第31話 エリックの謎

-side アクシア-



 勉強部屋に入った俺たちはエリックから歴史を教えてもらっている。

 難しい内容なのに、なぜか3人同じ内容だ。



「……我が国では、古代より魔物と共存しあって生きています。大昔に始祖の大精霊エレメンタール様が人々と魔物の間に入りテイムという魔法を人間に教えたことが人類と魔物の共存共栄の入り口となっている事は皆さんご存知でしょうが……」



 へー、魔境にいる人たちはみんな魔物と戦う気満々だから気付かなかったけれど、人類と魔物は必ずしも敵対しているわけではないんだー。知らなかったー。



「次に、人類がテイムしている魔物の統計グラフです。こちらは本に書いてあるグラフだと少しわかりにくいと思ったため書き直しました。ここの特に面白いのが中世から近代にかけてのグラフの推移ですね……このような形になったのには中世で起こった様々な出来事があるのですが一つ一つ解説しようと思います……」



 うんぬんかんぬん、うんぬんかんぬんすぴーすぴー。



「アクシア様?」



 スッ……!?スヤスヤ!



「やれやれ、起きてるの分かっていますよ?アクシア様」



 スヤ!?スヤスヤスヤスヤー



「あと5秒で起きないと、スライムと触れ合うの1週間禁止しますよー」

「それは嫌!あっ……」



 起きちゃった。寝たふりはバレバレだったみたい。むっすー。



「起きましたか」



 起きたけど。寝ていたかった。

 だってさー。エリックには申し訳ないけれど、将来冒険者になって世界中を旅するんだったら、この国の歴史知らなくても人生なんとかなりそうなんだもん。俺は過去は振り返らない主義なのだ。



 それはそれとして、エリックは非常に優秀な教師だ。今まで、沢山の教師が様々なことを教えてくれたけれど一番わかりやすい。

 教え方のパターンとしては大体こんなパターンを駆使しながら授業している。



 1. 言葉の選び方: 専門用語を避け、シンプルで理解しやすい言葉を使う。

 2. 具体例の提供: 抽象的な概念や理論を具体例や日常生活からの例で説明することで、生徒が理解しやすくなる。

 3. フローの構築: 話の流れを整えて、論理的に情報を提供する。前提知識から始めて、徐々に複雑な概念に進んでいく。

 4. 視覚的支援: 図やグラフ、動画などの視覚的な支援を使って、概念を補完する。

 5. 質問とフィードバック: 生徒に質問を投げかけて、理解度を確認し、フィードバックを受ける機会を提供することで、理解を深める。



 うーん。できる教師。

 俺のような子どもの従者には本当に勿体無いのではないかと思っているのだが、本当に本人は別に気にしていないらしい。多分、バトルできればなんでもいいのだろう。

 そーいえば、エリックが戦う姿はまだ一度も見たことがない。剣聖のパパが選ぶのだから、間違いなく強いことは確実だし、本人も戦うことはめっちゃ好きそうだけれど、機会がないんだよね。たまに、寮内に緊急警報が鳴った時は手伝いに行っているけれど、基本は俺の護衛をしているからねー。いつか、エリックにものびのび自分の好きなことに没頭してほしいなー。



「はあ……、やれやれ。わかりました。私も少し熱を入れすぎて難しくしすぎた部分もあるでしょう。今日のところは一旦これで終了です。秘密基地にいきましょう」

「やったーー!」



 今日はどんな遊びにしよっかー。




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