第9話 呪縛
時は遡り、まだ、魔塊鬼が殺生石に封印されていた時だった。
次元のゆがんだ空間に魔塊鬼と玄樹が浮いている。玄樹はまだ、意識を失ったままだ。
「くそっ。あんな奴らに封印されてしまうなんて、すべては此奴が俺の心臓のかけらを盗んで、俺を拘束したからだ。
しかし、此奴、いまや意識を失ってるのか。それとも寝ているのか。このまま、殺してやろうか。」
魔塊鬼は玄樹を殺そうとしたが、
「いや、待てよ。もしかしたら、此奴は使えるかもしれない。俺の操り人形にしてやろう。」
魔塊鬼は玄樹に自分のかけらを埋め込み、玄樹の意識を支配できるようにした。
そして、また今。
ここは、那須湯原。最後の殺生石を解放した魔塊鬼は、玄樹に命じた。
「俺の心臓のかけらは、必ず妖鬼神社にあるはずだ。だが、守りも堅い。だが、お前ならすんなり潜り込むことができるであろう。敵陣に潜り込み、殺生石を奪って来い。」
「はい。魔塊鬼様、仰せの通りに」」
「頼りにしておるぞ、玄武・・・いや、玄樹」
すると、薄暗い岩陰から薄気味悪い黒い影が出てきた。
「魔塊鬼様。あやつを信用して大丈夫なんでしょうか?もともと敵方の…」
「そうだ、あいつは俺を拘束するために、共に封印されたが、こんな時があろうかと、石の中で奴の意識を操れるように呪をかけてある。奴は俺の意のままだ。傭兵としては最高であろう。事がなされた暁には、もちろん…」
と、魔塊鬼は不敵な笑みを浮かべた。黒い影は笑うようにゆらゆら揺れながら消えていった。
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