第17話 フェイク

 イッコが消えた部屋でニッタとハルキは白仮面を見つめている。


「ねえハルキさん。ハルキさんってば!」

 とニッタが呼びかける。


「ん? なんだ?」

「イッコさん、なんでここに来たんですかね?」

「そりゃこの町で調査してたら俺たちがいたからだろ?」

 とハルキは当たり前のように答えた。


「いや、でもイッコさんたちってオレたちが来る前からここにいたんですよね?」

「だろうな」

 とニッタは追求するように言うとハルキは考え込んだ後、納得したようにうなずいた。


「この町って宿屋ってここしかないっすよ?」

「そりゃお前、拠点作ってんだろうよ。ってことは、おい、ニッタ」

「はい、なんすか?」

 ニッタはハルキの口調から何か重要な話題が持ち上がることを察し、興味津々の表情で返事をする。


「あの白仮面な」

 ハルキが言いかけたところで、ニッタの心は少しだけ高まる。白仮面についての何か重要な情報や発見があるのではないかと期待が膨らむ。


 しかし、ハルキは一瞬、言葉を濁したような様子を見せる。そして、意味深な笑みを浮かべながら続けた。


「フェイクだぞ」

「え? どういう事っすか?」

 ニッタの顔には戸惑いが広がり、そんなニッタを見たハルキはニヤリと笑う。


「あいつは最初から気付いてたぜ」

 ニッタはハルキの言葉に目を見開いた。白仮面がフェイクだとイッコは気づいていたということだろうが、それにしてもハルキがどうして気づいたのか謎だった。


「えっ、ハルキさんはどうして気づいたんすか?」

 ニッタの興味津々な声に、ハルキは自信に満ちた表情を浮かべながら答えた。


「ホンモノだったらイッコがあれで済むわけねえだろ、打ち抜いてんだぞ、仮面」

「まあそうっすけど」

 ハルキが力強く言うと、白仮面を見つめながら頬を緩めた笑みを浮かべる。


「でな、あいつらはあの仮面を見つけに来たわけじゃねえってことだ」

「ん? そうなんすか?」

 ハルキが深い納得の表情で言うと、ニッタは驚いたように尋ねた。


「ああ、そうなんだ。まあ、せいぜい頑張れよ、国家情報保安局さん」

 ハルキは立ち上がり、ニッタに背を向けるとそう言い残して部屋から出ていった。


 それを見送ったニッタは一人ポツンと残された部屋の中、白仮面を手に取り見つめていた。


「やっぱよくわかんない人たちなんすよねえ。イッコさんもハルキさんも、きっと何か大きな意味があって行動しているっていうのはわかるんすけど、もっと仲良くやったらいいんすけどねえ。にしてもこれは偽物かあ。よくできてるんすけどねえ。なんであの二人には偽物だってわかったんすかねえ? ま、オレはハルキさんについていくだけっすからいいんすけどね」

 とニッタは深いため息をついた。

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