第13話 白仮面
キィィィィィィッ!
荒々しい叫び声とともに耳障りな金属音が響き渡り、ニッタは身をかがめ頭上を何かが疾走していく気配を感じ悔しさが胸に広がる。
三発目を撃とうとするものの、白い仮面は既に姿を消していた。
焦燥感を抱えながら、どこへ逃げたのかを探し回った。
「んー? どこいったっすか!」
周囲を見回すとすぐ横で低い姿勢のまま、銃口をあちこちに向け、気配を感じた場所に銃弾を放つ。
バシュンッ!
鋭い発射音と共に放たれた銃弾は空中で見えない力によって軌道を変え、地面に落ちていった。
「くっそぉ。なんで落ちちゃうんっすか」
とニッタが悔しそうにつぶやく。やり場のない怒りと不安が心を蝕んでいく。
その時、
ギイイイイイィィィィィッ!
不気味な鳴き声が響き、白仮面が今度はハルキの真上から長い爪を振り下ろして襲ってきた。
ハルキは振り下ろされた鉤爪を辛うじて避け、素早く魔銃を構える。
青い光に包まれた魔銃の銃身に、エネルギーが集まっていく。
そして、キィィィイン! とひときわ大きな音を立て魔導エネルギーが集まり、ハルキはトリガーを引いた。
青白く輝く光線が一直線に伸び白仮面を捉え、その額に大きな穴を開けて貫通させた。
グゥオオオオッ!!!
断末魔の悲鳴を上げながら白仮面は消滅し、そのまま白い仮面が床に落ち、カランという乾いた音を立てた。
ニッタは落ちている白い仮面を拾い上げ、まじまじと見つめるが、特に変わったところのない額の部分を打ち抜かれた仮面だった。
「なんだったんすか? 今の!!」
息を切らしながら問いかける。
「知るかよ」
ハルキは仏頂面で呟いた。
辺りを見渡すと、先程までの光景はどこにもなく、暗闇が広がり、ただ静寂だけがその場を支配していた。
「ハルキさん、これ、この仮面」
ニッタが興奮気味に声をかける。
「ん? なんだよ」
「なんか、どっかで見たような気がしません?」
「ん? 知らねえなあ。どこで見たんだよ」
とハルキが首をかしげる。
「わかんないんすけど、なあんか見たことあるような気がするんすよねえ」
とニッタが考え込む。
ハルキとニッタは、ふたりとも胸に不思議な感覚を抱えながら、手に取った白い仮面をじっと見つめる。
「あ、これ撃っちゃダメだったやつかもしんない」
「ええ? ハルキさん、またやっちゃったんすか?」
「仕方ないだろ、襲ってきたんだから。それともなにか、襲われても撃っちゃダメなやつだから殺されろって言うのか?」
「いや、まあそうなんすけど」
「ま、とりあえず戻ろうぜ。あ、そうだ。ニッタ、一応持って帰っとけよ、その仮面」
そういうと急いで階段を登り、外へと出た二人は入り口の扉に鍵をかける。
鍵を確認したハルキが歩き出すと、ニッタも急いでその背中について行った。
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