第4話 漸近線

僕はその後帰りの電車に乗り、土曜日の夕方頃に外野高校に戻った。

ショックが大きすぎて日曜日のみならず月曜日も欠席にしてもらった

彼女は一体どうしたんだ。

もう一度あの時の事を思い出す。


警備員1「落ち着いて聞いてほしい。駿河先さんは君に会いたくないと言っている」

新谷「・・・え?」

警備員2「おいおいおい、どういうことだよ。この子と駄弁ってたけどその子はこの子の彼って聞いたぞ。」

新谷「そうです。駿河先さんとは付き合ってます。」

警備員1「実はその話も駿河先さんから聞いてる」

どういうことだ?

警備員1「まぁ、残念だけど君には会わせられない。彼女からの要望だ。力になれず申し訳ない。」

声が出なかった。彼女が僕に会いたくない

嫌な予感というのは的中した。

その後のことは覚えてない。

気づいたら帰りの電車に揺られていた。


一体彼女はどうしたんだろう

同じ疑問が頭の中でずっと流れる

ただひとつ自分の中で確信していることがある。

『彼女は東武高校に行って何かがあった』と

考えたくなかったが、そうに違いない

無法士を隠すため内気になっていじめられたり、自分でも自覚のある万人受けから程遠い顔と肉体。そんな自分が彼女と釣り合えるなんて思ってなかった。


だけど


それでもそんな自分と居てくれる彼女が好きだった。


彼女との思い出が蘇る


そして決心した


彼女の本心をこの耳で、そして目の前で直接知りたい



東武高校に初めて行ってからちょうど4ヶ月後になった。あれから進展はない。

だが耳寄りな情報を手に入れた。

普通の一般魔法高等学校には夏休みがあるがなんと東武高校には夏休みがない。あるにはあるのだが7月22日から8月31日まで魔法育成の授業が昼まで行われる「魔育会まいくかい」というものがあるらしい。その「魔育会」が始まる前日、7月21日の一日だけ学校外に出れるというらしい。東武生はその日を使って大型デパートなどに行き買い物をしたり、遊園地に行ったり、海やプールに行ったりする。残念ながらカースト底辺で内気な俺には無縁な話だ…昔は違かったが。

第三者から見れば気持ちが悪いかもしれないが僕はその日に学校前に待っていようと思う。

彼女の事を考えるとおそらくその日は外に出ていると思う。

ちなみに7月21日は明明後日しあさってだ。

彼女に会いに行くためにまたあの場所に向かう。だけど正直会いたくない気持ちもある。

彼女目線からしたらもう僕とは関わりたくないと思う。その原因を明日知ることになる。

僕はそれを知ると同時に正真正銘、新谷創と駿河先渚の縁は切れるだろう。

襲いかかる寒気の中、僕は就寝した。


目が覚めると…まただ。最近調子が悪いのかどうか分からないが電車に乗っている。間の出来事を思い出そうとしても・・・思い出せない。

〚次は東武、東武。お出口は右側です。〛 

あれ、もう東武か・・・東武!?

今の日付は・・・7月21日!?

おいおい、僕は起きてから電車に乗り、乗っている間の3日間の記憶がないなんて。 

これは調子が悪いどころではないと思う。

とりあえず電車から降り、また東武市の景色を眺める。


綺麗だ。ここから眺める海は絶景だ。昔は工場から出た石油やなんやらで酷かったが国が工場業に関して色々と見直した結果、何百年が経った今でも海の透明度は保られている。

それにしても海だけでも綺麗なのに夕日も見ると・・・夕日!?

今日は朝に着く予定だったのに。

急いで東武高校の前まで走った。


東武高校の前に着いた。走っている道中、東武生らしき学生が東武高校に向けて戻るのを8,9回か見た。やっぱり外出できる一日は遊びたいんだな。そう思いながら東武高校の前の公園のベンチで待つことにした。色んな生徒がいるんだな。七三分けメガネの真面目くん、黒髪ロングの清楚系女子、いかにもthe不良を模した金髪ピアス、そして最後に高身長の黒髪イケメン。個性が溢れているが学校は魔法主義マジカルメリットクラシー。おそらく彼らは全員社会に有効活用できるor誰が聞いても強い魔法の持ち主なのだろう。

やっぱり無法士の僕が関わっちゃいけない存在なのだろう。

その理論だと彼女は・・・

余計なことは考えないでおこう。


それから10分、30分、ついには1時間も経ってしまった。5分に10人以上戻っていたペースも10分経っても誰も前を通らなくなった。

そもそも彼女は外に出ているのか?

もう彼女には会えないのか

あと10分経っても来なかったら・・・諦めよう


1,2,3,4,5,6,7,8,9



10分経った。

やはり東武高生さえも戻らなかった。

流石に辺りが暗くなっている。

門限は分からないがそろそろだろう。

[そろそろ帰るか]

そう呟いて公園のベンチから立ち上がろうとする。

「今日は買い物に付き合ってくれてありがとう」

足が止まった。この声に聞き覚えがある。


忘れたくても忘れられない愛しい声だ。

「いやいや、今日は楽しかったからそれでチャラね」

彼女の言葉に返事をする人がいた。

後ろを向き校門の方に目をやると


彼女と、高身長の青髪のイケメンが立っていた。







〜プロフィール紹介〜

大井 遥輝(おおい はるき)

身長 167cm 体重 54kg 外見 華奢、ピアス

髪色 黒色 目の色 茶色

性格:周りからは明るい好青年を装っているが、裏の顔は人を妬みやすい腹黒

得意な事:人をたぶらかす事、炎魔法

趣味:新谷を虐めること

使用魔法:二級炎魔法(イグニート)、三級炎魔法(イグニス)

日島中学→○○高校

「小さな時に英才教育を受けたせいだから俺は性格が歪んでいる」と新谷に言い、彼をいじめる生徒の首謀者。新谷はいつも彼にどうしていじめるか理由を聞いてもいつもはぐらかされる。最初の魔法士トレンタの子孫であり、


※三級炎魔法と二級炎魔法の違いは炎の威力にのみならず三級魔法が基礎とした時、二級魔法は基礎をベースにした応用の魔法が可能。

中でも簡単に見分ける方法は炎魔法士の魔法の一つである「イグニス」。

通常のイグニスは手のひらから正面に向かって火を出す単純な魔法。

三級炎魔法士は片手でしか火を出せないが、二級炎魔法士は両手から火を出せる

噂によると一級炎魔法士になると炎の剣が出来るとか出来ないとか......?

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