第8話 守護霊か憑依霊か?
そういうわけは、自分でしゃべっていながら自分ではないような気がしたからだし、何よりも自分の豹変ぶりが信じられなかったからだ。すればその正体は守護霊か、あるいは何かの憑依のたぐい?と思うしかないではないか。ただもっともそう思うに至ったのはその時ではなく、それよりはるか未来のことで、当時は守護・指導霊などという言葉さえも知らなかった。小説冒頭の紹介文に掲げた「折々の高見に立ってこそ越し方が見える。わかる」という時点から俺は今これを書いている。いまの俺の年令は聞くなかれ、だ。なにせ気ばかりでも往時に戻って書いているのだから、ひとつお許し願いたい…。ともかく、この守護霊様か指導霊様か知らないがその折り同様にこれ以後も何回かこの小説に登場することとなる。もっとも「わしが守護霊じゃあ」などと云って出て来るわけでは全然なくて、このとき同様にみずからの全きカオスの内に突然出現するのだが…。ただ、ちょっとここで書き添えたいのは、そもそもこれがはたして本当に守護霊なのかどうか、実は断言できないということである。先に憑依のたぐいかも?と書いたことで、守護霊なら善霊だが憑依となると必ずしもそうは云えなくなる。憑きものと云うか、憑かれもの体質のようなところが俺にはあるようで、仔細は省くが小学校時代からごくまれに人格が急変することがあったのだ。これ以上はなく切羽詰まったとき、もはや状況に我慢できなくなったとき…など、ごくごくまれにそれが起きた。日頃の鬱状態から躁に人格が急変するのだ。ただそれは中学校での自己紹介時のように自分でも驚くほどのはっきりとした、また系統だった論理性まで感じさせるほどのものではなく、いたって気分的なもので、幼かったこともありそれほど気にもしていなかった次第。
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