第7話 美樹を撮影
深は脱いでいく彼女を撮影することにした。六×六のフィルムは、それなりに高いのだが何とかなる。
実は真紀は別れる際に、高校生の小遣いとしては大きな額を航の荷物にいれていった。
それに気が付いたのはつい最近だったが、今さらどうにもならない。ありがたくもらっておくことにした。どのみち、今更返しようがない。
そのうち何か差し入れにでも行こうとは思っている。
下着姿、ブラを外して、パンティーを脱いで。それぞれにポーズを付けた。航にそんな才能はないはずだが、ファインダーをのぞくと不思議と言葉が出た。
一枚ごとに要求が増していく、彼女は何の抵抗もしない、既に羞恥心をどこかに忘れてしまっているのかもしれない。
「なんかもうどうでもよくなっちゃった。写真だけでいいの?」
「いいえ、というより抱くつもりでした。最初っから」
「あらあら、なかなかのナンパ野郎なんですね」
「信じないかもしれませんが、カメラが言うんです。この子をとりたい、この子はヌードになる、やれるって」
「つまり私はカメラのお目にかなったってこと? 深くんは私を抱きたいと思ってくれるの」
「ええ、もちろん。あなたのような素敵な方とできるのを、嫌がる奴なんていないとおもいます」
「そのお上手もカメラのせい?」
美樹は笑顔を見せた。考えてみれば初めて見る笑顔だ。
「その笑顔、最高です」
深は素早くシャッターを切った。
「私ってどう? 女として」
「こんなガキの意見聞いてどうするんですか」
深は美樹を抱きしめると唇を重ねた。
「とりあえず入れてしまえ」
頭の中で声がする。いつも思うけれど、もう少し上品に言った方が。
「上品だろうが下品だろうがやるこたあ一緒」
いったいこのカメラは、どこで日本語を覚えたんだか、深は少しばかりおかしくなった。
カメラに従って、深は美樹をベッドに押し倒すとその股間に手を差し込んだ。
美樹は反射的に足を閉じかけたが、何を思ったか力を抜いた。
「うれしい、いっぱい出してくれた」
美樹はティッシュを股間にあてながら微笑んだ。つまるところ安全な日ということなのだろう。
「私、警察やめようかなって思ってるんだ」
美樹は急にとんでもないことを言い出した。
「府警本部勤務ってエリートじゃないんですか」
「そうでもないよ、今、警部補試験受けようかどうしよか迷ってる。なんか偉くなってもいる場所なさそうで、周りは馬鹿な男ばっかりだし」
「何か考えているの」
「とりあえず大学院行って、教員か、司法試験か。あいつら見返してやる」
意外と美樹さんは強気で向上心があるらしい。
「あ、先に行っててください、俺も三年後追いかけますから、ってまず大学からですが」
「あれ、深くんも。そっかお父さんの後を」
「検察官になるかどうかはわかんないんですけど、むしろ母さんの方を」
「お母さんは?」
「その大学の教員なんです」
「あ、そうなんだ。今度お話聞かせてもらってもいいかなあ」
「はい、母はひとと話すの好きですから、ぜひ」
「その時はまたしてくれる?」
「美樹さんさえよければ喜んで」
同じ女は撮らんぞ、カメラはまた贅沢なことを言っている。深はできるだけでも構わない。
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