第2話
速見 月人は、市内R工業高校を卒業後、すぐに就職した。
特にやりたい事は無かったが、日常を生きる上で、両親に心配を掛けたくはないといった思いがあり、特別裕福ではない家庭の中で進学ではなく就職を選んだのは、現在の自分が選べる未来の中で、消去法で残った未来が就職だったからだ。
6月からは工場が忙しくなった。
っと言っても、後から考えれば多少残業が増えた程度であったが、当時の月人には忙しく思えた。
夏の家電販売に向けての商品出荷が就職したばかりの頃と比べて倍ほど多く、検品とダンボール箱詰め作業に追われる日々であった。
茹だる暑さの中で、特に周囲との会話をする事もなく、ただ黙々と作業をこなし、17時の退勤チャイムが工場内に響いた。
逆光 @mizunotasuku
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