第24匙 ツレと飲み会をする事になりまして:Shapla(E05)
例えば、ツレと飲み会をする事になった、とする。
だが、八月から十二月の半ばまでは、「スタンプラリー23」に参加中なので、カレー以外の物を食べる気にならない。
こういった気持ちは、スタンプラリー・ガチ勢に共通する、抗い難い思いなのではなかろうか。
しかし、人間関係上、飲み会をキャンセルする分けにもいかない。
それでは、いかにすれば、スタンプの印個を増やしつつ、友情にヒビを入れずに済ませられるであろうか。
こういった場合、自分が飲み会の幹事をする、と手を挙げ、スタンプラリー参加店で飲み会を開催する方向に話を誘導するのも一つの手だ。
それならば、お酒の提供もしているカレー屋で飲み会をすればよかろう、という考えもあろうが、カレー好きな幹事の好みを押し付けず、かつ、カレーを食べたい幹事の願望を叶え、さらに、カレーへの興味が薄いツレが満足する、そんなカレー以外の料理やお酒の種類が豊富な店が、この場合には望ましいのだ。
これは、全て仮定の話なのだが、このような事態は十分に起こり得るので、その時に備えて、どんな店に行くべきかを考えておくのもよいであろう。
かくして、ガイドブックとニラメッコをしながら、書き手がこれだ、と思ったのは、神田駅の北口・東口エリア、東口から歩いてすぐの「ふれあい通り」に在る、アジアン料理店「Shapla(シャプラ)」である。
シャプラの利点は、店が、JRとメトロが通っている神田駅に近接しているという地の利で、こうした交通の便の良さに加えて、店の性質が実に興味深い。
メニューを見てみると、ベトナム料理である〈生春巻き〉や〈フォー〉、タイ料理である〈トムヤムクン〉、インドネシア料理の〈ナシゴレン〉、鍋に関しては、〈パクチー鍋〉〈タイスキー鍋〉〈トムヤム鍋〉など、ベトナム、タイ、インドネシアなどの料理が扱われている事が確認できるので、シャプラは、東南アジア系のエスニック・レストランであるのは間違いなかろう。だが、他にも、インド料理の〈タンドリーチキン〉といった南アジアのメニューもあるので、シャプラの守備範囲は実に広大である事が分かる。
つまるところ、この店ならば、その多種多様さ故に、南アジアや東南アジア系のエスニック料理が苦手でさえなければ、好みの料理がきっと見つかるに違いないのだ。
ところで、肝心のカレーは、というと、シャプラでは、「バターチキンカレー」「チキンチリカレー」というインド系のカレーに加え、「タイグリーンカレー」という東南アジアのカレーもメニューにあって、主食に関しても、「ライス」だけではなく「ナン」も選択可能であるようだ。
ベトナム、タイ、インドネシア、インドなど各国のカレーが提供できたら〈最強〉だったのだが、流石にそれは望み過ぎというもので、東南アジアのタイカレーか、インドのチキンカレーのどちらか、という、異なるタイプのカレーが選べるだけでも御の字であろう。
ちなみに、孤独なグルマンである書き手は、仮定とは違って、ソロでシャプラにやって来た分けなのだが、この日は、飲み会の団体が二組ほど入っていて、一人客の書き手は、カウンター席で孤独なグルメをする事になったのであった。
集団の楽しそうな笑い声を聞きながら、いつかツレと来た時には、アジア系のカレーに加え、ツレが頼んだ何らかの東南アジアの料理を一緒に食べてみるのも悪くなかろう、と思う書き手であった。
〈訪問データ〉
Shapla(シャプラ)神田店:神田エリア・ふれあい通り
E05
九月五日・火・二十時
チキンチリカレー:九九〇円(クレカ)
北斗の〈券〉:No.10 ユダ
〈参考資料〉
「Shapla(シャプラ)神田店」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2023』、六十ページ。
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