第1輪 アネモネ(真実)
みんなの身体に異変が起きたのは、恋に落ちた頃。
1人の女性が亡くなったというニュースが連日放送されてた頃だ。
「ねぇ恋叶、ニュース見た?」
「ニュース?なにそれ、どんな内容なの?」
私の名前は恋叶(れんか)。
恋が叶うようにと親が付けてくれたが、この名前は正直嫌いだ。
「女の人が亡くなったニュースよ!なんか画像みたけど凄かったよ…。あとでTwitterとか見てみなよ。『アレ』にはなりたくないし、原因も分からないそうだよ。」
正直興味無い。
なんと馬鹿げた話をする友人の顔を見ながらため息をつく。
確かに情報は大事、今どきSNSを使わないで過ごす人が居ないだろう。
寧ろ、いるのかな?
そんな事考えてる事を知らず、友人は続きを話し出す。
「てか、その画像見て思ったんだけどさ。男の人にはね……。」
「もういいよ、その話は。会って話したかったのはそっちじゃないでしょ?」
「そうだった!!彼氏がさ!!酷いの!!」
こいつ、目的を忘れてたな。
はぁ…。
友人は最近彼氏ができたらしい。
でも、浮気をされてると他の友人からの情報で知って現在進行形で喧嘩中。
同棲もしてるらしく、当分は私の家に泊めて欲しいというのが本題の半分でもう半分は、『愚痴』だ。
「なんで男は浮気するわけ!!訳分からない!ならなんで告白とかするかなー!!」
「それが男の性だから仕方ない。」
「恋叶はどっちの味方なのさ!」
「正直、どっちの味方になるつもりもないし、めんどうな事はごめんだよ。」
聞きたくもない恋愛相談や愚痴。
傷がまた抉られる感覚がいつも…。
自分の事じゃないけど、何故か昔の自分が友達に重なって見てるようだから、『恋愛』はしたくないし、聞きたくない。
世界一聞きたくないもんだ。
でも、放っておけないんだよね。
矛盾してるよね、私……。
『花言葉には色んな意味があるねん~♪』
「なんだよ、その着信音は…。」
「え?とある人が言ってたセリフを私なりに変えてみた。面白いでしょ笑。」
傑作でしょ!いいでしょ!的なドヤ顔。
こういう方に考えを変えたら彼氏とかいらないだろとふと思うがあえて言わないでおく。
「ちょっと出てくるねー、恋叶待っててねぇー。ちゅー!!」
「キモい!早く出なさいよ!!」
全く、困ったもんだ。
でも、こんな友達はなかなかいないだろう。
大切にしない男の考えが分からない。
なんとも度し難い話だ。
もう何十分になるのか。
友人が帰ってこない。どうしたんだろうか。
様子を見に行こうと思った矢先、友人の顔が青冷めてた。
そして、友達の腕に見た事もない紋章。
あれは刺青?いやさっきまでなかった。
あれは……
「黄色い薔薇……!!」
徐々に大きくなる紋章。なんだあれは。
声をかけられない。
なんだ、あの紋章から感じるあれは…。
なんなんだ!!
「ナンデ、ナンデナノ?」
「えっ、どうした……。っ!!」
口から漏れる言葉はまるで、身体が凍えるような冷たい…。
「おい!友達から離れろ!呪いにかかるぞ!!」
「の、呪い……?!」
何を言ってるんだ。
呪いなんてある訳が……
「アイツ殺ス…。アノ女も、二人とモ……!!殺シテやル!!」
そう言葉を放った友人の身体からは大量の薔薇が散り舞う。
「花びらに触るな!」
声が聞こえ友人から離れたが数人が花びらに触れてしまった。
そして、一瞬でその場を氷漬けになった。
その光景はあまりにも無惨すぎたからだ。これが…。
『恋の呪い』ってこと?
触れた部分から紋章が浮き上がってきてそして、苦しみ出し枯れていく。
その場に入れなくなり、私は逃げてしまった。
友達に背を向けて。
最後に顔を見た時に泣いてた。でも、涙の跡は薔薇のように見えた。
現場から出てマンションに戻り、引きこもった。こんな事ほんとに起きたのか。そんなの分からない。でも、友達がああなったのは現実だ。
現実逃避をしたくても出来ない。この目で見てしまったからこれが現実なんだ。
「あの紋章は一体なんなの?恋の呪いってなんなの?調べないと友達がなんであんな事になったのか……。」
今までのニュースを見直し、どんなことが起きているのか。
友人が言ってたSNSに乗ってる動画やネットニュース。
ありとあらゆる関わってる情報を探した。
何時間も何時間も。
「何……こ、れ……。」
答えのピースが集まった。
最後に見た動画だ。友人があんなことになった原因がよく分かるものだった。
「うっ………!!」
動画の内容は、言葉に出せないもの。
気持ち悪くなり、トイレに駆け込み嘔吐した。何度も何度も。
「うぅ……、嫌だ。」
『全世界で起きているこの症状は【恋の呪い】という病名と発表します。内容に関しては引き続きお伝えさせていただきます。』
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