第23話(レイ&鈴木VS用心棒)
ーー俺は瀬名レイ。今、横浜陰茎学園の食堂で昼飯を食ってる。それにしても、バリカン一行は何をやってんだ? 何時間も帰ってこないし、ゴールド・メンバーズの誰にも連絡してこない。アプリもログインしてない。まさか、お坊っちゃま達にボコられてる? 俺の隣で鈴木が心配そうな顔をしている。なんだかんだ鈴木はバリカンを高く評価してたしな。
「遅い、遅すぎる。10人くらいでは少なかったか」
「心配すんなって。その内、犬みたいに帰ってくるさ」
なんか周りがガヤガヤし出した。食堂の外か。なんだろう?
「通してー! 通してー!」
急病人か? と思ったら、血まみれの男が俺達の前に来た。コイツは確か、東京犠牲者学園にカチコミに行ってもらったゴールド・メンバーズ第1勢力の一人だ。ズタボロで酷いダメージを負っている。すぐに救急車を…………あ、そうだ、横浜陰茎学園には病室がある。そこまで運ばないと。
「報告します! リーダーとキャプテン・ジャパン!」
「何があった?」
「何とか逃げてきました! バリカン君と九人は敵一人にやられて、全員の携帯電話を川に投げ捨てられて! 俺は隙を見て脱出しました!」
逃げてきたメンバーは泣きながら報告を続けた。話によると、東京犠牲者学園の生徒ではない20代くらいの男にバリカンがのされて、残りのメンバーもボコられて、気が付くと結束バンドで両手両足を拘束されてたそうだ。そして、全員の携帯電話を河川敷から川に水切りをするのか如く投げ捨てられたそうだ。逃げてきたメンバーは足の拘束が甘かったようだ。11人がかりでも勝てない相手。総出で行くしかない。
「相手は一人だが、ゴールド・メンバーズ総出で行くぞ」
「待て、キャプテン・ジャパン。これは罠と見た方がいいだろう。敵は人質を取っている」
「じゃあどうしたらいい?」
「お前はまだ若い。こういう時こそ冷静平常心だ。ゴールド・メンバーズとやり合おうってなら、各勢力は横浜陰茎学園を守り、俺とキャプテン・ジャパンで特攻(ぶっこみ)をかける。仲間を助け出すぞ」
「敵の目的は横浜陰茎学園なのか?」
「嫌な予感がするんだ」
「分かった、それでいこう」
鈴木は頼りになる。バリカンは頼りない。俺は人選をミスった。しかし、東京犠牲者学園の連中は、飛平が侵入してから一日で用心棒を雇ったのか? 全一教会と繋がりがありそうだぜ。こうなると全一教会も薬物を? いや待てよ、全一教会が生徒に薬物を売ってると見た方が正しいか。
俺と鈴木が席を立つと、飛平が来て土下座をした。何事だ!?
「鈴木、キャプテン・ジャパン、話は聞いた! 俺が悪かった! すまん!」
「どういう事だ、飛平?」
「俺が、キャプテン・ジャパンに戦力を割くようにSNSで意見したんだ。俺が完全に見誤ってた」
「おそらく別の組織だろう。全一教会とか」
「面を上げろ、飛平。過ぎた事は仕方ない。ゴールド・メンバーズにケンカを売ったらどうなるか。俺とキャプテン・ジャパンでシメてくる」
「すまん!」
俺と鈴木は、黒塗りのセダンで東京犠牲者学園に向かう。運転はまた西園寺だ。後ろには第2勢力の雑用係が運転するミニバンが着いてくる。セダンに10人も乗らないからだ。早く人質になってる仲間を助け出さないとな。バリカンも仕方なく助けてやるか。人質になってるメンバーは怪我してるだろうから、単車回収係がミニバンに乗ってる。
俺と鈴木を乗せた黒塗りのセダンとミニバンは、東京犠牲者学園の駐車場に停まった。西園寺を待たせて、俺と鈴木は急いで河川敷に行く。
俺達は河川敷を進んでいくと、芝生の上に10人横たわってた。第1勢力とバリカンだな? 斜面の上でタバコを吹かせながら座ってる男が一人。コイツか? ゴールド・メンバーズにケンカを売った奴は。
「キャプテン・ジャパン、ソイツらを解放してやってくれ。俺が倒す」
「分かった、気を付けろよ」
俺は、ケンカに負けて拘束されてるメンバーを見る。息はあるようだ。鈴木は男に詰め寄った。
「お前を殺す」
「まあ待てよ、横浜陰茎学園の生徒」
「なぜ判る?」
「カマをかけたんだよ、ガキんちょ」
「何だとこの野郎!」
「まあ待てよ。関東でも指折りの不良チームのメンバーを俺一人で倒して、コイツらその後どうなったと思う?」
「知らん!」
「マトモにケンカもした事ない東京犠牲者学園の生徒に、拘束された状態でタコ殴りをさせてボコボコだ。笑えるだろ」
バキッ! 鈴木が男を殴ったが、片手でガードされた。鈴木のパンチ力は半端ない。俺が闘った相手の中でも一番だ。あんなガードじゃ骨がイカれる。
「そう急ぐなよ、黒人生徒。都合よく一人だけ逃げれたのはなぜだと思う?」
「殺す」
シュッ、ドカッ! 鈴木の右ストレートを男がかわして、カウンターで鈴木にボディーブローを入れただと? 鈴木が倒れた。マジかよ、鈴木を一撃で。体格差があれだけあるのに、鈴木が負けるとは。コイツが例の用心棒か、なかなかやるじゃん。
「次」
「待て。コイツらを解放するのが先だ」
俺は、ニッパーで結束バンドを切り、仲間の拘束を解いていく。サッ……。後ろに気配!? 男が一瞬で俺の背後を取っただと? 俺は振り向きざまに拳で顔面を狙ったが、シュッ。避けられた。男のカウンターが来る。ドカッ! ボディーブローがもろに入った。いってー! だが…………!
「ケンカってのはこうやってやるんだよ、アイム・ナンバーワン!」
「は?」
俺は食らったボディーブローの腕を掴み、ガンッ! 引き寄せると同時に男の顔面にチョーパンを入れた、5割の力で。その直後、瞬発的に数十発のパンチを男の顔面とボディーに入れた。
「ぐわっ!」
ドサッ。男は意識を失って倒れ込む。俺を怒らせるなよ? 仇は取ったぜ、鈴木、皆。
俺は、意識を失った男が二度と闘えないように、バキンッ………………バキンッ。男の両腕の肘を十字固めで180度逆方向に曲げて関節を破壊した。これで戦闘不能っと。光属性と闇属性の俺をナメんなよ?
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