第16話 アガサ・クリスティ「オリエント急行の殺人」(後)


☆この時点での時刻表

21:15 ベオグラード発車

21:40 マスタートン、睡眠薬を置いてラチェットの部屋を出る

22:00 マクイーン、ラチェットの部屋を出る

22:40 グレタ、間違えてラチェットの部屋を空ける。生きている姿が見られたのはこれが最後。

0:10 ヴィンコビチを発車

0:37 列車、雪だまりに突っ込み停車

0:40 ラチェットの部屋のベルが鳴る。「何でもない、間違えたんだ」とフランス語の声がする。

1:00 ハバード夫人、「部屋に男がいる!」と車掌を呼ぶ



☆車掌ミシェルの証言その2

ミシェルにボタンを見せたが、ミシェルのボタンはすべて揃っていた。

私は無実です!とミシェルは言い張った。

ラチェットが死んだ時間、同僚の車掌と話していたという。

同僚の車掌にも聞いてみたが、ミシェルといたとのことだ。

同僚の車掌もボタンをなくしてはいなかった。


☆ロシア人ドラゴミロフ侯爵夫人の証言

次の証言者は、ナタリア・ドラゴミロフ侯爵夫人。


「食事がすむとすぐにベッドに入り、23時まで読書をし、0時40分にメイドを呼んでマッサージをしてもらい、本の朗読をしてもらいながら眠りました。

列車は既に止まっていました。音は何も聞いておりません。

メイドはヒルデガルデ・シュミット、15年来のメイドです。

アメリカには何度も行きました。

アームストロング一家とは親しくしておりました。

夫人のソニア・アームストロングの名付け親で、デイジーの祖母リンダを崇拝して、親しくしておりました。ソニアの妹は生きていますが、イギリス人の誰かと結婚したことしか覚えていません。夫の名字も忘れました」。


