第13話 徹底的に痛めつけてやる<3>
結局三分の二程食べられてしまった。
そりゃあ同じ体だから胃袋は膨れるけれど、もうちょっと味わいたかったな。
因みに今日は学校は休み、昨日は金曜日だったからね。
『さて、腹に収めるもんも収めたし、それじゃあ早速始めるとしようぜ。まずは腹筋だな』
「えぇっ、いきなり?」
『当たり前だ。ほら、寝そべろっての』
「わ、分かった。こうかな?」
僕は言われた通り床に仰向けに転がった。
『よーし始めるぞ、いー……ち』
「ぐ、ぐぅ! 一が長くないかな?」
『気のせいだろ? それにお前もう音を上げてんじゃねぇよ。ほら、にー……』
それからもやたら間延びした数字とともに、腹筋から始まり腕立て伏せ、スクワットとと来て、今は柔軟に入ったが……。
「ぐ!? ぐぐぐぐ……、ぐぅぅ! き、キツいよぅ」
『ちょっときついぐらい我慢しろよ。お前が今までろくに運動してないツケだ。俺の体を鍛えるためだと思ってしっかりやれ』
「そんなこと言われても……」
『情けねぇ奴だなぁ』
だって、これ結構辛いんだもの。個人的に腹筋とかよりもずっと体に堪える。
僕って思った以上に関節が硬かったんだなぁ。そう考えるとちょっと憂鬱になる。
運動不足は自覚していたけど、まさかここまでとは思わなかった。
せめてもう少し運動をしておくべきだったかな?
なんて後悔しても遅いんだけど。
とりあえずは目の前の課題を片付けないと。でも筋肉痛が治ったらこれよりキツいメニューになるんだっけ? 憂鬱ぅ。
「万全な状態だと、それぞれ一回ずつ増えるとか?」
『んなわけねぇだろ。それじゃあ体が出来上がるのにどんだけ時間がかかると思ってんだ』
「だよね~、ははっ……」
確かに彼の言う通りかもしれないけれど。
だったらある程度筋肉がつくまで喧嘩とかとは無縁で居たいな。
『ほら早く柔軟の続きだ。今度は股関節のストレッチをやるからな』
えぇ!? ちょっと待ってよ。あててててて!!
そんなこんなで気づいたら夕方になっていた。
途中でお昼ご飯も食べたけど、案外やってみると時間が早く過ぎていく感じがしたな。疲れちゃった~。
頭から汗がダラダラ、だからもう一度シャワーを浴びるはめになっちゃって。
こんなに日に何度もシャワーを浴びるのは初めてだなぁ。これから先もこんな日が続くんだろうか?
「続くんだろうか?」
『そりゃ続くだろ』
とのこと。
でもしっかりと柔軟をしたおかげか、気持ちスッキリとしたような気がするし、少しは体力がついたんじゃないかと思う。
「あ、夕ご飯の買い出しに行かないと。やっぱりトレーニング食じゃダメなのかなぁ」
『しばらくは我慢しろよ。高タンパクと低脂肪を心がけて、タンパク質は肉類を中心に摂るようにすればいいんじゃねえか? 後はビタミンとミネラルのバランスに効率のいいエネルギーの補給。炭水化物は白米よりも雑穀米がベストだろうな』
う~ん、色々と難しい。トレーニング云々は考えて食事を作ったことがないもんだから。
でも、彼の言い分も参考にして考えていかないと。
「お肉は豚が好みなんだけど……」
『別に悪いとは言わねぇが、一般的には鳥だろ。特にささ身がいいな』
「ささ身ってあまり食べたことが無いんだけど、タンパク質って点ならシーチキンもありかな?」
『ま、そこは好きにすりゃあいいさ。何より重要なのはその貧弱な体を変えることだ』
貧弱貧弱って、確かにその通りだから何も言い返すことが出来ない。
というわけで、財布片手にスーパーへと向かうのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます