手紙と日記
ミャハへ
勝手に置いていってごめんなさい。でも、この苦しみから逃れるには、こんな方法しか思いつきませんでした。私は神様が約束する死後の世界が実在するのか、この目で確かめてきます。
死んでもずっとミャハのことが大好きです。神様なんて、いませんように。
ノェル
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それから私は、机の上にノェルの日記を見つけた。私はパラパラとその日記をめくった。
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11月10日
ミャハが私の痣を心配してくれた。嬉しかった。親はひどいと思う。いつもは優しいのに、神様のことになると何であんなに怒るんだろう。
私に信仰があれば、過不足なく幸せな家族だったのかもしれない。弟は私と違って愛されている。それが羨ましい。
11月12日
親が、手術を受けないなら縁を切ると言ってきた。どうしたらいいか分からなくて混乱する。悲しい。
11月14日
ミャハと喫茶店で話した。ミャハは手術に激しく反対していた。私も神様なんて見たくない。ミャハとずっと一緒でいたい。でも親に愛されたいとも思う。
11月17日
手術のことが頭から離れなくなった。親とミャハ、神と無神。どちらかしか選べないのかな。
11月18日
手術のことでずっと迷う。社会の人と同じになれるなら、それもありなのかなって、ちょっとだけ思う。でもミャハを裏切りたくない。神様を見るのが怖い。
11月21日
ミャハと手術のことについて話す。ミャハとずっと一緒がいい。一人で手術を受けるのは怖い。ミャハも手術を受けてくれないかな。もし手術を受けたらミャハに嫌われるのかな。
11月25日
やっぱりミャハは怒ってた。でも、もし手術を受けて幸せになれたら、ミャハにも勧めてみようと思う。私はミャハと幸せになりたい。
11月30日
手術を受けた。麻酔から覚めたとき、特に世界が変わった感じはしなかった。
12月1日
初めて神様や魂、神様の約束する死後を見た。それは文字通りとても神々しくて美しくて、それを信じなきゃいけないんだって気持ちになった。
12月2日
昼間起きて冷静に考えているときは、ミャハが正しくて、神様なんているはずないって思う。でも夢を見ると、神様を信じなきゃって思う。心が引き裂かれるようで、苦しい。
12月4日
心が苦しい。神様が実在するのかこの目で確かめて、この迷いから開放されたい。手術なんて受けなきゃよかった。
12月5日
サナトリウムに戻る。ずっと苦しい。今まで神様を信じなかった罰かもしれない。ミャハと話せなかった。
12月6日
神様の約束する死後をこの目で見る方法を思いつく。実行するべきか迷う。
12月10日
例の方法が頭から離れなくなくて、最近は一日中そのことを考えている。
12月11日
明日、ミャハと話してみようと思う。それから手紙を書かなきゃ。最後になるかもしれないから。
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そこで日記は終わっていた。私は遺書とその日記を、自分の部屋に持ち帰った。
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