第37匙 こどもの本屋:ブックハウスカフェ(A15)

 書き手は、十月の木曜日の午前中には神保町のブックカフェを訪れる事にしていた。

 それは、書き手の都合上、木曜日は、十一時半までに神保町を発たないと仕事に間に合わないからで、そして、もう一つの理由は、〈木〉の根本付近に横から匙〈―〉を差し込むと〈本〉になるので、木曜は〈カレーと本〉というテーマでゆこう、と発想したからである。

 かくして、十月三週目の木曜日に訪れる事にしたのが「ブックハウスカフェ」であった。


 「ブックハウスカフェ」は、二〇一七年五月五日のこどもの日に神保町でオープンした、こどもの本専門店で、靖国通りに面している。

 本屋街である神保町にあってさえ、こどもの本専門店は「ブックハウスカフェ」のみで、靖国通りの歩道から、ガラス越しに見える店内では、こども用の本を探しているお母さんやお父さんたちで賑わっている、そんな印象の書店である。

 事実、昨年、二〇二二年のスタンプラリーの際に書き手が、この「ブックハウスカフェ」を訪れた時には、たしか午後の早い時間帯だったと記憶しているのだが、店内が妙齢の御夫人で一杯だった事もあって、店内中央部に位置するスペースでの飲食を断念し、持ち帰りにした事があった。

 書き手は、スタンプラリーでは、テイクアウト・オンリーの店を除いて、なるべく店内でイートインしたい、と考えているので、今年二〇二三年のスタンプラリーでは、店内でカレー料理を食べるべく、十一時、すなわち、開店と同時に店を訪れた。


 店内には、提供可能なメニューが文字情報だけではなく、かわいいイラストによっても示されているのだが、例えば、イラスト・メニューには、十八穀米やごぼうと人参のきんぴら、ほうれんそうのごまあえなどの「和弁当」、「ナポリタン」、「焼きハヤシ」、サーモンとアボガドの「ホットサンド」、ビーフとチーズの「特製カレー」などが説明付きのイラストで並んでいたのだが、この「ブックハウスカフェ」が、スタンプラリー用として推しているのは、「こんがり焼きカレーパン」や、これに、プラス三〇〇円(単品は五〇〇円)でドリンクを付けられる「カレーパンセット」である。

 それゆえに、イートインしてゆく予定の書き手は、「カレーパンセット」を注文する事にし、これに、ローズヒップのアイスハーブティーを付けたのであった。


 それにしても、だ。

 サンドウィッチやパンは片手で食べる事ができるので、〈ながら〉向きなのは確かなのだが、しかし、こと、焼きカレーパンに関しては、その特徴であるサクサクした食感の衣ゆえに、食べるたびに、表面からカスが零れ落ちるので、カレーパンは、本を読み〈ながら〉には向かない食べ物なのだ。


 さらに、食べ終わった後、指にはカレーパンの油が付着してしまうものなので、濡れたナプキンやウェットティッシュで丁寧に手を拭わなければならない。

 だから、カレーパンを食べ終え、ドリンクを飲み終えた書き手は、手を丁寧にぬぐったのであった。

 

 カレーパンは、ライスカレーのようなカレー料理よりも、提供や食事時間が短く済むので、午後の仕事に向けて移動開始するまで少し時間ができたので、書き手は、こども向けの本が置かれた店内を眺め歩く事にした。

 「ブックハウスカフェ」は、絵本だけではなく、沢山の児童書も置かれ、さらには、ファンタジー創作論の本などもあって、これらの書籍に非常に興味を惹かれ書き手は、近いうちにカレー以外の目的で来店し、もっとじっくり本を物色してみよう、と思ったのであった。


〈訪問データ〉

 ブックハウスカフェ:神保町古本街

 A15

 十月十九日・木・十一時

 カレーパンドリンクセット(中辛)アイスハーブティー:八〇〇円(クレカ)

 北斗の〈券〉:カード枯れ


〈参考資料〉 

 「ブックハウスカフェ」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2023』、五十ページ。

〈WEB〉

 「カフェ・バー」、『ブックハウスカフェ』、二〇二三年十一月四日閲覧。

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