さらばルクス
カリベクの騒ぎが一段落した後。
「この辺りは特に賑やかですね...」
聖女は用が済んだはずなのにまだルクスを観光するつもりのようで、なぜかビルの隣を歩いていた。
「何故俺に案内させる?聖女」
そう言われると聖女は振り返り、頭1つ半ほど高い頭を見上げるようにして注文をつけてきた。
「教えの戒律は常に守り続けてはいますが...私が『聖女』であるのは使命を背負って居る時だけです。出来ることなら名前で呼んでいただきたいのですが」
「そういうものなのか」
「そういうものです。そうでなくては負担には耐えられないので...」
(確か勇者達は2年ほど前から活動し始めたはずだ。その過程で学んだのだろうな)
そうやって話をしている内に一つの目的の居酒屋に着いた。
「ここでアイツらを待たせているんでな。」
「では3日後にレヴェンにて会いましょうか」
そう言って別れ、1人居酒屋のギィィと重い音を立てる扉を開ける。
すると予想だにしていなかった事態が起こる。
「「「勇者パーティ加入おめでとな」おー!」」
変な歓声が沸き起こった。見てみれば行きつけの居酒屋は普段は3,4席は空いているはずなのに今日は立って壁に寄りかかりながら酒を飲むものまでいるほどにごった返していた。普段からいるおっさん達は若者に蹴散らされて店の隅の陰気なテーブルに追いやられている。目も当てられん。
二人のいる席を見つけ向かおうとするが道中様々な人に話しかけられて進むことさえままならない。内容も凡そ出会いだの目的だの予定だのと埋め尽くされているが中には勇者はルクスに来るのかという話まで挙がっていた。
ビルはただ14m歩くのに約15分かかったことからもわかるように凄まじい目にあってしまった。
「おつかれ、今日の主役」
「...チェスター、それ吹き飛ばしていいか?」
木のコップに半分ほど入っているエールを持ったままガハハと笑いながら話しかけてくるチェスターに応じる気力をビルはもう持っていなかった。
「やめろよー悪かったって」と反省してる様子を全く見せようともしないチェスターを無視し席に座る。
「しかしビルとルクスはこれから大変なことになるぞ?」
「文句はレイ・リラードに言え。俺は巻き込まれたんだ」
そう愚痴る
「おめでとー!」
「凄ぇなやっぱ!勇者パーティにまで選ばれちまうのか!」
などとビルの気持ちを察せない
「そうは言うが俺達はこれから大変だぞ?悪夢の森の見張りも行わなければならないしなにせ新人研修が辛いぞ」
「まあこっちはこっちでなんとかするから頑張りな!ビル」
「そのなんとかするのは俺等だぜ?アラン君?ハッキリ言おうか?」
「すみませんでした」
「実力不足」
「ギャァアアアア!」
チェスターに容赦ない言葉をかけられあっさりと凹むアランだった。
一方のクリスはふと気になったことでもあるのかビルに訊いた。
「酒飲まないんだ?」
「まあな。少し用事がある」
「用事?」
「用事だと?」
「何をしでかす気だ?」
アランとチェスターとアックスが全員似たような反応をした。
ビルは少し間をおいて小さく呟いた。
「悪夢の森のヤバい魔物を一掃しようかと思ってな」
「「「マジか、それ」」」
今度は内容だけでなく声色まで似たようなものになった。
「え?それ下手すりゃ死ぬんじゃない?」
ワンテンポ遅れてクリスが全員思いつつあることを口にした。
「俺を誰だと心得ている?」
ビルはそれに対し全く動じることもなく、余裕綽々といった様子で返したのだった。
「勇者パーティに加わろうという男だぞ?これぐらいできずに何が出来る?」
それから数十分後。
ビルは居酒屋を出て1人西門へと向かった。
ちなみにくじを引いた結果全額チェスターの奢りになったが特に大事ではないので明記しないでおこう。
「なぁビル。もう門限まで15分しかないんだぜ?何するってんだ?」
「ジャックか。ちょっと用事があってな」
