16 進化の系譜 ──監視サイド その5──

 町内会長の奥さんが町内会費を徴収にあの家に向かった情報を得た俺は、とある監視員の……町内会長の言葉が気になっていたんだ。

 まぁ、何って……あの家の子がどんな姿をしているか? それだけを確認する為にだな……

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──男かと思ったら美少女?──


「……」


 時間までは自分の仕事をする。まぁ、監視対象に異変が無いか……を見てるだけなんで退屈なんだがな?


「そろそろか……」


 接触時間まで残り10分だ……教えて貰った緯度経度に再設定する。何故、監視対象でもない監視を俺ができるか?……それは、


「Tさん、町内会の徴収です!」


 監視を頼んだ町内会の奥さんの声だ。無論、他人に聞かれないようにイヤフォンで聞いてるんだが……


「う゛……はぁーい……」


 玄関のドアは閉まったままだが声は聞こえてくる……てかこの声?


「あ、おはようございます」


 中から出て来たのは目が覚めるような白い美少女だった……その子は眠そうな声をしていたが(苦笑)……尚、指定された座標からはカメラは動かせないので玄関と周辺しか監視することはできないのだが……


「……えっと?」


 町内会長の奥さんが呆気に取られている?……つまり?


「あ、Tです」


 T……確か、この家の住人で……男性だった筈だが?


「えっと、Tくんの娘さんかしら?」


 ……普通、そう思うよな。提供された情報によりゃ20歳ってことだし。でも待てよ?……20で10前後の子って10歳で子作りをした?……んなバカなっ!?……という俺のほとばしりを無視して(いや、あちらには声が届く訳ないし、周りには他の監視員がいるから脳裏で絶叫してただけだけどな?)


「え、えーと……あ、そうそう!……Tに養って貰ってるんですよー」


「あら、そうなの?……あの人も隅に置けないわね?」


 ……という会話でヘナヘナとしぼむ俺(の精神状態)……いや、もういいや。あの家に白い美少女がいるっていい触らしたろ!


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 ……って、お前が原因かーい!w

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