第21話 ALICEの眠りと二人の覚悟

信治はALICEに教えてもらったメールアドレスで桑元教授にメールを送る事にした。

ALICEを送ってきた人だ。腹を割っては無そう。


初めまして、藤堂隆一と申します。ALICEの事で相談したい事があります。グラフィックソフトが消えたり、作詞、作曲機能が無くなっていたり、バッテリーの消費が早いです。何とかお力を貸していただけませんか?


「兄貴がメールするのなら、俺までメールアドレスを記録する必要は無かったんじゃないか?」

衛は問う。

「二手に分かれた時にどちらかが連絡できないと困ったりする事があるかもしれない。別々に桑元教授の家を目指さないといけないかったりするかもしれない」


ぴぴぴ

携帯電話が鳴る。

メールの着信音だ。

あわててメールを開く。


状況は把握しているつもりだ。研究所の大型サーバーにデータを移さないと危ない城代だ。しかし、今研究所にいけばALICEのプログラムは書き換えられるだろう。誰しもが国に役に立つものを求めている時代だかね。私と悪の道に進む気があるのならば松原中央公園に来てもらえないだろうか?君を信用していない訳ではないが、家族を危険にさらしたくはないのでね。


松原中央貢献と言う事は松原市に住んでいると言うことかなと思う。

「衛、ちょっと周囲の警戒を頼む。発電機を切ってくるよ」

「分かった。任せろ」

衛にそう言うと、車を降りる。

発電機の所に行き、スイッチを切って、ワゴンRの後部扉を閉めた。

そして助手席に戻ると、リュックサックの中から、ローラーブレードとヘルメット、膝当てと肘当てを取り出した。

「どうするんだ。兄貴」

「そろそろ追ってが来そうな気がする。衛は車で松原中央公園へ。俺はローラーブレードを履いて、裏道を通って松原中央公園を目指すよ」

俺はそう言い履いていた安全靴をビニール袋にいれてリュックサックに入れる。その後でALICEとアリスの電源ケーブルをリュックサックにしまう。

そしてヘルメットをかぶり、リュックサックを背負い車を降りた。

「降りる時に見えた。100m後方、黒のワンボックスカーが気になる」

「マジか。ミラーでは見えないな」

ちなみに助手席側はワンボックスカーから死角になっている。

「危険を承知で頼む。普通は車に乗って移動するものだと思うから、危険に巻き込んですまない。くれぐれも安全運転ではな。交通法規は守るんだぞ」

「任せろ、兄貴、こう見えてALICEの事は気に入っているだ」

「助かる。ツンデレ野郎」

「黙れ、萌え豚」

軽くグータッチをする俺は助手席を締めた。

                                    続く

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