第4話 こんにちわ アリスです
俺は現場が終わると、携帯電話で会社に仕事を終えた事を報告すると、愛車であるマウンテンバイクもどきの自転車で急いで家に帰った。もちろんギアは最速の設定と街中をゆっくりと進む時の用いる低速ギアを活用しながらだ。
そんなギアの入れ替えをしながら、家に着くと制服を着替えるのももどかしくて、たまたま夏休み中の弟、大学生の弟、衛に聞いた。
「何か宅配物来てなかった?」
「うん。届いている。玄関に置いてあるよ」
今は大学の夏季休暇中でインターネットを使いこなすのと大学のボクシング部でボクシングをしている。ボクシングの方は弱い大学で、その部活の中でも強くは無いが弱くも無いレベルを保っているらしい。ニコニコ動画も好きで良くボカロ談義をしている。良く俺の作る曲の批評をしてくれるが、音楽的な知識が無いのと音痴なので、ずれた回答をしてくれる。
そんな事はどうでも良い。
玄関に置かれている段ボールを手早く開けていく。中からノートパソコンにしては大きくて市販品には見えない様なしっかりとしたつくりのボートパソコンが出て来た。
包装と緩衝材を丁寧に取り外していく。もちろん、周辺機器のマウスやコンセントを取り出していく。どれもが既製品で無い気がする。
とりあえず、ノートパソコンを立ち上げてみた。
フィーンと冷却ファンが動き出して、かりかりかりとハードディスクが読み込む音がする。市販品に比べるとびっくりするほどうるさい。やっぱり市販品で無い気がする。
どうやらスリープモードだった様だ。暗い画面が明るくなる。
そこにはMMD(ミクミクダンス)モデルのアリスさんがいる。
「おはようございます。信治さん♪」
かわいいALICEの声であいさつをされる。
数秒が立つ。
アリスのMMDモデルは恥ずかしそうにうつむく。
俺は一瞬何が起きたか理解できなかった。
その直後に思いついたのはこれは何ていうがギャルゲーですか?と言う事だった。
「恥ずかしいですから、何か言ってください。スピーカーもスピーカー関連のソフトとハードも音声合成ソフトもの高速生成も正常に機能しています。聞こえますか?隆一さん。あなたのアリスですよ」
「ALICEがしゃべった」
「もう感想はそれだけですか?CPUを高速演算して、音声合成ソフトで声を整えてお話しています。CPUの負荷がすごいです」
俺は思う。なんだこれ?
「隆一さんはメールは得意でもお話するのは苦手なタイプですか?あのMMDモデルと会話は能力的に厳しいのでメッセージウィンドウと立ち絵だけでも良いですか?チャット機能で会話をしましょう」
アリスと俺の声を聞いた弟が玄関までやってきた。
「兄貴なにそれ」
「ALICEがしゃべった」
「何を言っているんだ。パソコンがしゃべる訳ないだろ」
「こんにちは、衛さん」
衛が驚いた表情を浮かべる。
「すげー。兄貴のいたずら?」
「パソコンのスリープ機能を解除したらALICEがしゃべりだした」
「ALICEってゲームとかアクセサリソフトとか出ていったけ?」
「衛さんも来ましたけど、メッセージウィンドウでお話ししましょう」
こうしてALICEを名乗る正体不明のパソコンとのテキストメッセージをする事になる守ると隆一だった
続く
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