第28話 美術部
婚約したからと言って、深と萌の仲が特別変わるわけでもなかった。
普通に学校に行き、普通にデートをして、週に何回かSEXをする、そんな日常だった。
「ねえ、うちの部の講師知ってる?」
朝、駅までの道を歩きながら萌が聞いた
「えっと、西城さんとかいう人だっけ、たしかラジオ局のパーソナリティーもやってる」
「ふうん、さすがに、相手が美人だとよく知ってるね」
「知らない男子なんているか?」
「確かに、そうかもしれない、美人は得だよね」
「萌だってかわいいって知られてるじゃない」
「誰に」
「今までのクラスメートと、空手部とそれから」
「もういい、聞いた私が馬鹿だった」
萌はふくれっ面をすると、先を歩いて行った。
「おーい、萌、萌ちゃん、さっきの話、何」
追いついて横に並ぼうとすると萌は速足で前に行く
「ふん、いい、もう」
「気になるだろうさ」
「話が? それとも西城さんが」
「話が」
「どうだか」
「相変わらず仲がいいなあ、お前ら」
同級生が、追い抜いていく。
二人がわあわあ言い合っているのは、もう日常の風景らしく、暇な奴しか相手にしなくなっている。
「ヌードを描こうってことになってさ」
「西城さんが脱ぐの、それなら」
「それ以上言ったら殺す」
「はいはい、話し続けて」
「男子のヌード描こうって」
「美術部男子いたっけ」
「いない、それに部員脱がして、まともにかけるわけがない」
だろうと思う、深も同級生のヌードを描けるかというと多分無理だ。当たり前ながら萌なら書けそうだが、絵を描くだけでは済まないだろう。
ということで気が付いた。
「まさか、俺?」
「うん、部長の彼氏なんだから、それぐらい協力しろって」
「まって、美術部の連中の前で脱ぐの? 俺が」
「うん」
「うんって、もしかして確定」
「うん」
「俺には相談なし?」
「だからいま言った」
「ヌードってパンツくらいは」
「素っ裸」
「おい」
「いいでしょ、それくらい」
「いやならいいよ、もうさしてやんない、別れる」
いつもながら、無茶苦茶だ。こうなると諦めるしかない。
「わかったよ、いつ」
「今日、空手部には西城さんが話すって」
約束の時間に深は美術室に行き、裸になっている。
美術部の女子ってこんなに多かったか?
深は椅子に座って、考える人と思ったら、西城さんその人に違うと言われ、ダビデ像のポーズを取らされている。
一応真面目にイーゼルに立てたスケッチブックに、鉛筆を走らせている。
しかし、どうも女子の目は深の下半身に向かっているようで、落ち着かない。
せめてタオルと希望したが、西城さんにバッサリと却下された。
「部長はかまわないって言ったから」
萌のやつ、絶対に仕返ししてやる。深は心に誓った。
しかしモデルになって、面白いことに気が付いた。鉛筆を走らすことに一生懸命の部員たちは、徐々に脚が開いていることに気がついていないらしい。
八人いる部員の全員が、萌も含め、ミニスカートの中身をもろに見せてくれている、それで下半身が反応するほどやわではないが、こう色々なパンティーをゆっくり見られるというのは楽しい。
苺、白、ピンク、ブルー、茶のボーダー、花柄、赤、萌は、はいてない。待て、なんでだ、やばい、見てしまった。下半身に血が待て落ちつけ自分。深は慌てるがそうなるといっそう心臓は血液を送り始める。
逃げるつもりで西城を見たら、こちらも脚は全開そしてその付け根に、黒い繁みが丸見えになっっている。あんたもか。一瞬にして深のものは、とんでもないことになった。
みんなが息をのむ声、それでも美術部だ、今見ているものを写し取ろうと必死になって見つめ、そしてクロッキーを動かしている。
「萌、あんたこんなにでかいもの入れてるの? 大丈夫なの? がばがばにならない」
描き上げたのだろう、隣のクラスの確か三島とか言う女子が、ほかの男子の前なら絶対言わないことを言う。どうも俺は萌のもの、つまり彼氏候補というような枠から外れてしまっているということに、深は気が付いた。
「無理、絶対無理、こんなの入れたら」
「入れてみたい」
もう収拾がつかなくなった。どうするんだ深は動いていいものかどうか、情けない気持ちで萌に助けを求めた。
萌はくすくす笑いをしながら、近づいてきてタオルをかぶせた。
「はい休憩、いいですよね西城さん」
「なにで隠してんのよ馬鹿」
「お前のせいだろうが」
「そこまで反応するか」
「お前だけじゃないんだよ」
「え?」
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