第37話(レイの弱点)
ーー俺は瀬名レイ。通夜の次の日、クララを連れて、西園寺の運転で横浜陰茎学園へ登校した。すると、校庭に学ランを着た単車集団が居た。単車10台に20匹と言ったところか。コイツら血便馬鹿山学園の連中だな。報復に来たか。朝早くにご苦労なこった。
血便馬鹿山学園の連中が一人の女子生徒を連れてるが、様子がおかしい。髪の毛を掴んで無理やり歩かせて車の方へ向かってる。横浜陰茎学園の生徒をゴールド・メンバーズのミニバンを奪って連れ去ろうってのか?
「先週と同じ勢力の連中じゃな? またビリビリするか」
「待て、クララ。人質が居る」
「むぅ」
「まずいですよ、キャプテン・ジャパン」
「そうだな。人質を取られたら厄介だ。助けに行く」
「それはそうなんですが、あの子は鈴木さんの妹さんです」
「何とかする」
俺は車を降りるとクララも着いてきた。
「我に任せるのじゃ」
「なんか考えがあるのか?」
「ピンポイントで攻撃出来れば良いのであろう?」
「そうだけど。なら、あのミニバンを破壊してくれ」
俺は、ゴールド・メンバーズのミニバンを指差す。おそらく、あのミニバンで鈴木の妹を連れ去るつもりだろう。
「任せるのじゃ。いつでも使えるように二つ分唱える」
「頼む」
クララは魔法の詠唱に入った。かなり集中してる。俺は単車集団を相手にするか。
「おいコイツ、キャプテン・ジャパンじゃねえか? ちょうどいい、殺してやる」
雑魚キャラが吠えてやがるぜ。人質を連れ去られる前にカタを着けてやる。
「掛かってこい、雑魚共」
血便馬鹿山学園の一人が前に出た。一騎討ちか。まあ、良いだろう。他の連中も後でボコボコにしてやる。
「二軍のボス〝ヤヨイ〟君、殺っちゃってくださいよ!」
ヤヨっ……。ズキッ! 頭がいてえ。くっ! 片膝を突いちまった。
「何、ビビってんの? お前、本当にキャプテン・ジャパンの瀬名レイか? まあいい、その首もらったー!」
「黙れ!」
バキッ! 顔面がいてえ。アッパーが飛んできた。動けない事をいいことに。この頭痛さえなければ、こんな雑魚!
ドスッ! 今度は腹パンか。くそー、動けねえ。
「コイツ、よえーぞ! アハハハハ!」
「「「アハハハハ!」」」
「くっ!」
「どうやら名前だけのようだな、キャプテン・ジャパンさんよ!」
バキッ! 今度はミドルキックが側頭部に。ちくしょー。
ドッカーン! クララの魔法か!? ミニバンのボディーに穴が空いた。
「クララー! 頼ーむ!」
「任せるのじゃ!」
ズドーン! バリバリバリ! 俺を殴った奴以外全員に雷が落ちてぶっ倒れた。単車も全て燃えてる。頭痛が治まってきた。俺は立ち上がる。
「雷だと!?」
「手加減はここまでだ。アイム・ナンバーワン!」
ドスッ! 俺は敢えて敵の溝尾ではなく、脇腹に一発の拳を突き刺した。3割の力で。肋骨を5本へし折ってやった。
「ぐはっ!」
「肋骨が折れると数年は痛みが続くみたいだな。存分に苦しめ」
「くそー! マジで手加減してたのか、痛い」
「呼吸すると痛いだろ? 折れた骨が内臓に刺さると更に痛いよ、ざまあ」
「いてえ…………」
「先代のキャプテン・ジャパンが世話になってるようだな」
「なぜそれを知ってる! いてえ…………」
この一言で確信に変わったな。先代が裏切ってると。二軍のボスとやらは大の字に倒れた。さて、鈴木の妹を助けるか。
「レイ!」
クララの声と同時に単車が走り出した。1台生きてたか。血便馬鹿山学園の奴が運転している。クララの魔法の範囲から外れてたか。鈴木の妹は? 単車のリアシートに積まれてる。気を失ってるのか? 意識がなさそうだ。まずい。
「西園寺! 追跡してくれ!」
「かしこまりました!」
単車相手にセダンなら追跡出来るはずだ。俺は少し休まないとキツい。まだ頭痛が完全に治まってない。クララを一人にする訳にもいかん。西園寺が運転するセダンがUターンして単車の追跡を開始した。俺は肋骨をへし折ってやった奴を尋問する。
「鈴木の妹だと分かって誘拐したな?」
「さあ、何の事やら。いって!」
「どこに連れてくつもりだ? 正直に言わないなら、折れてる肋骨を肺に刺す。あ、間違って心臓に刺さったらごめんあそばせ」
「なんて奴だ」
「俺は敵と認識した連中は徹底的に叩き潰す。正直に吐かなきゃ、あの世で後悔しろ」
俺は片脚を振り上げて踵落としのふりをする。
「わ、分かった。鈴木の妹は、血便馬鹿山学園で監禁する手筈だった。これで許してくれ」
「立て」
「は? 無理に決まってんだろ。痛い」
「敬語が使えんようだな。今すぐ立ち上がらないならこうだ!」
バキッ! 俺は二軍のボスとやらの足首の骨を踵落としでへし折った。
「いてー! いてー!」
「立てないなら一生立たなくていい」
横浜陰茎学園の生徒達が徐々に登校してきたから、俺はゴールド・メンバーズのメンバーに状況を説明した。報復に来た血便馬鹿山学園の連中は全員拘束されて、地下室の監禁部屋に入れられた。
鈴木が単車で登校した。俺は鈴木にも状況を説明した。鈴木から殺意の波動を感じる。それは先代のキャプテン・ジャパン、高町に向けられてる。鈴木はゴールド・メンバーズが集まり次第、血便馬鹿山学園にカチコミをすると言った。俺も賛成だ。ちょっとコンディションが悪いけど。クララも臨戦体勢だ。
俺の携帯電話に着信が来た。西園寺から通話だ。血便馬鹿山学園まで追跡が出来たか。
「キャプテン・ジャパン、すみません。事故っちゃいました」
「無事か? 運転には絶対的な自信があるだろ。西園寺が事故るなんて」
「血便馬鹿山学園の校門前でエンジンオイル撒かれてスリップしてしまい、僕以外の車も捲き込まれてます。しばらく動けません」
「人質は血便馬鹿山学園に入ったんだな?」
「はい。そこまで確り見ました」
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