第25匙 モーニングカレー食おうよ:サパナ(B08)
例えば、朝、いわゆるモーニングの時間帯、十一時前にカレーを食べたくなった、とする。
かつてならば、竹橋の「プペ」さんが、七時から九時まで、朝カレーを提供していて、ここに行けば、〈朝からカレー〉という願望を叶える事ができた。
だがしかし、プペさんは朝の営業を止めてしまったため、二〇二三年現在、「スタンプラリー23」参加店の中で、モーニングの時間帯にカレーを食べる事ができるのは、書き手の知る限りにおいて、水道橋の西口にある「サパナ」だけなのだ。
サパナは、千代田区を中心に数店舗展開しており、店舗ごとに営業形態が異なっている。そのうち水道橋の西口店の特徴は、何といっても、二十四時間営業という点だ。
そしてさらに、サパナは、インドやネパールという南アジア、タイおよびベトナムといった東南アジア、これら二つの地域の料理を提供している、実に混交的なアジアン料理店なのである。
書き手は、九時を少し過ぎた頃にサパナに到着した。
入店後、テーブルごとに置かれているタブレットに入っているデジタル・メニューを見てみたところ、どうやら、夕方の時間帯に提供されているメニューが、朝においてさえ注文可能なようであった。
しかし、このサパナ、何を選ぶかで迷ってしまう程の、メニューの多種多様さだったので、結局、書き手は、「ディナーセット(昼もOK)」というカテゴリーから注文する品を選ぶ事にした。
セットメニューに提示されていたのは、「ミニガパオ ミニカレー ミニナンセット」、「ミニパッタイ ミニカレー ミニナンセット」、「ミニトムヤムヌードル ミニカレー ミニナンセット」、「ミニベトナムフォー ミニカレー ミニナンセット」で、これらのセットには生春巻きが付いてくる。
様々な国の料理のハイブリッドが、サパナの特徴なので、書き手は、「ミニベトナムフォー ミニカレー ミニナンセット」を頼む事にした。つまり、フォーと生春巻きでベトナム料理を、グリーンカレーでタイ料理を、そして、ナンでインド料理といったように、三つの国の料理を一度に味わおう、という発想をしたのである。
そのセットメニューには、全ての品に「ミニ」と付いているので、四品・三か国の料理を朝から食べても、多過ぎないであろう、と高を括っていたのだが……。
しかし、出てきたミニナンは予想していたよりも遥かに大きく、加えて、汁系のフォーもグリーンカレーも、「ミニ」であるにもかかわらず、非常にボリューミーで、書き手の腹は朝から膨れ上がってしまった。
ちなみに、書き手が知っているタイカレーは、もっと液状なのだが、サパナで提供されたグリーンカレーは、いささか粘度が高い印象を受けた。もしかしたら、タイカレーをインドのナンに付けて食べる関係上、サパナでは、そのようなアレンジが為されているのかもしれない。
とまれかくまれ、朝からカレーが食べられる数少ない店で、ハイブリッドなカレーを独りで食べ終えた書き手の耳には、昔何度も聴いた、「モーニング娘。」のこんな曲のメロディが流れ込んできた。
そのオリジナルの歌詞は、「モーニングコーヒー飲もうよ、二人で」だったのだが、この時の書き手の脳内では、こんな風にパロディー化されていた。
モーニングカレー食おうよ、一人で
と。
〈訪問データ〉
アジアンダイニングバー SAPANA(サパナ)水道橋西口店:水道橋エリア
B08
九月七日・木・九時
ミニベトナムフォー・ミニカレー(グリーンカレー2辛)ミニナン 生春巻き付き:一四五〇円(クレカ)
北斗の〈券〉:No.05 ジャギ
〈参考資料〉
「アジアンダイニングバー SAPANA(サパナ)水道橋西口店」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2023』、三十五ページ。
「モーニングコーヒー」(モーニング娘。、作詞・作曲:つんく)、一九九八年一月二十八日リリース。
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