第九話
すると、
貴教さんは
「僕は先月、働いていた会社を
ある日、
すると先輩は、答えました。『だからどうした? バレなきゃいんだよ、バレなきゃ! それに上司が白って言ったら、カラスも白いんだよ!』
その瞬間、僕は決めました。この会社を辞めようと。
理由は、二つあります。一つ目はウソをついて利益を得ている会社が、この先も続くとは思えなかったからです。更に黒いカラスを白いと言って現実を見ない会社は、じきにつぶれると思ったからです。
こんなことをしているのは、僕がいた会社だけではないかも知れません。多かれ少なかれ、どこでもやっているかも知れません。
二つ目は、今はこんなことが許される時代ではないと思ったからです。人の考え方は変わります。例えばオリンピック選手は昔は、『日本のために、がんばってきます!』と言っていました。でも最近では、『オリンピックを楽しんできます!』と言う人が多いです。どちらも間違いでは無いと思います。考え方が変わっただけだと、思います。でも『楽しむ』という気持ちの方が、良いパフォーマンスができるのかも知れません。
また
僕は現在、ニートです。三ヵ月くらいは貯金を使って、好きなことをしようと思います。その後は在宅ワークで、生活費を
貴教さんには
すると草間先生が、アンケート用紙を持ちながら話し出した。草間先生は私たちに、正直な心を持って欲しいと思っている。これから私たちにアンケート用紙を渡すので、この授業の感想を書いて欲しい。また、大海のことを書いても
私は、アンケート用紙に記入して
『私は
また大海で生徒が昼食を作るのは変わってるけど、おかしいとは思いません。ただ、たまには先生たちが作った昼食を食べてみたいと思います』
●
その日、
しかし昼食の時間は、ちょっと気まずかった。いつもは宗一郎と翔真が話をしながら食べていて、同じテーブルで私は一人で話をしないで食べていた。でも同じテーブルで三人で食べているような気がして、
「ねえ、翔真。一つ聞いてもいい?」
昼食を食べながら、翔真は答えた。
「うん、いいよ~。何でも聞いて~」
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