最終章 キセキ

第30話 アリスさんを救出するために

俺は研究室のドアノブをゆっくりと回す。

椅子に座らされ固定するように縛られ、電極のようなものをつけられている桑元教授と俺たちをいるような視線で見て来る毒島教授がいる。

「いやぁ、お待ちしておりましたよ」

毒島教授の声は相変わらず甲高い。もしかしたら興奮をしているのかもしれない。

「どうしても分からない所があります。ALICEのプログラムがどうしても動かない。何か二人で仕掛けでもしましたか」

「おやおや、私は平和主義者なのです。ALICEのデリートを始めましょう」

そう言ってエンターキーに手を伸ばす。

「何がしりたいんだ?」

「ALICEにかかっているプロテクトの解除法を知りたいのです。桑元教授も知らないと言っています。だとすればあなた方が仕掛けたはずだ。コンピューターの知識が無いあなたが方にできる事では無いと思いますが?素直に話しなさい。ALICEのデリートと桑元教授がどうなっても良いと言うのですか?」

「ALICEについているプロテクトは本当に知らない」

「私もだ」

桑元教授も答える。

「私を馬鹿にしているのですか?桑元教授がどうなっても良いと言うのですね?。私は工学系が得意でしてね。普通の人間はレベル2まで耐えられる。まずはレベル1だ」

そう言って机の上に置かれたスイッチを操作する毒島助教授。

「ぐぁぁぁ」

桑元教授の悲鳴が聞こえる。

「さぁどうしますか?普通の人間はレベル2までなら耐えられます。レベル3は人を焼き殺すレベルです。さぁどうしますか?」

ALICEも生きている。だけど桑元教授を見殺しにできない。

ここまで来てALICEを見殺しにするのか?

だけど桑元教授を助けないと殺人罪に加担する事になる。

「分かった。話す。桑元教授を開放してくれ」

「あなた方が先ですよ」

すまない。ALICE。たがまだチャンスはある。必ず助ける。

リュックサックを方から降ろし、ノートパソコンを取り出す。それをALICEのサーバーにつなげばALICEは復活するはずだ。我ながら最高のはったりだ。ALICEが繋がってどうなるかは知らない。

「桑元教授、そうなのですか?」

「もちろんだ。LANケーブルでノートパソコンをALICE本体に繋ぎ、データの移行をすればプロテクトは解除できる。毒島先生ならそれくらいできるでしょう」

「無論だ。貴様ら動くなよ。動けば桑元教授の命は無い」

そう言うとノートパソコンをALICE本体につなぐと、自動的にパソコンからのデータが転送され始める。ちなみに毒島助教授は何もしていない。

「これで私は念願の教授への昇進と研究所所長の地位を手いれる事ができます。桑元教授も私の元で働いてもらいますよ。助教授として」

コンピュータの画面を見ていると圧縮されていたデータが開放され、いろいろなソフトウェアも移行されていく。

そして100%、データの行こうが終わりましたと画面に表示される。

「あれ、私生きている」

ALICEの声がする。

俺は一気に走り出し、桑元教授の電極を引き離す。

「しまった。死ね」

素が出たののかパニックたのか毒島教授は丁寧語では無かった。

そのまま電極を毒島教授に投げつけた。

電極は毒島教授に当たり、何の単位かは知らないがレベル2の電流を浴びて失神する。

「隆一さん、衛さん、お父さん、私は生きています」

「良かった、生きていたんだね、ALICE」

「説明しよう。ALICEのデータや感情を他のパソコンに保存できるようにプログラムを開発していたのだ。そのプログラムを用いて、そのまま君のノートパソコンにデータを移していたのだ。しかし、スリープモードでもALICEは膨大な電力をしょうひするから、君たちが助けに来るかは賭けだったのだがね」

「ALICE、良かったな。また会えてとてもうれしいよ」

「私もです」

画面いっぱいにALICEの笑顔が浮かぶ。

犯罪も犯したし、問題も山積で万事丸く収まった感じでは無いけどALICEを救う事が出来て本当に良かったと心から思う。

俺はALICEを愛している。                                                                                            

                                    続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る