今回の被害者がカセッティだと聞くと、「まぁ……」とドラゴミロフ侯爵夫人はため息をついた。

「でしたら、今回の殺人はまことにあっぱれですね」と言った。

夫人のガウンの色は、ブルーのサテンだった。


「エルキュール・ポワロ……こうなる運命でしたのね」とドラゴミロフ侯爵夫人は言った。


☆ハンガリー外交官・アンドレイニ伯爵&伯爵夫人の証言

被害者がカセッティだと聞いても、アンドレイニ伯爵は目を少し丸くしただけだった。

熟睡していて、何も知らないという。

伯爵は、妻には証言させたくなさそうだったが、しぶしぶ譲歩した。


つぎに伯爵夫人が呼ばれた。

夫人の旧姓はエレナ・ゴールデンバーグ。


「眠っていましたので、何も聞いておりません。

一年前に結婚したばかりです。

夫は紙巻き煙草を吸います。

私のガウンは黄色です。

英語は ほんの少し できます」


☆アーバスノット大佐の証言

「ミス・デヴナムは立派な淑女だ、この事件の犯人だなどとくだらん」

とアーバスノット大佐は言った。

ゆうべはマックイーンと話をしていた。

この列車の旅で、意気投合したのだ。

インド情勢やアメリカの経済情勢、世界情勢全般について意見を戦わせていると、いつのまにか1時45分になっていた。

その後、自室に戻ってベッドに入った。

アーバスノットはパイプをくゆらせ、マックイーンは紙巻きたばこを吸っていた。

「女が通ったような気がする」とアーバスノットは言った。

「衣擦れの音と香りがしただけだ」という。

果物のような香りだった。

アームストロング家とは直接のかかわりはなかったという。


極悪人が当然の報いを受けただけだろう、ただ、法廷で有罪になるべきだったと思うが。という。

ミス・デヴナムが犯人でない事は、私が保証する、とアーバスノット大佐は言った。


☆ハードマン氏の証言

騒々しいアメリカ人の大男がハードマン氏だ。

職業は営業マンだということになっていたが、実はマクニール探偵社の私立探偵だった。

ラチェットは、ポワロの前にハードマン氏にもボディガードを依頼していたのだ。

「小柄な男で、肌が浅黒く、女のような声をしている」人物を、ラチェット氏は襲撃者の特徴だと語っていたらしい。


ラチェット=カセッティだと知ると、ハードマンは「まいったなぁ」と言った。

昨夜はコンパートメントから見張っていたが、誰も通りかからなかったという。

ハードマンは、マックイーンとは顔を合わせたことがあると言った。

ハードマンはパイプはやらないそうだ。


☆イタリア人フォスカレッリの証言

「同室のマスターマンとはほとんど話さなかったが、歯が痛いようで、うめいていました。

部屋を出てはいないと思います」



☆ミス・デヴナムの証言

同室のグレタのガウンもデヴナムのガウンも赤ではなかった。

真っ赤で龍の刺繍をされたガウンを着ている女性は見たが、後ろ姿しか見ていない。

背が高くて、ほっそりしていて、頭にターバンを巻いていた。

グレタは一度、アスピリンをハバード夫人にもらいに行ったが、数分で帰ってきたとのことだった。



☆ドイツ人メイド、ヒルデガルトの証言

彼女のガウンも赤ではないようだった。

夜中に、ドラゴミロフ侯爵夫人に呼ばれて、マッサージや朗読をした。

退室する時に車掌を見たというが、ミシェルではないという。

小柄で、肌が浅黒くて女性のような声の車掌だった。

アームストロング事件の話をすると、「とてもひどい事です」と涙を流した。

ハンカチはヒルデガルドのものではないと言ったが、顔を少し赤く染めた。

このハンカチは身分が高い人のものだという。


証言をまとめると、ハードマンは恐らく本物の探偵である。

『小柄で、肌が浅黒く、女性のような声の男』の話は、ハードマンとヒルデガルドの証言がある。

ミス・ハバードの部屋にボタンがあるが、ミシェルらのボタンはなくなっていない。

「偽の車掌がいた」という話、しかし本当にそんな車掌がいたのだろうか?


真っ赤なガウンを着た女、偽の車掌、この2人の共犯なのだろうか?

しかし多数の人間に見られているにもかかわらず、みな、後ろ姿ばかりで、ロクに顔を見られていない。


ミス・ハバードの悲鳴が聞こえた。

ミス・ハバードの鞄から血塗られた短剣が発見されたというのだ。


皆の荷物検査が始まった。

アーバスノット大佐の持っているパイプクリーナーは、事件現場に残されていたものと同じ種類のものだった。


ポワロはミス・デヴナムに、アーバスノット大佐との関係について改めて尋ねる。

「今はダメ、今はダメ、全てが終わってからよ」とはどういう意味かと尋ねられ、

デヴナムは回答を拒否した。


ではなぜ、タウルス急行遅延の際に、オリエント急行に乗り遅れないかどうかあれだけ心配していたのに、今はなぜそんなに落ち着いているのか、とポワロは追及する。


ヒルデガルトの鞄から、車掌の服が発見された。

車掌の服に動揺しているヒルデガルトに、ポワロは「あなたは料理が上手ですね?」と尋ねると、

誇らしげにヒルデガルトは「ええ!」と答えたが、急に怯えたように口をつぐんでしまった。


そして真っ赤なガウンは、ポワロの持ち物から発見された。

犯人からの不敵な挑戦だとポワロは感じた。



☆ポワロの推理

ラチェットはフランス語が話せなかったはず。

にもかかわらず、ラチェットは「間違えたんだ」とフランス語で車掌に返した。

これは、明らかにおかしい。ラチェットの声のはずがない。


オフシーズンにオリエント急行が満員なのも偶然なのだろうか?

ハンガリー外交官の妻のファーストネームの部分についていた油の染み。


『H』のイニシャルのハンカチは誰のものなのか。

『ヒ』ルデガルト・シュミット。

メアリー・『ハ』ーマイオニー・デヴナム。の2人はHのイニシャルだ。

しかし2人とも、高級ハンカチを持つような身分ではない。

手縫い・刺繍入り。そういうハンカチは上流階級の者しか持たない。


ファーストネームのイニシャルが油の染みで読めない、アンドレイニ伯爵夫人。イニシャルの頭がH、彼女の本名が『ヘレナ』だとしたら?


