン。


「パーマー・エルドリッチは本当に存在すること。

パーマー・エルドリッチは大して我々の力になれないということ。

力になりたいと彼は思っているが、空っぽの両手を拡げて突っ立っているだけだということ」

をバーニィは語った。


チュー・Zをアンからひったくった時、アンはバーニィに義手・義眼を見たという。

バーニィもまたあの瞬間、アンに義手・義眼を見た。

神性は人の中に宿る、という。チュー・Zを服用した者全ての中に、彼はいる。

チュー・Zはイヴの食べた知恵の実と同じ。その欲望によって、チューザーは罪を背負ったのだ。

しかしエルドリッチはキリストと違い、自身の生存欲のためにバーニィを犠牲にしようとした。

そのために、エルドリッチはキリストよりも劣る存在だ、とバーニィは思った。


餓えているジャッカルもどきが、バーニィのところに来た。

「お前を食べていいか?」とジャッカルもどきはテレパシーを使った。

「冗談じゃない!」とバーニィは言った。バーニィはレンチを握った。

ジャッカルもどきはバーニィに突進したが、まさに触れる瞬間にジャッカルもどきは距離をとった。

「お前は穢れている。俺はお前を食えない。食えば病気になる」とジャッカルもどきは嫌悪を示した。

「お前の右腕を見ろ。お前はどうしてのめのめと生きていられるんだ。もう少し自らを清めることはできないのか?」とジャッカルもどきは言った。


エルドリッチはバーニィに「ビュレロの二度目の射撃の瞬間、君を放してやった」と話した。

私は死に憧れている、とエルドリッチ。


ビュレロとブラウが、エルドリッチの宇宙船を銃撃する計画を立てていた。

国連も、エルドリッチを危険視しているようだ。

ビュレロとブラウはお互いに、義手・義眼になっていた。

ブラウはチュー・Zを一度も使っていない。チュー・Zを使わずともエルドリッチは拡がり始めた。

周囲の人間が、エルドリッチ化し始めていた。

しかしビュレロの、エルドリッチを殺そうという意思は蝕まれていない。

ブラウに呼ばれ、レオ・ビュレロはこう言った。

「レオ? なぜ私をまだレオと呼ぶんだ?」そう言って、すぐに「冗談だよ」と答えた。



(このスッキリしない結末wwwwwwwwwww

多分ビュレロはエルドリッチ化してるけど、エルドリッチは自分の死を望んでいるため、そのままビュレロの身体を借りてエルドリッチの肉体を撃たせたいと考えているのかな。

でも、チュー・Zの効果以上にエルドリッチ化が進んでいるので、エルドリッチの肉体は死んでも、エルドリッチ自身は死なない気がする……)



★感想

実にディックらしい、『麻薬から覚めた、と思ったらそれもまた麻薬の幻覚だった』的な悪夢ループの作品で、ややこしいことこの上ないです。

もはや、正史・虚実を考えるのもバカバカしい気もしますが、一応解析を頑張りたいと思い、メモを残しました。

しかし、キャン・Dは(違法薬物なのが怖いけど)使ってみたいけど、

チュー・Zには全く魅力を感じないですね。


なぜP・P社は「パーキーパット模型セット」しか売り出さないんでしょう?

様々な模型セットを売りだせば、キャン・Dはもっと売れる気がするんですが。

あと、「世界の名作を体験できる」というのが凄く気になるのと、

「模型セットなしで使える」というビュレロの言葉(模型セットなしで使うとどうなるの?)や、「一人で使ったらどうなるのか」も気になるところです。


バーニィは初登場時はクズでしかないですが、作品が進むにしたがって、彼はマシになりました。

エミリー、ロニー、アンとなんだかんだで美女をひっかけている辺り、曲者ですねぇ。キャン・Dしゃぶればフランとも不倫できそうだしw


余談ですが、僕も睡眠薬(ベルソムラ)で『夢から覚めた、と思ったらまた夢だった』の長い長い有限ループを体験したことがあります。

だからこの、チュー・Z悪夢現象は、あれの更にヤバいやつ版だと思って読みました。

睡眠薬は続けていますが、ベルソムラはもう飲んでいません。怖いので。

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