第29話 ALICEさんが捕まっている研究施設

俺と衛は古びた三階だとの施設の前にいる。当然入り口は鍵が閉まっている。

俺はマスターキーを取り出すと、鍵穴に差し込んで扉を開ける。

「なんだ。こらぁ」

「ぶっころすぞ、てめぇ」

扉を開けると、二人の大学生が立ち上がろうとしている。

床には大量のビールの空き缶がある。

俺は驚くほど冷静だった。

「いくぞ。衛。バールを持った奴を頼む」

「ああ。任せろ。兄貴」

俺は走り込み、通路の右側にいる立ち上がりかけている大学生に向かって、棒型スタンガンを押し付けた。酔っているせいで何もできなかったみたいだ。

「ぐけ」

「体ががら空きだぜ」

先に立ち上がったバールを持った大学生はバールを振り下ろした。

それを右側にダッキングする事で交わすと、サップグローブで守られた左こぶしをみぞおちに叩き込んでいる。その強力な一撃に耐えられず男は崩れ落ちた。

「二階へ急ごう」

「あぁ」

階段の踊り場から声が聞こえて来る。

「本当にくるんだろうな」

「毒島助教授がそう言っているけど」

「人と喧嘩した事無いのに、自信ないな」

「手段はどうであれ、お国のためだろ?」

「俺はALICE好きだったよ」

「まぁボカロ俺も好きだしな」

俺と衛は左右に分かれて静かに階段を上がる。

完全に不意を突くことができた。

俺は右側のいる大学生に棒型スタンガンを押し付ける。

衛はリバーブローを放っている。二人とも意識を失った。

踊り場を超えて、三階に向かう。

「なんとかなるものだな」

「ボクシングやっているお前と一緒にするな」

「三階の前にもいるのだろうな」

「当然そうだろう。公園の前で4人倒して、今まで4人倒したからいても二人ぐらいだろう。兄貴今何時だ」

「今は22時、シンデレラタイムには時間があるな」

「気持ち悪いぞ、兄貴」

「うるさい。行くか、もうばれているから強襲だな」

「任せとけ」

そう言って階段を上り切った。

そこには奇抜なファッションをした大学生が二人いる。

「衛、素手の奴を頼む、俺は」

「了解、兄貴」

俺は金属バットを持った男に棒型スタンガンを当て行く。

男は金属バットで受けたが、金属バットは電流を通す。

そのショックで気絶をする。

「ほう、ボクシングですか?私もたしなんでいましてね」

衛は初めて、ジャブを繰り出す。

大学生は当然ガードする。

「痛い」

当然だった。お互いにグローブと言う衝撃緩和と拳の保護を目的とした装備を付けていないからだ。

弟はそのまま踏み込み、ガードを開けている男のみぞおちにボディブローを決める。

そのまま男は崩れ落ちた。

「負けた訳ではありませんからね」

そう言って男は気絶した。

後は研究室にいる桑元教授とALICEを救うだけだ。

                                    続く 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る