「...レヴェンに行く前に済ませることか?」
「知ってたのか。まあそんなところだな」
「大変そうだな」
「まあ街に素材持ってくるだけさ」
「...夜通しの戦いは危なくねぇか?」
「大丈夫さ。なにせ『民の安寧と生活のために』だ」
「急にどうした...まあ結果はわかるが頑張ってこい」
「おう。大地龍の牙はお前にやるよ」
「ちょっと待て大地龍だと?話が違うぞ?ちょっと待て少し止まれ?おーい話を聞け?それ俺が大事に巻き込まれねえか?」
ビルは突然焦り始めたジャックを無視して念動術式を駆使しつつ悪夢の森へ向かった。
それから数時間ほど経った頃だろうか。
夜もすっかり更け、他の魔物が静かになる頃合いにビルは悪夢の森へと着いた。
普段拠点としているところよりすこし手前側へと向かっていた。
着いてみればやはり居た。
(大地龍。今までお前が動かなかったから見過ごしては居たが今日は倒させてもらうぞ)
少し開けた地に一頭の巨大な龍が眠っていた。その龍は安全を脅かすものがあらわれたと認識するや否や目を醒ました。
「ヴォォォォォ...!!」
黒狼なんか比にならないほどに低く轟くような咆哮が辺りに響き、大地龍は巨大な身体をもつにも関わらず地面を強く蹴り2枚羽で空を飛んだ。
低空とはいえ空を飛ぶのは有利である。遠距離の攻撃手段を持つものにしろ、近距離の攻撃手段を持つものにしろ飛べば攻撃は躱しやすいし攻めるときも速くなる。
ビルはそんな様子の龍を無関心に眺めながら龍の攻撃に備える。
お互いに手を撃たないまま暫く経過する。
先に大地龍が動いた。
ビルは左後ろ方向に飛び退る。
すると元いた場所に大きな岩の杭が生える。
それは1度のみならず、2,3度と繰り返された。
避ける内にビルは龍が元々居た円の中心へと誘い込まれる。
龍は突然杭の攻撃をやめ、その円を落とし穴へと変えた。
ビルは落下しながらも魔術を組んでいた。
そして考え事をしていたのだ。
(大地龍の戦闘法は変わらんか。なら大したことはないな)
ビルは念動術式を使用し瞬時に龍の真上に陣取る。龍は敵を見失い、空に浮いたまま地上を隈なく見やり警戒していた。
「2撃で仕留めさせてもらうぞ。時間がないんでな」
龍は敵の位置に気づき見上げたものの既に手遅れだった。
「《
空を飛んでいた龍は下に向かって強く吹き付ける風に突き飛ばされ落とし穴へと落下する。そして龍の身体が完全に地面よりも下になった時、ビルは高度を落とし龍の作った落とし穴のすぐ上まで移動しさらなる魔術を使った。
「《
ビルの足元から冷気が放たれ、下に向かって冷気に伴って生まれた氷塊が落とし穴の上に現れる。
そして冷気は龍の背を凍らせ、瞬く間に絶命させた。
「まずは一匹」
ビルは絶命させた大地龍を空間拡張バッグに収納すると一言呟き、また別の魔物を倒しに行く。
ちなみにビルが回りくどい戦い方をしたのはれっきとした理由がある。
魔物、というより全ての生物が多かれ少なかれ特定の種類の魔素を保有している。
人間や魔族・魔人は個体によって保有する魔素の種類は変化するが魔物は同種ならば持つ魔素の種類は一定となる。動物は保有量が微弱なため魔素の種類は無視されやすい。
魔素には様々な種類があり、基本的なもので炎熱性、水性、電気性、風性、大地性、冷性に分岐する。その名に偽り無く、それぞれの魔素は文字通りの性質を有する。
実は勇者・聖女が纏う聖力も精霊及びその従種族の扱う精霊力もこれの分岐だと判明している。
そしてこれらの魔素はお互いに変化させあう傾向を持つが、炎熱系であれば水性へと、水性であれば電気性へと変化しやすいのだ。そして保有する魔素が変化するのは身体が蝕まれるのと同じであり、強烈なダメージを受ける。これが言わば「弱点」となる。今回の大地龍は大地系であり、それに対し有効な冷系をビルは選択したのだ。
