第7話 イアン・フレミング「ドクター・ノオ」
今回は、備忘録として、
チャンドラーに続いて、あらすじ・プロットを抜き出す形の感想になります。
ちゃんとした感想が読みたい方へ、お目汚しすみません。
☆オープニング
舞台はジャマイカ。(ジャマイカはイギリスの旧植民地である)
中国系黒人である3人の盲目の乞食が、
イギリス情報部員(MI6)ストラングウェイズと助手のメアリーを暗殺した。
ジャマイカでは、ベニヘラサギという希少鳥類を保護しようとしていた。
グアノという鳥糞の化石を使って金儲けをするため、ドクター・ノオという中国人とドイツ人の混血が、無人島を買い取り、ベニヘラサギ保護とグアノ採掘のために人を雇っているという。
(ドクター・ノオは実際には、ベニヘラサギにもグアノにも興味はない。ただ、無人島の王として君臨したかっただけ)
ドクター・ノオの、よそ者への拒絶反応は執拗で、『火を噴く鳥(戦車)』まで使っているという。
(ちなみに、グアノというのは今回初めて知ったのですが、100年以上前にグアノ絡みで戦争があったのですね。そして、ボリビアとチリは未だに国交を回復していないのですね;苦笑)
ジェームズ・ボンドは上司のMに呼び出され、ジャマイカへと赴任した。
☆冒険の始まり
ボンドが空港に着き、以前の相棒クォレルと再開していると、急に女性カメラマンに写真を撮られる。
一般的には有名ではないはずのボンド(5年前にジャマイカで事件を解決した事があるらしい。多分007シリーズには描かれていない事件だと思われる)が知られていることに、彼は不安を覚えるのだった。
更に空港から謎のタクシーに尾行されたので、ボンドはうまくまいてホテルに向かった。
ドクター・ノオは、クラブ島という島を閉鎖しているため、周囲住民からは『魔の島』と呼ばれているという。
ホテルでくつろいでいると、空港にいたカメラマン、アナベル・チャンがまたも隠し撮りをしていたので捕まえ、情報を得るため拷問したが、決して口を開かなかった。
ボンドはジャマイカ副総監に会うが、副総監は事件について無関心である。
グアノというのは鳥の名前でもあり糞の名前でもある(のかな?)。
カタクチイワシを食べて、グアノという糞を落とす。
これが天然肥料となり、資源として重宝された。
ボンドはストラングウェイズ事件の書類をなくしてしまった、プレイデルスミスという要人と会うが、彼の秘書も中国人だった。
ホテルに帰るとボンドの部屋には、謎の果物(注射跡がある。青酸カリ入り)が届けられていた。
更に、ボンドの部屋に、毒ムカデが送り込まれた。(この小説で最大のサスペンス・シーンだと思う。体の上を這うムカデのシーンは、なかなかヤバいw)
動かず、何とか刺されずにムカデがボンドの身体の上から離れ、ボンドはムカデを退治した。
☆島への潜入
ボンドはクォレルを、クラブ島に潜入するよう誘う。
クォレルはOKするが、相当怯えているようで、潜入前に生命保険に入ると言い出した。
本来勇気があるケイマン人であるクォレルを、これほど恐れさせるのがクラブ島という島なのだった。
ボンドは替え玉を用意していたが、その替え玉も殺害された。
(どう考えても、ドクター・ノオ過剰防衛すぎだろ……わざわざ自分からボンドに喧嘩を売りに行かなきゃ、大して問題にならなかったと思うのに、バカすぎ……。
まぁ、007シリーズの悪役で賢かった奴はほとんど思いつかないけど)
島に上陸すると、突然謎の裸美女が登場する(お約束)。
気の強そうな美女なのだが、鼻を殴られた跡がある、ハニー・ライダーというのが今回のヒロインだ。
ハニーは、貝殻を拾いにきたようだ。
自然についての知識が豊富で、野生児という感じだ。
ハニーは「竜を見た」という。
ドクター・ノオ配下の捜索隊がやってきた。
戦車に乗って声をかけ、出て行かないと機銃を発射してくる。
怯えるライダーを抱きしめながら、何とかやり過ごした。
彼らは「次は犬を連れてくる」と捨て台詞を残して行った。
犬を連れて連中がやってきた。ライダーの立案で、水の中に隠れる(竹筒で息をするw 忍者かよwww)
しかし、見つかりそうになったのでボンドは連中を撃退した。
その後、『竜』が通って行った跡を3人が見ると、木々がなぎ倒され、藪が焼かれていた。
キャンプに着き、お互いの事を語るボンドとハニー。
ハニーを殴ってレイプした男に、ハニーは毒蜘蛛を放った事も明かした。
ハニーは貝を売って生計を立てていた。
ハニーは「コールガール」に憧れているという。
ハニーはコールガールの実態を知らず、ただチヤホヤしてもらってお金までもらえる職業だと思っているらしい。
お金持ちになって、鼻を治して、お嫁さんになりたいらしい。
ボンドは「動物園や、ジャマイカ博物館」など、もっといい仕事があると諭す。
ボンドはハニーの世話をしてやろう、と密かに考える。
気心の知れた二人。
そしてハニーはボンドを誘惑するのだった。
夜、「竜」がやってきた。ディーゼルエンジンで走っている。
火炎放射器を使った戦車なのだ。
竜はクォーレルを焼き尽くしてしまった。
竜の拡声器が、ボンドとハニーの投降を命じ、2人は敵の前に姿を現し、囚われの身となった。
☆囚われの身からの脱出
散々、中国人の男たちに小突き回された末、2人の中国女(シスター・ローズ&シスター・リリィ)がいる部屋に連れられた。
「患者さんをこんなに手荒く扱うなんて!」と女は言った。
そこで、ボンドたちはまさに病院の入院用書式を書かされるのだった、
ボンドたちは監禁された。そこは精神病院のように、患者を閉じ込めるような施設だった。
(お風呂の入り方がわからない、というハニーの萌えイベントありw)
夕食のテーブルは、海中水族館のような仕組みになっていた(トンネルを掘って、ガラス越しに海の生物を見るようなやつ)
そこにノオ博士がやってきた。ノオ博士は両手がなく、義手をつけていた。
当然ながら、ノオにはボンドの正体はバレていた。
ノオ博士は自分語りを始めた。
中国の私生児として生まれたノオ博士は、犯罪組織で頭角を現し、
アメリカに移住してきたのだ。
ノオ博士は心臓が右にあるという謎の設定wによって、生き抜いてきた。
ノオ博士は無人島の王として君臨してきたのだが、グアノが注目を集めるにしたがって、よそ者がやってくるようになってしまった。
ノオ博士のクラブ島は、科学技術を発達させ、アメリカのミサイル飛行を操作することまでできるようになった(突然の展開ww)
ノオ博士はロシアと協力関係にあるのだった!