犯行計画では、ラチェットを殺した後、次の駅で降りた外部犯に見せかけたかった。

しかし、雪で列車が止まり、それができなくなってしまった。

ラチェットへの脅迫状に、幼いデイジーの名前を入れたのは、『自分がなぜ殺されるか』を被害者にわからせるため。

しかし、この脅迫状の処分に失敗し、事件がアームストロング家誘拐事件と結び付けられてしまった。


リンダ・アーデンの名字はゴールデンバウム。

リンダ・アーデンの末娘、ソニアの妹はヘレナ・ゴールデンバウム。

そう、エレナ・アンドレイニ伯爵夫人だ。


ポワロはアンドレイニ伯爵夫人にハンカチを渡した。

しかし、アンドレイニ伯爵夫人は否定した。

「あなたのイニシャルがついていますよ、Hという文字が」とポワロが言うと、

伯爵ははっと振り向いた。

「あなたの名前はエレナではない、ヘレナだ。ソニア・アームストロングの妹だ」

伯爵夫人は真っ青になった。


そして、口を開くと流ちょうな英語が飛び出してきた。

「カセッティを殺してやりたいという動機が最も強いのは、私でしょうね」とヘレナは言った。

伯爵は、油の染みの細工を認めた。

彼女に罪が及ぶのを恐れたのだ。


しかし、「ヘレナは睡眠薬を飲んでおり、一歩も外に出ていない。妻の無実は私の名誉に、誓います」と伯爵は言った。

「私のイニシャルは確かにHです。しかし、それは私のハンカチではありません」と伯爵夫人は否定した。

ヘレナとソニアの家庭教師は、赤毛のミス・フリーボディという年配の女性だった。


「私のハンカチをお持ちのようですね」とドラゴミロフ侯爵夫人がやってきた。

ナタリア・ドラゴミロフ侯爵夫人。ロシアのキリル文字では、エヌはHと書くのだ。


アーバスノット大佐の再尋問にとりかかる。

デヴナムとアーバスノットの会話について、彼にも質問をする。

ミス・デヴナムはデイジーの家庭教師だ。

それなのに、それを隠しているとポワロは言う。


ミス・デヴナムがその場に呼び出された。

「アームストロング家に住み込んでいた事を隠していたのはなぜか、アメリカには行った事もないと言ったのはなぜか」というポワロの追及に、デヴナムは「バレてしまっては仕方ないわ」と答えた。


「殺人事件に巻き込まれた女を、家庭教師として雇おうとするでしょうか? だから隠したのです」とデヴナムは答えた。

アンドレイニ伯爵夫人が、ソニアの妹だということに気づかないはずがない、とポワロが言うが、

気づかなかったとデヴナムはいなした。

しかし次の瞬間、泣き出した。

デヴナムは逃げるように車両を出て行き、アーバスノット大佐は怒りながらそれを追っていった。


アンドレイニ伯爵夫人が、「大柄な赤毛の中年女性」と答え、「ミス・フリーボディ」と話した事から、ポワロはデヴナムだとわかったという。

ロンドンにデヴナム&フリーボディという会社があり、伯爵夫人が偽名をすぐに思いつけず、フリーボディと口走ってしまったのだ。


「この列車の乗客は、全員が嘘をついているんでしょうか」とブークはぼやいた。


フォスカレッリを呼び出す。

「あなたは、アームストロング家のお抱え運転手だったんですね?」と尋ねるとフォスカレッリは力なく認めた。

「デイジーは、車の助手席に座って運転する振りをして遊んでいた。本当にかわいい子だった」と言うと、泣きながら車両を離れた。


グレタ・オルソンを呼び出す。

「あなたは、デイジー・アームストロングの乳母だった人ですね?」

「あの子は天使でした。人を疑う事を知らない、優しさと愛の他は何も知らない子でした」

泣きじゃくりながら、車両を出て行った。


グレタと代わりに入って来たのはマスターマンだった。

「私は(第一次)大戦中、アームストロング大佐の従卒を務めておりまして、その後彼の執事になりました。フォスカレッリは実に優しい男です。小説に出てくるような、凶悪なイタリア人ではありません」と言った。


