学校にて
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「ワタナベの家、一家失踪ってマジ?」
「らしいよー。朝飯の用意したままで人間だけが消えてたって」
「ニュースになって取材とか来るかな?」
「来るだろ、あれ、なんだっけ船で同じようなのあったよな」
「ネットの動画で見た、メアリー・セレスト号とかってやつだろ?」
「どーせ一家心中とかじゃねーの?」
翌日、学校の話題はワタナベ一家の失踪事件で持ちきりだった。
ワタナベの友人が家を訪れると、ドアが開けっ放しになっていて、一家まるごと、こつ然と姿を消していた。車もそのまま、テレビもつけっぱなし。
生活の痕跡はそのまま残り、朝食の用意すらされていた。なのに人間だけが姿を消し、一家の消息については、何の痕跡も残されていなかった。
このミステリーは生徒たちの格好の会話ネタになった。
朝のホームルームから昼休みの今に至ってまで、その話題が続いていた。
(マジかよ……失踪の原因ってまさか、アレ……かぁ?)
俺にはワタナベ一家の失踪に心当たりがある。
レスバして、速攻アカウントを消した、陰謀論者。
あいつがハッカーだとしたら、俺の書き込みから痕跡をたどり、撒き餌として設定されていたワタナベの家にたどり着いたのかもしれない。
そしてそのまま……!
いくらウンコマン事件を根に持っているからといって、俺はワタナベに死んでほしいとまでは思っていなかった(ピザを100枚送りつけられろ、くらいには思っていたが)。
世間の常識から外れた殺人鬼だとしたら、かなり不味い。
何とかしないといけないんじゃないか?
俺はスマホをとりだし、メッセージをある人物に送る。
この事件にもちょっと関係のある人物。
俺の友人で、現役高校生ハッカーの「
アイツなら、この事件に関して何か調べられるかも知れない――
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