ただしこれには難点があった。それは冷系であるがゆえに攻撃が放射的になる、という点だった。
高位の魔術ならば集中させることも可能になるのだが、そんなことを使おうものなら大地を貫通していって地下水を完全に凍結してしまう。
そのために敢えて攻撃を誘導し落とし穴を作らせ冷気が拡散しないように工夫したのだ。
このような流れでビルは大地龍を含めた悪夢の森の強者を夜通し倒していった。
それから3日後。
ビルは出立の日までの間、ひたすらに周囲の用意を進めていた。
特に危険な魔物を駆逐した次の日には悪夢の森の拠点に放置された大量の金銭や魔術に関する研究結果のまとめなどを片っ端から探して回り、空間拡張バッグに詰め込んでいった。
ビルは更にルクスに来る前から収集していた
3年前というのは、まだビルが世界各地を旅して回っていた頃だ。ただ研鑽した魔術の実践のために、世界各地の危険地帯に足を踏み入れ、盗賊を襲撃し、集落に攻め込む魔物を倒して回った。
名が高くなればある地に縛り付けられる。その考えのもと、名を名乗ることもなく、ローブで全身を覆い、身体強化や念動術式を駆使してすぐにその場を去る。ただその繰り返し。荷物は空間拡張バッグひとつのみという身軽なスタイルであちこちを駆け巡っていた。その頃の経験があるため、ビルにとって旅は慣れ親しんだものだった。
ビルは昔を懐かしみながら旅支度を終えると、拠点の小屋から出て辺りを散歩し始めた。するとあることに気がついた。
ビルは悪夢の森の奥地を実験場としていた。極大の魔術を放ったとて罰則が与えられるわけでもなく、
(魔素が若干変化しているな...炎熱性や電気性も混じっている...しばらくここも空けることになるが戻ってきた時にはもっと悪化しているかもしれん)
魔素は土地の状態によって量や質こそ変化するが基本的にはどの種類の魔素もどこにでも存在する。だがその量や質が変化していては研究結果に支障をきたす。
ビルはこの場合の直し方を知っていた。
それは強力な全属性の複合魔法を放つことだ。
複合魔法は特性として全ての魔術が均等に放たれる。それ故に発動や強化が単性魔術より難しい。しかしビルにとってはそんなこと誤差でしか無いのだが。
ビルは空ける期間のことも踏まえ相当な威力で放つことに決めた。
そして構築を開始する。完成までの時間、0.0000000001秒。
「《
それぞれの色が相殺しあい色を喪った波動を放つ。波動は追加付与された術式によって本来見渡す限りの範囲が更地になるほどの破壊のエネルギーはすぐに失われ、かわりに制御のために広大な範囲の魔素を消費し続ける。
波動が収まった時、悪夢の森の様々な種類の魔素は量を大きく減らしていた。
(こんなものか。この地が魔素を生む地である以上コレ以上やったところで意義はないしな)
ビルは結果にひとまず納得し、拠点を後にした。
拠点の方から流てくる川沿いに歩き、悪夢の森の奥地からルクスへと歩いていく。
目的は無論ルクスへ一度帰り荷物を整えてからレヴェンへと旅立つためなのだが、その前に少し気にかけている事があり、そのためにある者に会いに行ったのだ。
水のある地帯に近づくと木々の葉や形状が大きく変化し濃霧が発生し、昼間だとしても薄暗く視界が悪くなり不気味な雰囲気を作りだす。拠点の辺りはまるで晴れていたのにこの様なのだから悪夢の森は危険なのだ。
それでも自分の周りに誰が居るかは理解できる。相手が物音を立てれば尚更理解しやすい。
ザバッと川の方から音がして、ビルがそちらの方に目を向けると1人の
「...さっきの波はビルの仕業?」
「そうだな」
「びっくりした...偶にやるけどあれ怖いんだよ?ホントに。やるときは言ってよ」
「そのやれる時が減るから使ったんだがな。普段の俺ならもう少し威力を抑えるぞ」
「...?ルクスから居なくなるってこと?」
「まぁな。勇者に会いに行く」
「...勇者に?」
