第14話 国家情報保安局
「遅かったですね、どうでしたか?」
部屋に戻ってくると、なぜか国家情報保安局のイッコがハルキの部屋に座っていた。
「んなっ?! なんでお前がいるんだよ、眼鏡」
「もう、イッコです! 名前で呼んでください。ハルキさん」
「うるせえ、馴れ馴れしいんだよ! だいたいなんで俺の部屋にいるんだよ」
「いえ、この部屋が一番安全だからですよ」
イッコの言葉に、部屋の外の何者かの脅威が存在することを感じる。
彼はカーテンを少し開けると、外の光景をうかがい始めた。
「今、ホリが調べさせています」
「ああ、スキンヘッドも来てんのか。しっかし面倒くさいことになったなぁ」
ハルキは頭を掻きながらため息をつく。
国家情報保安局が登場してきたという事は、カタデリー信仰に関する情報の秘匿及び削除が目的であり、イレイサーの遺物の憑き者落としとは根本的に内容が異なってくる。
「面倒くさいはこちらのセリフです。なぜあなた方がここにいるのか。そしてなぜすでに関わってしまっているのですか。ご説明いただけます?」
イッコは眼鏡のブリッジを押し上げながら怒りの込められた口調で言った。
しかしそんなイッコの態度などお構いなしに、ハルキは窓際を離れ椅子に座ると机の上に肘を乗せ頬杖をついた。
「知らねえよ気付いたら関わってたんだから。それよりありゃあ何なんだ? いきなり現れやがって。しかも、あいつのあの能力はなんなん―――」
そこまで言うとハルキは言葉を止めた。
「能力? やはり何か知っているんですね? 教えなさい!」
イッコが身を乗り出して聞いてくる。
ハルキの言葉が途切れ、部屋の空気が緊張に包まれる。
窓の外から、遠くには吹く風の音や、街のざわめきが聞こえてくる。
ハルキは顔をしかめながらどう答えるべきか悩んでいる様子だったが、諦めたように言う。
「おいニッタ、あの白仮面を見せてやれ」
「了解っす」
ニッタは持っていた白仮面をテーブルの上に置く。
「これは! まさかこんなところで出会えるなんて! 本当に存在するなんて、信じられない!」
「イッコさん、これってどっかで見たことあると思うんすけど、なんなんです?」
ニッタが不思議そうに尋ねる。
「あなた達。イレイサーですよね?」
「そうっす!」
ニッタが元気よく答えるがイッコはため息をついている。
「はぁ、仕方ありませんね。この仮面はカタデリーに奪われた旧帝国の財宝の一つでユッギャの仮面と言われています。現存するユッギャの仮面は少なく考古学的にも非常に価値のある仮面で。って、 えっ?」
それを見た瞬間、イッコの目の色が変わった。
「ハルキさん」
「ん?」
「なぜここに穴が開いているんでしょう?」
と仮面の穴を指差す。
それはハルキが撃ちぬいた跡だった。
その質問にハルキは目をそらしながら、
「う~ん、まぁ、いろいろあってな」
と歯切れの悪い返事をした。
部屋の中には、静寂と緊張が漂っている。
窓から差し込む月光が、白仮面の仮面とイッコの顔を青白く照らしている。
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