「犯人はもうわかっています。これだけ明白なのに、なぜわからないんでしょうねぇ」とポワロが言うと、ハードマンもブークもきょとんとした。

「お手数ですが、みなさんにここに集まっていただけますか? この事件には二つの解決法があります。それを皆さんに示そうと思います」



☆ポワロ真相を解き明かす

全員が食堂車に呼び集められた。泣いているグレタをハバード夫人が慰めている。


「今朝、ラチェットが刺殺死体となって発見されました。1時15分で時計が止まっています。

ラチェットは何者かに命を狙われていました。

ラチェットをつけ狙っていた人物は、ヴィンコブチの駅で侵入し、あらかじめ車掌の服を用意しており、合いカギも用意してあったので簡単にラチェットの寝室に入れました。

ラチェットを刺し、犯行に使った短剣をハバード夫人の鞄に押し込み、制服のボタンを落としていき、

普通の服に着替えて、発車直前の電車を離れました」とポワロが第一の説を挙げた。


第二の説もご紹介します、とポワロは言った。


「ラチェットは枕の下に銃を置いていました。それなのに睡眠薬を飲んで寝ていたという。

睡眠薬を飲ませたのは誰か。秘書のマックイーンか、召使のマスターマンにしかできません。

ハードマン氏がラチェットを警護していたというのも嘘でしょう。何もしていないのですから。

アーバスノット大佐はミス・デヴナムをメアリーと呼んで親しくしているのに、数日前に出会ったばかりだといっています。

イギリス人紳士は、性急にものを運ぶことはしません。ですから、この2人は親しい仲なのに、何か理由があって他人の振りをしているのだと考えました。

また、ミス・デヴナムは『ロング・ディスタンス』というアメリカ英語を使っていました。アメリカには一度も行った事がないと言っていたのに。


ラチェットのポケットに時計が入っていたのも疑問です。第一寝にくいですし、時計をかけるフックがあるので、これは犯人のトリックだと気づきました。

この時計のトリックは、私(ポワロ)に対するブラフだとわかったのです。

ラチェットの部屋から悲鳴が起こり、フランス語が聞こえたのは、ポワロを欺く罠だったのです。

ラチェットが殺されたのは2時近くだと思います。


では、誰がラチェットを殺したのでしょう?」


「全員が、関係しているのです。

アームストロング家に関係している人間が多数、偶然同じ列車に乗るとはとても思えない。

陪審員は12人です。乗客は12人、そしてラチェットは12か所刺されていました。

12人の人々が、死刑執行人となって、ラチェットを刺していったのです。

誰か一人に疑いがかかれば、複数の人間の証言によって、それが覆されるように計画されていたのです。

『小柄で、浅黒く、女のような男』というのも嘘でした。一人ひとりがハバード夫人の部屋から順番にラチェットの部屋に入り、ラチェットの胸にナイフを突き立てる。


ラチェットの寝室に、アーバスノット大佐のパイプクリーナーと、ドラゴミロフ侯爵夫人のハンカチを証拠として敢えて残しました。

この2人には鉄壁のアリバイがあるからです。

真っ赤なガウンを着た謎の女、という偽の手がかりまで出てきました。

車掌のピエール・ミシェルも共犯です。


13人の中で、一人だけがラチェットを刺していないという結論に達しました。

それは誰か。これは最も動機が深いと思われた、アンドレイニ伯爵夫人でした。

アンドレイニ伯爵が彼女の代理として参加したのです。

ミシェルは鉄道会社に長年勤務していました。自殺したフランス人メイド、スザンヌの父親です。

メイドのヒルデガルトは、アームストロング家の料理人でした。「料理はお得意なんでしょう?」と尋ねると、「これまで仕えてきた奥様にはとてもお褒めいただいておりました」と答えてくれました。


