第38匙 図書館とカレー:Dining九段(C08)
九段下の内堀通りに面している千代田区の区庁舎の九階には「千代田図書館」が入っている。
この図書館は、千代田区区民や千代田区内で在勤・在学している者以外の来館者も自由に入場でき、ここに所蔵されている本を手にとって、閲覧席で読書できるようになっている。それゆえに、木曜日の午前十時に千代田図書館を訪れた、隣の新宿区の区民である書き手も、何ら問題なく入館できたのであった。
それから、この千代田図書館を初めて訪れた書き手は、ゆっくりと時間をかけて図書館内を経巡り歩いて、この図書館にどういった種の本が並んでいるかを確認した。
ここには、他の図書館ではあまり見かけない、千代田区関連の書籍のコーナーもあって、この点は、なかなか興味深い特徴であるように思われた。
ちょっと調べてみたところ、「貸出券」の所持者は、個人ブース席やインターネット利用席、そしてAVブースの利用が可能で、千代田区在住者や区内の在勤・在学者以外でも、日本在住者で、必要書類を提出しさえすれば、貸出券を作成する事もできるそうだ。もっとも、千代田区民専用席以外の閲覧席は誰でも使用できるので、わざわざ貸出券を作らなくてもよいかもしれない。
しばらくの間、庁舎の九階に在る千代田図書館内にいた書き手は、十一時になるやいなや、階段を上がって一つ上の階に移動して、十階に位置する食堂「Dining九段」に向かったのであった。
この食堂は、区庁舎の中に入っているので、当然、区役所の職員が多いのは間違いないであろうが、だからといって、それ以外の来訪者が拒否される分けではなく、誰でも利用可能なのだ。
そしてそもそもの話、役所に入っている、区役所の職員食堂なので、どの料理も実にお安いのだ。
書き手が訪れた日、カレー・メニューは三種あって、それは、「満菜カレー」(四八〇円)、「カツカレー」(六三〇円〉、「野菜仕立てのキーマカレー」(五七〇円)であった。ちなみに、キーマカレーはランチのみの提供であるそうだ。
だから、この日の書き手は「キーマカレー」を選ぶ事にし、券売機でチケットを交通系電子マネーで購入した。
この食堂は、例えば、カレーやラーメンといった料理タイプごとに、並ぶレーンが決まっていて、トレイを持ってそこに並び、チケットを渡して、注文品を提供してもらい、食べ終わったら、決まったコーナーにトレイを下げる、というセルフサービスで、典型的な大学の学食のようなスタイルなのだ。
カレーを受け取った書き手は窓際の席に座ったのだが、十階に位置する食堂の窓からは、その眼下に皇居の緑が見え、以前訪れた竹橋のホテルのレストランに似ているな、そんな印象を受けた。
この眺めだけでもそれなりの価値があり、他の場所だったらきっとお金がとれる。にもかかわらず、この眺望がプライスレスとは、驚きのコスト・パフォーマンスである。
この区役所の十階に位置している食堂は、夜は二十時(ラストオーダーは十九時半)まで開いているので、九階の図書館を食堂の利用前後に訪れるのも〈アリ〉だろう。
その区役所内の千代田図書館は、毎月の第四日曜日と、正月の三日間、そして、特別整理期間を除いて、原則、日曜と祝日は十時から十七時まで、土曜は十時から十九時まで、そして平日は十時から二十二時まで開館しており、書き手が思っていた以上に、長時間開放されているようだ。
そこで、夕方、神保町のカレー店を訪れた後、そのまま千代田図書館を訪れる、というのも、面白い廻し方かもな、と書き手は思った次第なのである。
〈訪問データ〉
Dining九段:九段下
C08
十月二十六日・木・十一時
野菜仕立てのキーマカレー:五七〇円(交通系)
北斗の〈券〉:カード枯れ
〈参考資料〉
「Dining九段」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2023』、二十九ページ。
〈WEB〉
「千代田図書館」、『千代田区立図書館』、二〇二三年十一月九日閲覧。
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