第16話(狂気! 飛び出せ親指の森)

ーー俺の名前は場利貫太郎(ばり・かんたろう)。通称、バリカン君。敵をバリカンで落武者ヘアスタイルにするのが趣味だ。ムカつく一年坊、瀬名レイにボコられて失神してしまった。俺は、子供の頃からケンカ三昧で不利な闘いでも特攻して、どんなにボコられても膝すら突かない防御力が持ち味だった。だが、瀬名の一撃で全てが台無しだ。鈴木さんの温情で第1勢力の補佐は続けられるが。鈴木さんは俺に、瀬名を恨むなと言ってたけど、やっぱ瀬名はムカつく奴だ。一発、金属バットで頭を殴ってやった。とりあえず、誰のか知らんが、金属バットを戦利品として持ち帰った。瀬名に壊されたバリカンの代わりだ。怒りが収まらん。今、深夜2時だ。怒りで眠れない。


俺の親は横浜市議だ。世間体を考えて、俺に一人暮らしをさせてる。今となってはどうでもいい。毎月数十万円を振り込んでくれるし。俺の家はタワーマンションの低層階。


ダメだ、眠れない。酒でも飲むかな。ゴー! 何の音だ? バーナーで炙ってるような音が聞こえる。ストレスで幻聴が聞こえるのか? 俺は起き上がる。真っ暗な部屋の中、ベランダのガラスの一部がカーテン越しに赤く見える。これは焼き切りだ。タタキだな? ムシャクシャしてるし、ゴールド・メンバーズ第1勢力補佐の意地を魅せてやろうじゃん。


パリン。ガチャ。ひそひそ声が聞こえてくる。男の複数犯か。


「おい、早くしろ」

「分かってるよ。家主に見付かったら殺せよ」

「任せろ。さーて、たんまり金目の物を頂こうか」


バキンッ! ドサッ。


「おい、何をやってる? 遊んでないでさっさと中に入るぞ」


俺は一匹目の頭を金属バットでカーテン越しに殴った。気絶したかな? そして、俺はベランダに出る。もう一匹はハシゴからベランダに降りようとしていた。ガシャーン!


「うわ! うあーーー!」


ドサッ! 俺は金属バットでハシゴを叩き、もう一匹を紐なしバンジーさせた。低層階でもこの高さから落ちたら無事では済まんだろうな。さて、一匹目はどうしてやろう? 気を失ってるようだが。瀬名は鈴木さんの関節を絞めてたな。奴に出来る事は俺にも出来る! 俺は、犯人をうつ伏せにして、後ろ手に腕を回し、おもいっきり、ゴリッ! 肩の関節を破壊した。片腕じゃ不安だな。家主を殺すとか言ってたし。もう片方の腕も、ゴリッ! これで戦闘不能。


「う、うう」

「気が付いたか? 強盗野郎」

「頭が痛い。肩も」

「謝るなら今のうちだぞ?」

「ごめんなさい! ごめんなさい!」

「デケー声出してんじゃねーよ! 近所迷惑だろ!」


バキッ! 今度はアキレス腱を狙って金属バットを振り下ろす。


「いたー!」

「デケー声出してんじゃねーよ、殺すぞ?」

「ごめんなさい、ごめんなさい」

「声が小さい! お前の両肩を破壊したからな。二度とタタキが出来ない障害者の出来上がり~」

「何でそんな酷い事を……」

「はぁ!? テメー、殺しも厭わない強盗未遂しといて酷い事? だったら家主の反撃に遭うことを想定して、自分に嵌めてもらうための手錠を用意して来い。それなら障害者にならずに済む」

「そんな滅茶苦茶な」

「タタキに入ろうなんて考える方が悪いのは一目瞭然。強盗したけりゃ遺書を書いて来いよ、ばーか」

「僕達は指示されただけで。許してください」

「お前を殺しても正当防衛だよな? 一人殺っちまったし」

「ごめんなさい! ごめんなさい!」

「お前が持ってたナイフが使えるな」

「ごめんなさい! 許してください!」

「俺は眠れなくてムシャクシャしてんだ。切腹させてやるから、飛び出せ内臓の森といこうか」

「それだけはやめてください! お願いします! 救急車を呼んでください!」

「そうだな。内臓飛び出ちゃったら気持ち悪いしな。じゃあ、ケツの穴にナイフ刺して人工肛門になる?」

「やめてください! ごめんなさい! ごめんなさい!」

「だからよー! 近所迷惑だって言ってんだろうが! テメーの糞を見ろってのか!? 許さねえ!」

「グズッ、グズッ、うわーん」

「泣いてんの? 情けねえな、雑魚が。そろそろ飽きたな。肩が治る可能性があるよな?」

「…………」

「返事ぃ!」

「はい!」


バキンッ! 俺は、犯人の頭を金属バットで強く殴って気絶させる。じたばたされてもめんどくさいしな。俺は、犯人が持ってきたナイフを手に取る。そして、犯人の両手の親指をねじり切り落とした。きたねえな。犯人の血がピャーっと顔に付いた。許さねえ!


「ひゃっひゃっひゃっ。労災が下りるといいね。親指一本の欠損でベンツ買えるみたいだよ。アハハハハ!」

「うう、うう…………、もう殴らないでください。え? うあーーー! 指がーーー! 指がないー!」

「黙れ!」


バキッ! 俺は、犯人の頭を金属バットで殴る。そして、ナイフで切り落とした親指を二本串刺しにしてそのままキッチンへ行く。フライパンは犯人どもに弁償してもらおう。縫い付けたら親指が復活してしまうかもしれない。俺は、犯人の親指をフライパンに入れて火にかけた。これで二度と物を持つことも出来ない体になったな。俺んちにタタキに入った罰だ。悪党を懲らしめるのは楽しいな~。親指ウインナー、ジュンジュワーだぜ。


ーー俺は、犯人の親指に火を入れてる間に警察を呼び、犯人は捕まった。ハシゴから落ちて紐なしバンジーした奴も生きてるそうだ。死ねばいいのに。俺は過剰防衛を疑われたが、神奈川県警はゴールド・メンバーズのメンバーに甘い。それは、ゴールド・メンバーズがここらの薬物取り締まりに一役買ってるからだ。だから俺はただの被害者。


タタキに入った連中に指示役が居るみたいだ。ゴールド・メンバーズのメンバーを狙ったのなら、瀬名に解決させるか。頑張れよ、キャプテン・ジャパン。ひゃっひゃっひゃっ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る