第9話 アイリーンは憂鬱②
女性として生きるのも悪くないなと思った。おっぱいは揉み放題、パンツを見ても咎められない。双子の妹のエミリーは発育が良く素直な子で、どれだけおっぱいを揉んでも、おしりを触っても、パンツをスーハ―しても決して怒らない。
ただ、不満もある。努力は続けなきゃいけないのはわかっている。毎日、魔術の本を読み漁り、剣の修練をして、型をつくるために剣を振るう。そして、成果は目に見えてこない。
「ステータスという概念はないのかぁ!」
魔物を討伐するために村の外にでてから、誰もいない場所で思わず叫んでしまった。自分の実力を知るためには魔物を討伐して、確認するほかない。ここにあるのは冒険者としてのランクのみ。よくある、スキル獲得やら、レベルアップで使用できる魔術が増えるやら、魔力が増幅するやらそんなことはない。現実は厳しい。まぁでもよく考えれば異世界に転生したからといってご都合主義的にあるわけがない。だってただ転生しているだけだから。この世界に則った概念で生まれてくる。といっても転生している時点でちょっと世界の流れから外れている気がするが、なぜ私が転生させられたのか甚だ疑問だ。魔物はいるけど世界は平和そのものだし、魔王がいるわけでもない。誰かが私を転生させた? でもそんあそぶりを見せる人物はいない。考えても仕方ないので自身を高め続けているが、むなしくなるときもある。
自分の成長が数字として見えてこないから。異世界転生なら、具体的な数字とかみたいなとつくづく思う。固有スキルとか、新たに取得できる魔術とか・・・・・・。
この世界にはそういう概念は存在しない。新しく魔術を覚えるなら本を読み、その魔術の土台を理解する。簡単なのは書かれている術式を記述して魔力を流しこんで起動させるやり方だ。それか詠唱して起動。詠唱もしくは術式の記述を契機として魔術が起動することが一般的だ。だが、これでは本当の意味で新しい魔術は生み出せない。昔から蓄積された情報の元、構築された魔術のみ。じゃあこれらの魔術はどう生み出されたのか。
初めは詠唱も術式も存在しなかったのではないか。生まれたときにあるのは自身の魔力のみ。この魔力をいかに使うか、先人たちは考え、魔力を具現化した。そのときに最初から術式を記述するといったことはあるのだろうか。
たとえば木に火をつけるというイメージで魔力を使い、それができると知ってから誰もがイメージしやすいように詠唱や術式が生まれたのではないかとアイリーンは日々の学びや修練の中で考えていた。
そしてたどり着いた無詠唱での魔術の起動。三歳でやってのけたが、それに至るまでは失敗の連続。五歳まではほぼ剣術ではなく、魔術の偏って知識を積み重ねていた。魔術を学んだことによって自身の筋力を上げる術式を起動することによって剣を振るうことができるようになり、習熟速度が格段にあがった。
自分の実力を知るために度々魔物を倒しにでかけ、時には迷宮区にいき、ちょっと有名になったらパーティーに入れてもらい、いつの間にか十歳のときにはSランクの冒険者として認定されていた。
十歳でSランクの冒険者は歴史上最速らしく、転生者っぽいなと思うが、結局のところ死ぬほど努力した結果で、一度も楽をさせてもらえなかった。どこの世界で生きようが、何かを手に入れるにはそれ相応の継続する時間が必要なのだとアイリーンはふとしたときに思う。
ただ、女性として生きていく中で女の子たちと激しめのスキンシップをとっても怒られないというのは本当に天国だ。見た目は女の子だが、中身はおっさんというギャップは成人を迎えた十五歳になっても埋まっていなかった。
だからこそ、ヴェンからの告白には戸惑い、そしてやっと自分が女の子であると自覚せざるを得ない状況になってしまった。
アイリーンは憂鬱だった。
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