(無人島で権力者になりたかったんじゃなかったんかw ロシア人とか来たらめんどくさくないか??)
(ここからはぶっちゃけ、単なるアクションシーンで個人的には退屈なので適当に読んでしまった!)
ハニーとボンドは分けられて、ハニーは縛られ、カニたちの餌食にされるということだった。
ボンドは針金を使って、槍のようなものを作りだした。また、ライターも隠し持ってくることに成功した。
ボンドはシャフトを上った。つるつる滑りながら、ひたすらシャフトを上り続けた。
シャフト内が熱され、ボンドは裸になり、床に触れないように必死に上り続ける。体はヤケドだらけ、擦り傷だらけで汗まみれだ。
やがて毒蜘蛛タランチュラがうろつく場所にたどり着く。
ボンドはタランチュラをナイフとライターで倒した。
その後、ボンドは海に落ちて行った。そこにピラニアがやってくる。
それを倒すと今度は巨大イカクラーケンがやってくる。
やっと撃退し、ボンドは上陸することができた。
それからも色々あり、ノー博士も倒した後(というか、どうやって倒したんだっけw イカとかピラニアに気を取られて、もういいって……って気分になってたw)
コンベアベルトの側で向こうからやわらかい生物が、ボンドに噛みついてきた。
よく見ると、なんとハニーが生きていたのだった。
カニはハニーを襲わなかった。その後ハニーは別行動を取ったのだった。
☆エンディング
その後、元気を取り戻したボンドはジャマイカ総督府を訪ねた。
ボンドは、ハニーがニューヨークで鼻の手術を受けた後、
ハニーがジャマイカ博物館の仕事を斡旋してもらえるよう、プレイデルスミスに頼んだ。
また、ハニーの臨時の住処も彼に頼む事が出来た。
ハニーの家に行くボンド。
ベッドイン。ハッピー・エンド!
その後のシリーズには、ハニーは全く登場せずに別の美女が出てくるけどな!
前回の解析がチャンドラーだったもので、それに比べると、プロットが非常に抜き取りやすいなと感じました。
☆感想
ボンドが酷い目に遭う、ダイハード的なアクションシーンがえらく長くて、
そこがどうでもいいと感じてしまう僕としては、なんともw
シリーズものだし、ボンドが死ぬかも!?とかハラハラもしないでしょ。
ただただ、「大変だねぇ、お疲れさま」って気分でした。
盲目の中国人暗殺者とか、中国人が買い取った無人島、
というのは江戸川乱歩の「孤島の鬼」などと同じで、エキゾチックな不気味さがあるんだけど、
その不気味さこそが、差別感情なんじゃないかな?と思ったり、思わなかったりもしました。
まぁ、こういうエンタメアクションものは深く考えずに楽しむのが一番かもですけどね。
怪しげな中国人が暗躍していて、グアノという糞を守っており、
無人島に君臨しているという設定自体は面白いだけに、
ノオ博士の小物ぶりにはガッカリしましたが、このシリーズの悪役に大物はいないので、まぁこんなものでしょう……。
☆映画版
「007ドクターノオ」の映画版も再視聴してみました。
原作の鳥の糞(グアノ)関連のエピソードがバッサリカットされているのは、知識欲的には残念だけど、ドクター・ノオの野望が全く別物になっているけど、
元々原作のノオ博士は首尾一貫していないのでまぁあり。
原作では突然ぶちあげるノオ博士の『ミサイル誘導』の方が前面に出ている。
ヒロインが鼻にコンプレックス持ちというのが、映画ではない(まぁ美人女優使ってるし)のは残念。
ヒロインのルックス自体はイメージ通りなんだけど、原作の方が活躍する。
あと、海中水族館が想像以上にショボい(そりゃ1960年代の想像ではこんなものか……水族館行けば、100倍豪華です)のは残念。
タランチュラ→ピラニア→クラーケンとの3連戦がバッサリカットされていて、ドクター・ノオと殴り合いで終わりはあっさりだけど、まぁ別にOK。
原作の大ファンだと不満を感じるかもだけど、特に思い入れがない身としては『B級アクション映画』としてはまぁ及第点じゃないでしょうか。
次回は(書くとしたら)イアン・フレミングの「ゴールドフィンガー」です。
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