121 進化の系譜 その101

 いよいよ、ダンジョンの侵入許可が降りるランクに到達したトーコ。

「これで、レベリングがはかどる!」

 ……と思ったものの、ダンジョンの殆どは余り通路の広さがそれ程でなく、ロッ君を連れて行こうとすると狭い……ということだった。

 仕方なく、普段連れの為の純戦闘用ゴーレムを創らざるを得なかったトーコであった……

※ま、まぁ……ロッ君は移動補助兼、輸送の用途が殆どだし……え? 拠点防衛もある? ふ、ふん!……忘れてただけだよ!

━━━━━━━━━━━━━━━


──さて、3回目だけどダンジョンに行くよ! 3度目の正直であって欲しい……orz──


「では、受け付けますね?」


「はい、お願いします」


 依頼も請けずにダンジョンに入る場合、申請してからでないと入れないらしい。今回は初めてということもあり……


【初めてのダンジョン(第1層のみ許可)】


 という……依頼ではないけど依頼掲示板のダンジョン板にあったチケットを千切って受付に持ってった。先着10名様まで……ということでチケットは10枚しか無かったけど、そうそう新人が居る訳でもなく……1枚しか千切られてなかった(別にフラグじゃない……と、思いたい)


「第2階層には入らないようにね?」


「はい」


「第1階層にも、稀に「はぐれボス」が徘徊してる場合がありますが、相手にしないように……」


「はい」


「もし、見つかったり追い掛けられたりした場合は即座にこれを使って下さい」


「はい?」


 というタイミングで手渡される。そこには、


【緊急脱出符(第1階層限定)】


 と書かれていた。


「うっかり戦闘に入ったとしても、第1階層徘徊ボス程度でしたら……これで強引に逃走できます」


 普通、戦闘状態になったら脱出できない……と思ったけど。高そう……


「大丈夫ですよ?……新人探索者の死亡率を下げる為に……伊達だてに高いピンハネ税を取ってないですから!」


 いいのかよ、そんなの此処ここでバラしても……と、チラっと周囲を見回すと……聞いてませんよって目を逸らす探索者たちが……。何となく、高い徴収税で涙をこらえてる気がしないでもない……と察し、改めて先輩たちに向いて頭を下げておいた。別に下げても困る頭でもないからね。


 でも、できるなら高額アイテムを無駄に消費しないようにしないとな……と思い、レイチェルさんに向き直して転移符を受け取る。うっかり使用しないように腕輪のストレージに仕舞い……


「最後です。怪我をするなとはいいませんが……五体無事に戻って下さいね?」


 冒険者にしろ、探索者にしろ……この職業は基本荒事が仕事となる。無傷で毎日戻れる方が異常といえる程だ……だからこその贈る言葉なのだろう。いや、トーコ自身はこの体になってからこっち、服しか破れたことはないが……


「わかりました。腕が千切れようが、足が砕けようが……死に掛けようが戻って来ることを誓います!」


 流石に頭だけになったらキモ過ぎるし人間として終わってるので……ギリギリを攻めた言葉をチョイスしたのだが!


「だから!……そうなる前に戻って来いっていってんのっ! わかってるっ!?」


 と怒られてしまった……怖過ぎるよ、レイチェルさん……orz


━━━━━━━━━━━━━━━

 いや、頭だけになって這いずって帰還するトーコ……恐怖以外の何者でもないわっ!(怖笑)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る