カタカタカタ……ッターン!

<カタカタカタ……ッターン!>


「よし、出来たぜ、ミヤマ」

「仕事はやっ!」


 黒井はこっそり持ち込んでたノートパソコンと俺のスマホをつなげると、キーボードを叩いて何かを始めたのだが、ほんの数十秒で作業は終わった。


 相変わらず仕事が早い。


「お前のスマホに残ったキャッシュ……ようは履歴のゴミから、当時の書き込みをノーパソの上で再現してみた。これで読み取れないか?」


「オッサンキュー、やってみるわ」


 ノートパソコンの画面を見ると、そこにはあのときのSNSがそのまま再現されている。俺は謎の男の書き込みカーソルを合わせ、ハートのアイコンを押した。


 すると、右目で覗いている世界がぼんやりと姿を変えていく。

 が、当時とはちょっと違う部分もある。部屋の時間が止まっているのだ。


「何かいつもとちょっと違うな……」

「なにが違うんだ?」

「俺の千里眼で陰謀サイコ野郎の部屋を覗いてるんだけど、なんか時間が止まってるみたいだ。何もかもが止まってるんだ」


「うーん……オンラインとオフラインでは、挙動が違うってことか?」


「かも、でもちょっと……あ」


「どうした?」


「部屋の中を覗いてんだけど……こいつのパソコン、モニターが2つあるんだよ。デュアルディスプレイとか、子ども部屋オジサンのくせに、良いの使ってんな」


「ディスプレイに何か写ってないか? そこから身バレさせてやろうぜ」


「おk把握。なんだこれ、全部英語だぞ? よくわかんねーな O、R……」


「読み上げられてもなぁ……画面の余白を右クリックして、メモ帳を開いてくれ。それで文字が打てるからそこに表示されてる文字を打ち込んでみろよ」


「りょ。えーと、こうか……organs sale trafficking……オルガン、セール?……このオッサン、楽器屋だったのか?」


「……バカ、違うよ!!」

「へ?」


「organsは『臓器』っていう意味、sale traffickingは、人身売買とかの密売……つまりこれ、臓器の密売って意味だよ!」


「ちょ、ちょっとまて……まさかこの陰謀サイコ野郎……」


「「本物って……コト?!」」

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