「勧誘を受けたんでな」
「...ビル、今日何のために来たの?」
「しばらく森に来なくなるからやり残しを片付けに来ただけだ。それに俺はまだ勇者パーティに加入すると決めたわけじゃない」
「そう」
レリア聖教にとって人魚族・エルフ族・ドワーフ族などは少し扱いが複雑なのだ。
魔物・魔族・魔人と同様に低階級から上位階級までが存在する。
低階級は知性も持たず魔素より発生し無差別的に人を襲う。
反対に上位階級は人を上回る高い知性や会話能力を持ち勝手に魔素より発生することもなく人間と敵対する姿勢を見せず、むしろ協力的である。
形質的には魔素への適応能力などの高さなどの面から魔族ではあるもののレリア聖教では特に敵とみなすようなことは書かれていない。
ただレリア聖教の過激派は教えを重視するため名義上魔物である彼らと敵対することを選びがちなのだ。
それ故にその3種族を筆頭とした複数の種族はレリア聖教の者である勇者・聖女を警戒する。
カーラが疑ったのもなんら変ではない。むしろ種族の教えを守ってきた彼女ならば最も正しい行動なのだ。
「何なら勇者に会ってみればどうだ?今代勇者の考えもある程度推察できるだろう」
「...勇者に会う?」
突発的に問いかけたその質問に対しカーラは疑いの目を向ける。
人魚族へと敵対する可能性により本来会うことなど以ての外だ。しかし今の彼女は本心を隠した状態なのだ。
これまで会って会話してきた中で随分人間社会に関することの質問が多かった。それから察するに恐らくどんな形であれど人類に興味があるのだろう。
「...会ってみたい。けど危なすぎるから嫌だ」
「なら危なくなければ良いんだな?」
「え?」
ビルはカーラに向かって握り拳大の球形の魔水晶を投げ渡す。
カーラはそれを受け取ると眺め始めた。
「それは俺の眼と耳にリンクしている。俺が右目で見ている景色が映し出されて右耳で聞いている音がそのままその魔水晶から出る」
「...なんでこれを?」
「暇つぶしに拠点で作ってたものだからな。面白いだろ?」
問いをはぐらかし、素知らぬ振りをする。
「......人間って訳わかんないね、ホント」
カーラは誰にも聞こえないようにそう呟き、横を向いた。
(わかりやすいなコイツ)
...表情が明らかに緩んだのを見逃さなかったビルは追加してあることをカーラに依頼する。
「ああそれから頼みが在る」
「頼み?」
「このあたりに拠点を置いている話は幾度かしたと思うが...」
「してたね、この間来た時に」
「そう。その拠点に色々拵えてあるんだが暫く来ないと感知不可結界が強くなって探
すのが面倒になる。だからそこに時折でいいから顔を出してやって欲しい。小屋をいつまでも無人にするのも嫌だしデカい書斎作ったままろくに使わないのも気に食わないしな」
(だから、わかりやすいんだっての)
カーラは最後の言葉に魅力を感じたのか先程まで生返事だったのが急に態度を改め目を輝かせた。
「感知不可結界ってウチも感知不可になるんじゃない?」
「引き受けて貰えるか?」
「まぁ日頃のお礼も兼ねてだけど」
「助かる。それと感知不可結界は登録したものにはその効果を発揮しない」
「そーなんだ...でもウチ歩けないけど?」
カーラは最も根本的な問題に言及したがビルはそう言われるのを予測していた。
「そこは大丈夫だ。《
ビルはそう唱えると自らが立っているすぐ横に大きな水路を作った。
「これを辿ったらすぐに着くぞ」
「なるほど。じゃ、一回見に行ってみてもいい?」
「全然構わんさ」
数分後、カーラは書斎に夢中になりビルが声をかけるまでずっと本を読み漁っていた。
カーラへの用事が済んだあと、ビルは悪夢の森をあとにして1人ルクスへ向かっていった。
昼下がりのルクスは港の方は活気に溢れているがその反対になるとまるで活気がない。現にビルの目の前にいる
「おい、ジャック。仕事しろ」
