第7話 決着

 ハルキとホリは息を切らしながら博物館の展示品の間をかいくぐり、一時の安堵を感じる。展示ケースの上にはイッコが飛び乗り、彼らの様子を見守っている。


 背後から何かが落ちる音が聞こえ、ホリが振り返ると、そこにミイラの姿が立っていた。ホリは一瞬の間、凍りついたようにミイラを見つめる。


 次の瞬間、ミイラがホリに向かって飛びかかり、展示ケースの中に彼を引きずり込もうとしている。


 ハルキは焦って展示ケースに向かい、手をかけようとしたが、突如、壁が爆発し、そこからミイラが姿を現す。そのミイラは羽を広げ、空中に舞い上がり、回転しながらミイラがハルキに迫っている。ハルキはイッコに叫びながら、ニッタに行動を促す。


「毎度毎度先手を取られちまうなあ! おいニッタぁ!!」

「は――――い」と、力のない声が、破壊された壺の瓦礫の中から漏れる。

「いつまで遊んでんだ! まじめにやれ真面目に!」

「そんなこと言ったってハルキさーん、動けないっすよお」

 ハルキは決断の時を迫られるが、ニッタはゆっくりと動き始める。


 迫りくるミイラに向かって突進し、ニッタはナイフを手にして攻撃を試みるが、ミイラはその動きを軽々とかわし、ニッタの手をつかみ地面に叩きつける。


「ぐへえぇ」

 ニッタの異様な声が響き渡りながら、ハルキはミイラに魔銃を向けて狙いを定める。


 だがその瞬間、展示ケースからイッコが飛び出し、ハルキとミイラの間に立ちふさがり、両手を広げ呪文を唱え始める。


 その瞬間、ホリがニッタを連れてミイラから距離を取り始めるとミイラの足元から魔法陣の光の輪が広がり、光の鎖がミイラを拘束していく。


 イッコの唱えた魔法が辺り一帯を焦がし尽くす火柱を生み出し、瞬く間に火の海が広がり、燃え盛る炎が辺りを包み込む。


「てかイッコの方が俺のよりひどくねえか? ま、よくわかんねえけどよ、これでいいのか?」

 イッコは振り返り、微笑を浮かべながら言う。


「ええ。これでお終い」

 その瞳には涙を浮かべていた。


「そっか。ま、うちはミイラのイレイスが出来りゃあなんでもいいんだけどよ。でもこれ誰が片付けんの?」

 イッコは国家情報保安局が後始末も含めて動くとホリに指示を出している。


 焦げた匂いが立ち込める中、それぞれのバディが夜の博物館を後にする。

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