第七話

 そうしていると、翔真しょうまにせかされた。

「さ、材料はどんどんくるから、どんどん切ってね~」


「う、うん」と私は、ジャガイモ、ニンジン、豚肉ぶたにくを切った。今日のメニューは、肉じゃがだった。ふと宗一郎そういちろうを見ると、もう米をいで大きなジャーにセットし終わったのか、ひまそうにしていた。


 取りあえずお昼の十二時までにご飯がけて肉じゃがが、できた。食べたら結構、美味おいしかったので、それには感動した。


   ●


 人間は、れる動物である。金曜日にもなると、私が五年生を仕切しきっていた。

「翔真! これちょっと大きすぎるから、もうちょっと小さく切って!

 宗一郎! お米をジャーにセットしたんなら、こっちを手伝って! 今日は四年生の女の子が一人休んでいるから、皮をむいて!」


 二人は少し、不満そうだった。

「はーい……」

「へいへい……」


 取りあえず私は、ツッコんだ。

「やる気を出せ! 二人とも! じゃなきゃ今日の昼ごはんはお昼の十二時までに、できないかもしれないんだから!」


 すると二人は、ぼやいた。

「そうは言っても、いつもこれくらいの大きさなんだけど……」

「いつもと違うことをするのは、面倒めんどうだなあ……」


 私は再び、ツッコんだ。野菜を大きく切りすぎると、味がしみみにくくなる。皮をむくのは、いつも四年生がやっているのを見てるはず。それくらいの柔軟性じゅうなんせいを持てと。


 またも二人は、ぼやいた。

「でも、やっぱりねえ……」

「そうそう。いんじゃね? 少しくらいおくれても……」


 私は大きな声で、ツッコんだ。

「いいから、さっさと仕事をしろ! 全く、私がいない時は、どうしていたのかしら?……」


 二人は腕組みをして、考える表情になった。

「うーん……」

「どうだったっけ?……」


 私はついに、包丁を持ったままキレた。

「口はいいから、さっさと手を動かせー!」

「はいー!」

「はいいー!」


 こうして私は、五年生の料理担当りょうりたんとう主任しゅにんになった。それから昼食を作る時、私は的確てきかく指示しじを出した。


 その日のおかずは、豚汁とんじるだった。

「翔真は、ニンジンを切って! 私は肉を切るから。宗一郎はお米をジャーにセットしたら、ゴボウを切って!」

「りょう~か~い! 主任!」

「はいよ、主任!」


   ●


 翔真は算数の時間になると、当然のようにり切った。

 その日は萌乃もえの先生を少しこまった表情にさせて、語りだした。今日の算数は、『平均へいきん』だ。考え方は、簡単だ。いくつかの数量を、同じ大きさになるようにならしたものを、それらの数量の『平均』という。平均は、平均するものの数量の合計を、個数こすうって求めるんだ。つまり、平均=合計÷個数だと。 

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