「んが?...ぁあビルか...その態度は本物だな。よし通れ。俺は寝る」
「寝るな。役目だろ?」
「静かにしろ、現に左を見てみろよ。あっちも寝てるぜ」
「左右の門番が寝てたら終わりだな。怒られとけ」
「ところがどっこい怒るはずの人は今屋敷に引きこもってるぜ?」
「あぁ...そういうことか」
(...縁は巡り巡るというわけか。)
「じゃ、いつ帰るかはわからんがまた会おう」
「ん?もう行くのか?」
「用事を全部済ませたんでな。最後にギルドの方に顔を出してから行くさ」
「なるほどな。新聞に顔載っけろよ?」
「暇があったらな」
そう言葉を交わして西門をくぐる。そして特に他に用事はないためギルドの方にまっすぐ歩いていく。ルクスのギルドは街の中心部にあるため道に迷うこと無く歩ける。
やがて見えてきたルクスのギルドのドアを開けると最近見るたびにごった返していたギルド内は学生パーティが2組ほどいるだけの閑散とした空間へと戻っていた。
ただ普段のこの時間と違うのは
「遅かったな」
「諸々の支度を終えてきたんでな。そろそろ発とうかと」
「思い入れとかねぇのかよ、もう少しゆっくりしろって」
「ギルドへの道が楽だなぁと思いながら来たんだがなぁ?チェスター」
「人の心は忘れてなかったようで何よりだ」
椅子に座りながら正面に座っていたチェスターと話し合う。
席に着いて話が一段落したのを確認した
「ルクスの平和のためにもゆっくりしてほしかったんだがな」
「やることがないんだから仕方がないだろう?それから今日ギルドに来たのも倒した
奴らの素材を売りに来ただけなんだ」
「ならこっち来い。デカいんだぞいつもいつも」
そう言い
いつも素材を買い取ってもらっている、ギルドのエントランスから続いているカウンター以外何も置いていない部屋へと3人は移動すると、ビルは空間拡張バッグを開き、大地龍、
「ガイアスライム...しかも第8段階?よく仕留めたな」
「仕留めたとはいえ最終的には魔術で凍らせて核の部分ぶん殴ってトドメ刺しただけだぞ。新人でもできる」
「できねぇよそもそも第8段階がいることなんておかしいんだぜ?スライムは確かに共食いするし魔素を吸収しやすいから他の低級の魔物にくらべりゃ段階が上がりやすいのはわかるが第5でさえ都市近郊で見つかったら都市が滅びるレベルだぞ?それが第8とはなにが起こるかわかったものじゃない」
「こうなるだけだ」
「全く...チェスター?
「...改めてみると大地龍のほうがデカいんだな」
「だろ?そのデカいのを前にカリベクに盗られたんだ」
「お前そのこと昨日まで忘れてた癖に人をキレさせんなよ...」
そんな雑談をしながら解体作業を続けること1時間半
「...まあこんなところだな。あとは随時倒してくれ」
「ありがとな」
「随分潤ったな」
「財源には出来るだろ?
「ああ。助かるぞビル」
「それじゃそろそろ俺は出発するか」
「見送っていくぞ」
エントランスに一度戻ってからドアを開けて外に出る。そして3人はルクスでの事件を振り返りながら南門へと向かう。傾き始めた陽は黒ローブの男と軽装に腰に2本の刀を携えた男、それから
そして南門へと着いた。
「じゃあな」
「勝ちの報せはしっかり知らせろよ?じゃねぇと新聞が寂しい」
「わかってるさ」
ビルはそれだけ言って彼らの言葉を返し、門番に話しかけた。
「これからレヴェンの方に向かいたい」
「わかりました。なにか身分証明になるものは?」
「狩人証はこれだ」
「拝見します...はい、通っていいですよ」
「ありがとな」
「いえいえ......頑張ってください。私のお爺さんも心配していましたよ」
「ああグレイさんか。宜しく言っといてくれ」
そう言い残しビルは1人レヴェンへの道を歩き始めた。
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