第2話(命名、猫の名前)

俺は家に着き、親に子猫を拾ってきた経緯を説明する。世話をちゃんとやるなら飼っていい事になった。理解ある親で良かった。俺は自分の部屋で猫の名前を考える。何にしょう?


「みゃーお」

「ミーちゃん…………ダメだ、ありきたりの名前は好かん」


俺は子猫を片手で抱きながら部屋をウロウロする。何かヒントになる物は…………。筋トレのダンベルやバーベル。本棚には漫画、図鑑。それとエロDVDにエロゲ。ダメだ。取り敢えず、図鑑でも開いてみるか。


「いいか、子猫。俺は感性で生きてる。図鑑をテキトーに開き、出たページからお前の名前を決める」

「みゃーお」


俺は宇宙の図鑑を手に取り、床に座る。そして、テキトーにページを開いた。宇宙の成り立ちについてのページだった。見出しは〝ハビタブルゾーン〟


「おい、ハビタブルゾーン…………ダメだ、長い」

「みゃーお」

「短くして、ハビィでいっか。おい、ハビィ」

「みゃーお、みゃーお」

「おお。そうかそうか、気に入ったか。今日からお前はハビィだ。善きに計らえ」

「みゃーお」


さて、名前も決まった事だし餌を買いに行くか。俺は空きの段ボール箱にハビィを入れて、財布と携帯電話を持って、母親のチャリで近所のペットショップへ行く。前かご付きのママチャリだ。


俺はペットショップ着くと、まず店員を探す。猫を飼うなんて初めてだし色々聞かなきゃな。それにしても狭いショーケースのケージに押し込められた犬猫が可哀想だ。


「いらっしゃいませ。何をお探しですか?」


俺は不意を突かれた。後ろから女性店員が話し掛けてきた。


「あ、ああ。三毛猫の赤ちゃんなんだけど、何を食べるのかな」

「お客様もですか」

「え?」

「いや。今さっき、女の子にも三毛猫の赤ちゃんについて色々聞かれまして」


多分、弥生だ。真面目だな。いや、当たり前か。


「そっか。俺にも教えてくれ。三毛猫の赤ちゃんは何を食べる?」

「子猫用のミルクですね。こちらです」


俺は店員の後を着いていく。猫関連の売り場だ。


「その三毛猫の赤ちゃんは生後何ヵ月ですか?」

「判らない。地中に埋められていたのを助けたんだ」

「そんな酷い事をする人が今時いるんですね」

「全くだ」

「取り敢えず、液体タイプのミルクがいいでしょう」


俺は猫用ミルクの値札を見る。粉ミルクのが割安だが、これは数匹居る場合だ。1匹なら液体タイプでいいか。


俺は子猫用のミルク、おトイレと砂を買ってチャリで自宅マンションに帰った。


俺は猫用ミルクを入れる小皿を1枚、リビングから拝借して自分の部屋に入る。すると父親がハビィの入った段ボール箱を覗いていた。


「パパ、何やってんの?」

「お帰り。ちょっと子猫の様子をな」


俺の父親、ジョージ・セナはアメリカ空軍所属の将校だ。階級は大佐。昔は戦闘機乗りだったが、今は攻撃用ドローンの開発などをやってるそうだ。戦闘機乗り当時のタックネームはルシファー。敵機を悪魔の様に撃墜しまくった事から名付けられたらしい。


「名前は、ハビィだよ」

「そうか、大切に育てるんだぞ。じゃあね、ハビィちゃん」

「ハビィちゃんって…………。大佐らしくしてよ」

「俺は家に仕事を持ち込まないタイプだ。レイもよく知ってるだろう」

「全く」


父親は部屋から出て行った。


俺は早速、ハビィを段ボール箱から出してミルクを与える。最初は怯えていたものの、ペロペロと猫舌で飲み始めた。一安心。

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