116 進化の系譜 その96

 4日目に、空襲警報かと間違えるような警報が……音量最大になってました!(鼓膜破れるかと思ったわ!)……そして、外には怪しげな集団が……え? 商人の輸送集団キャラバン?……確かに護衛も居るね。その後、グラスランドの町役場に確認に行ってた男とギルド職員が駆けて来ました。まぁ……説明を代わりにしてくれるならいいかな?

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──壁の外の攻防(どんな!?)──


 とまぁ、暫く眺めてたけど……。暇だし起き抜けなので着替えをして……いや、下着パンツ一丁に肌着(地球でいう寝間着)1着しか着てなかったし……。ベッドから降りて、普段着の短衣チェニック上下に着替え、頑丈な革靴(運動靴の素材を革にしたような奴)を履いて、最後に少し薄い生地で作ったストールみたいな奴を羽織はおった。


 少し寒くなってきたこの季節、水操作で温かくできるあたしはそのままでもいーんだけど……


(多分、何か着てくれないとこっちが寒いわ!……って思われるからなぁ)


 と思って、布だけ買っておいた奴を加工して羽織っている。正確には薄手の防寒着なんだけど……何も羽織ってないよりはマシって程度の。1枚だけじゃなくて2枚重ねて空気層を作ったので、そこそこ暖かいと思う。これ、作ろうと思ったら大きい生地の布をわないといけないから手先が器用じゃないと無理だろうね。……事実、あたしも針が何度かぶすりと……刺さらないけど(苦笑) 羽毛でもあれば中に仕込んでもっと暖かくなると思うけど羽毛は超高級品らしく、町には無かったとだけ……クソー!



「さて、此処ここ傍観ぼうかんしててもしょうがないし、行くか……」


 外で大声で怒鳴り合ってるようだし、流石に無視スルーする訳にはいかないだろうし。でないと、山の持ち主は耳が聞こえないのか?……って噂が流れてしまふ……orz


 外向けの服装に着替え終わり、魔石をタッチして止めようかなと思ったけどそのまま録画を続行しておくとして、玄関へと向かうとロッ君が何もいわずとも付いてくる(制御盤の操作をしてた時にはもう立っていた)


「さてっと……」


 ロッ君がしゃがみ込んで腕を差し出すので、


「いつもすまないねぇー」


 といいつつ腕に座る。無論、


「それはいわない約束だよ」


 とは返って来ないんだけどね……。



「だから!……とっととこの壁を壊してくれよ!」


「ですから!……この山の持ち主が造った建造物なんです!……勝手に壊したら責任問題ですよ!?」


「じゃあ誰が持ち主なんだよ!?」


「トーコ=バレイってお貴族様ですよ。勝手に壊したら、最悪首が飛びますよ?……物理的に」


 トーコが声が聞こえる距離まで近付いて来た時、集まった者たちは喧々諤々けんけんがくがくと騒いでいた。


(これに介入するのかぁ……面倒だなぁ……)


 と思いつつ、座っている腕をポンポンと叩くとロッ君が軽くジャンプする。実は、壁を作っただけで馬車が通過できるような扉を付けてない。ので、取り敢えず3mの外壁の上に飛び乗ったのだ。


 そして、そのまま飛び降りる……


すとっ


 流石に衝撃は逃しても着地音までは無音にはできなかった。多分だけど、この世界にゴーレム居ても、こんな芸当できないかもなぁ……


「「「なっ!?」」」


 喧々諤々の大騒ぎの中に、突如として現れた2m大の細身のロックゴーレム。そしてその左腕に座る少女。そんな想像の斜め上の組み合わせに……


「な、なんだ貴様ぁっ!?」


 という声と、


「バレイ卿ぉっ!?」


 というギルド職員の声が重なり、


「「……何て?」」


 と、顔を見合わせる商人とギルド職員。


「あの……人の山の目前で何の騒ぎですか?」


 と、おずおずと声を出すトーコ。果たして、騒ぎは収まるのだろうか?


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 危害を加えようとすればロッ君が容赦しない。その攻撃力を聞いているギルド職員は絶対手を出さないと思われ。トーコも、自身の防御力が物理オンリーなら拳銃弾くらいは弾き飛ばせるので普通の剣くらいだと傷も付かない……ので、攻撃を加える加えない以前に先に手を出すつもりは無いと……(防弾防刃仕様の短衣?……いえ、単に硬いだけです……皮膚が)

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