アーバスノット大佐は、アームストロング大佐の友人だったのでしょう。

ハードマン氏は、スザンヌの恋人だったのではないか、というのが私の予想です。

ハバード夫人は、ラチェットの隣の部屋にいる最も怪しまれる人物です。それを疑われないように、

演じられるのは名女優リンダ・アーデンしか考えられません。


「何もかもお見通しなのね」。騒々しいハバード夫人が、急に落ち着いた声になり、リンダ・アーデンに変貌した。

「アームストロング大佐には、戦場で命を助けられたのです」とアーバスノット大佐は言った。

ヘクター・マックイーンはソニアに恋をしていました。

マスターマンとマックイーンをカセッティの元に送り込み、ミシェルに相談する事にしました。

カセッティがオリエント急行に乗るという情報がマックイーンから入り、ピエール・ミシェルも元々乗車していたので好都合でした。


発車間際になって貴方がいらしたのは不運でした。

もし、どうしても誰かを犯人にしたいのなら、私を犯人として突き出してください。

あの男のためなら、私1人で12か所を刺すことぐらい、造作もなくやってのけたのですから」


リンダ・アーデンはそう言った。


ポワロはブークに目をやった。

「私の意見を言うならば、第一の外部犯説を信じましょう。警官にもそう伝えましょう」


ブークがそういうと、ポワロはゆっくりとうなずいた。



☆感想


乗客全員が犯人、という設定に初読ではぶっ飛んだ記憶があります。

ミステリとしては実に見事で、そこにアームストロング事件関係者という人間ドラマがうまく配合した素晴らしい作品だ、というのが記憶の中にありました。


今回再読してみると、初読時に感じたほど、アームストロング事件関係者の人間ドラマ部分には比重を割かれていない事に気づきました。

ミス・デヴナムとアーバスノット大佐の恋、それとドラゴミロフ侯爵夫人、リンダ・アーデン、グレタ・オルソンといったキャラは立っていますが、

ハードマン氏やマスタートンのように地味なキャラクターもいて、13人全員が生き生きと動いている、という印象は受けませんでした。

(まぁ、これだけの人数を全員、活き活きと描き分けるのは難しいですが)


そのため、評価が初読時より下がってしまいました。


余談ですが、クラシック・ミステリのあらすじを書きだすと、凄い文字数になってしまいますね。

情報をこちらで勝手に取捨選択をするのも難しいですし。

難解な作品を解析するのとは、また別の悩みがあります。



☆登場人物まとめ(裏)

ラチェット(アメリカ)……アメリカ人の富豪。被害者。

→カセッティ……連続誘拐犯の殺人鬼。


ヘクター・マックイーン(アメリカ)……ラチェットの秘書。

→ソニアに恋をしていた青年。


ピエール・ミシェル(フランス)……車掌。

→冤罪で自殺したスザンヌの父。


エドワード・マスターマン(イギリス)……寡黙なラチェットの召使。

→アームストロング家の執事。


ハバード夫人(アメリカ)……騒々しいおばちゃん。

→リンダ・アーデン……殺されたデイジーの祖母。死んだソニア・アームストロングの母。


グレタ・オルソン(スウェーデン)……羊に似た弱々しい宣教師。

→アームストロング家のメイド。


ナタリア・ドラゴミロフ侯爵夫人(ロシア)……リンダ・アーデンの親友。ソニアの名付け親。


ヒルデガルト・シュミット(ドイツ)……ドラゴミロフ侯爵夫人のメイド。

→アームストロング家の料理人。


アンドレイニ伯爵(ハンガリー)……外交官。


エレナ・アンドレイニ伯爵夫人(ハンガリー)……アンドレイニ伯爵の妻。

→ヘレナ・アンドレイニ伯爵夫人……ソニアの妹。デイジーの伯母。


アーバスノット大佐(イギリス)……インドで従軍していたイギリス人。ミス・デヴナムと親しいが、それを隠そうとしている。

→アームストロング大佐の戦友。


メアリ・デヴナム(イギリス)……アーバスノット大佐と仲が良い。

メアリ・ハーマイオニー・デヴナム→デイジーとヘレナの家庭教師。


サイラス・ハードマン(アメリカ)……ピンカートン探偵社の探偵。

→スザンヌの恋人。


フォスカレッリ(イタリア系アメリカ人)……車の営業マン。

→アームストロング家のお抱え運転手。



☆映画版(1974)の感想

かなり原作に忠実で、作品の良さを引き出した素晴らしい映画化。

作品トリックに関して、ドラマ版よりもしっかり描いている印象。

何よりOPで「アームストロング事件」についてバンッと出しているおかげで、ストーリーがたどりやすい。

一人ひとりの個性も立っていて、名画だと思う。

ただ、吹き替え版で見たせいなんですけど、ポワロがスーシェ版よりも遥かに下品で、「なんだこいつw」感が(実際のポワロもそうなのかもしれないけど、スーシェに慣れてるとww)


ラストのハッピーエンドも、まぁこれで良いとも思うんだけど、スーシェ版と比べると陽気な感じ。



☆ドラマ版の感想(デイビッド・スーシェ版)

原作や映画版にはなかった、『人が人を裁く事の是非』について掘り下げているのが好印象。

意外に能天気な原作版のラストよりも、ずっとシリアスですね。


一方で、事件自体をあっさりと終わらせた感はあります。

各キャラクターの紹介も比較的あっさり気味。

トリックが有名なこの作品ですが、さすがに現代の視聴者はもうトリックは知っているだろうという判断でしょうか。

人間ドラマも含めて、もう30分あれば完璧になった気がしますが、悪くない内容です。


めちゃくちゃ長い記事になってしまいましたが、最後まで読んでくれた方がいましたら、本当にありがとうございました!(いないだろうな…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る