第9話 高校に進学後は?
であるから、はたしてこれが躁鬱病・多重人格症のたぐいなのか、それとも守護霊であるのか、まったく判定が行かない。恐れ入る話だがこれ以後の小説の然るべき場面でその表出を描くので、どうか読者の方々の側でご判断いただきたい…。
さて、中学校時代のことでだいぶ長居をしてしまった。冒頭のグレるきっかけとなった事件へと、高校生時代へと進まねばならない。ともかく結論的に云えるのは、このあとの中学校生活に於いては姉のように学級委員とまでは行かなかったが、クラスの何かの役員に選ばれさえもして、友人も何人も出来て、それまでの俺であれば考えられないほどの、充実した日々を過ごし得たということだ(悲惨だった遠足での光景も雲散霧消した)。で、問題の高校時代へと移るのだが、勉学の甲斐あって俺は川崎市内の(一応)進学校へと進み得た。ところが俺はここでボタンの掛け違いを仕出かしてしまうこととなる。中学校での成功体験をそのまま踏襲する上において、肝心要なことを失念もしていたのだった。それは何かというと「勉強ができれば、成績が良ければ、みんなから相手にしてもらえる、認めてもらえる」ということで、しかしこれは主客転倒の、順序を取り違えた思い込みでしかなかったのである。 勉強が出来たから友人が出来、まわりの環境も良くなって、自分の性格も明るくなった…のではなく、事実はまったく逆で、(当初は演技であっても)自分発の積極性がまず有り、そこに友人が出来て環境が好転し、その結果勉学にもやる気が起きて成績が上がった…というのが正解だった。そのことと、さらにいま一つ、本来年令とともに生ずべき、また育むべき重要なことにまったく思いが行っていなかった。
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