闇の政府『イルミネイション』

「薫、『イルミネイション』って組織のこと、詳しく教えてくれないか」


「おぉ、ミヤマもついにこの世界の暗部に興味を持った!?」

「えぇ……なんか目が怖いんですけど」


 俺がクッソ雑に話題をふると、薫のやつは途端に目をキラキラと輝かせたかと思うと、頬を桃色に染め、ハァハァ吐息を荒くしている。


 完全にヤベーやつだ。

 何がこいつをこんな事にさせてしまったんだ……!


「そう……『イルミネイション』はこの世界の暗部、政府の中に潜む闇の政府よ。この組織の名前の意味は、ラテン語の「光で照らし、輝かせる事」が元になってると言われてるわ」


「はぁ? 影の政府なのに光を与えるのか?」

「シャドーなんたらとか、ダークなんたらの方がそれっぽいよな」

「うん、黒井の言ったそれの方が分かりやすいわ」


「フフーフ、わかってないわね!」

「えー?」

「この名前には、恐るべき陰謀が隠されているのよ!!!」

「いんぼー?」


 俺の気のない返事を気にも留めず、薫は説明を続けた。


「イルミネイションの起源は16世紀にさかのぼるわ。当時ドイツに居た宗教革命家『マルッキリ・ノレター』が始めたとされているわ」


「どっかで聞いたような……」

「黒井、気にしたら負けだぞ」


「ノレターは深夜、森で狩りをしていた時……空できらめく星々に感動して闇夜を見上げていたの。そして……」


「UFOにさらわれた?」


「ちょっと惜しい! 彼は別次元に存在する波動存在と出会ったのよ。この瞬間が別次元の存在と私たちが初めて邂逅かいこうした時といわれているわ!」


「誰が言ったんだろうな?」

「さぁ?」


「そう……イルミネイションの言う光とは何か? それは今の私達が生活している人類社会を、異なる次元に存在する真なる理『光の波動意思』で照らしだし、世界の次元を上昇させることを最終目標にした世界的秘密組織なのよ!」


「お、ミヤマ、薫ちゃんになんかギアが入ったぞ」

「ぶおんぶおーん!」


「彼らは人々を選別し、波動存在と同一化してアセンションさせるつもりなのよ……それがこの世界に隠された真理ね」


「薫ちゃん、アクセル全開だな」

「俺たちの常識を追い越して風になったな」


「おい薫、聞いといて何だけどさ……第一その話の出どころって何なんだ?」


「オカルト雑誌に見せかけ、真実の伝道者たちが集う雑誌。月刊アトランティスに決まってるじゃない。いまなら定期購読が安くなるわよ!」

「誰が買うか!」

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