#2


「おい、ロナが困ってるだろ」


キーアンが広場から呆れたように声をかけた。

女の子はハッとしたように私から体を離したが、

両手は肩に回したままなので相変わらず距離が近い。


「いきなりごめんね、ロナ。私、カエデって言うの!

どうしてもロナに会いたくて…」


そう言って、カエデは大きく透き通った

琥珀色の瞳をキラキラさせ、

見上げるように私の瞳をのぞき込んだ。

背は小さいが、少し年上のようにも見える。

前で合わせるタイプの赤い羽織の下の黒い服は

首を覆っているものの、なぜか胸元がひし形に

開いており、そこから白い谷間が少し覗いている。


これが全くの初対面だと思う。

こんなに魅力的で強気な女の子なら、

一度会ったら忘れているはずはない。

しかし奇妙なことに、カエデは私のことを

知っているようなのだ。


「あの、私、どこかであなたに

お会いしたことがあるでしょうか…」


「お前は馴れ馴れしすぎんだよ、

ロナちゃん怖がってんじゃねーか」


レンガ色の髪をした男の子が橋を渡り、やってきて、

カエデの首根っこをつかんで私から引っぺがした。

いや、あなたのことも知らないんですけど…。


「アックスひどーい!近くでロナちゃんの

存在と匂いを満喫してたのに!」


「うわ、きっも」

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