#3


アックスと呼ばれた男性は、

かなり角度をつけて見上げないといけないほどに

背が高かった。

この村の男の子は小さい頃から農業の手伝いを

して育つため、ガタイのよい男性に

見慣れているつもりだ。

それでもアックスはひときわ背が高いと感じる。

年の頃は、キーアンと同じくらいだろうか。

体もよく鍛えているようで、

羽織った緑色の丈の短いシャツから

覗くさらし越しに、胸筋の隆起が良く分かる。

下はダボっとしたズボンを履いて、さながら

大工やとび職のような風貌だ。

しかし、背中に背負った、明らかに木を倒す目的

とは思えない大きな斧が、普通の職業人からは

遠い存在としてアックスを印象付けている。



「カエデがロナちゃんロナちゃんうるさくてさ。

知らん女がいきなり来て気持ち悪いよな、分かる」


「なによ!」


「話すと長いし、あんまり人に聞かれたい話でも

ないんだが…」


アックスは言葉を切り、周りを見やるそぶりをした。

無視されたカエデは憮然とした顔だ。

気づけば、初めにカエデが話しかけていた

女性たちはさらに人を連れてきて遠巻きに見ており、

村の若い女の子たちも騒がしさにつられて

集まってきたようだった。

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