第32匙 三軒目なのでミニで、だがしかし、何かが足りなかった:BelonBelonBooとBarボンド(A13)

 秋葉原エリアの外縁、具体的に言うと、蔵前橋通りを渡り、上野方面に向かってしばし進んだ、千代田区外神田五丁目に位置するバー、「Tigre(ティグレ)」を後にした書き手は、今度は、そこから昭和通りの方に向かって移動を開始した。

 二軒目バーである「ティグレ」から次の目的地までは徒歩五分、距離にして約三五〇メートルしかない。しかしながら、その店の住所それ自体は、台東区の上野で、つまるところ、徒歩圏内ながら、たった五分歩いただけで、千代田区から台東区へと、区を越境してしまうのだ。


 さて、JR線の高架下を越えてすぐの所に位置している、この日の三軒目にして最後の書き手の目的の店こそが、「鉄板居酒屋BelonBelonBoo(ベロンベロンブー)とBar(バー)ボンド」である。

 この店は、店名の前に「鉄板居酒屋」とあるように、業務形態は居酒屋で、その営業時間は、火曜から土曜の十八時半から翌朝の五時(LOは三時)といったように、始発が動き始めるまで深夜営業している。


 その「ベロンベロンブー」のホームページを参照してみると、「仕事終わりによっていきませんか?」という文句がキャッチコピーになっており、おそらく、上野・御徒町・秋葉原界隈のサラリーマンやオフィスレディを主たる客層にしているのであろう。したがって、書き手が訪れた十九時半過ぎ、店のテーブル席は、そういった種の客で既に賑わいを見せていた。

 もちろん、店は御一人様用の席も用意しており、ソロで入店した書き手が案内されたのはカウンター席であった。


 そもそもの話、「ベロンベロンブー」は鉄板居酒屋なので、お酒に合わせられる多種多様な料理が用意されているのだが、そういった料理の中にカレー・メニューもあって、例えば、トルティーヤ・チップスをカレー味で楽しむ「スパイシーカレーディップ トルティーヤチップ」といったおつまみもある。そして無論、がっつり食べたい客のための料理もあって、それらが「焼きカレードリア」と、三タイプのカレーライスなのだ。

 その三種のカレーとは、「トマトと玉ねぎのスパイシーミニカレー」、「トマトと玉ねぎのスパイシーカレー」、そして、「トマトと玉ねぎのスパイシー塩豚カレー」で、値段はそれぞれ五五〇円、八八〇円、一一〇〇円である。

 ちなみに、「スパイシーミニカレー」と、普通の「スパイシーカレー」の間の料金、三三〇円(税込)の違いは、〈量〉と副菜の有無で、「スパイシーカレー」と「スパイシー塩豚カレー」の二二〇円の違いは、トッピングの〈塩豚〉の有無であろう。


 書き手は、かつて、この店を訪れた時に、「トマトと玉ねぎのスパイシー塩豚カレー」と「ヒューガルデン」を注文した事があって、この店のカレーには、塩豚が絶対不可欠で、さらに、副菜をカレーと混ぜ混ぜしながら食べるのが至高という結論に至っていた。だが、いかんせん、「ベロンベロンブー」は、一夜でアキバ・エリアのバー・居酒屋を巡るという企画の三軒目の店で、一軒目で小カレー、二軒目でカレーを量減させたとはいえども、ここで、「トマトと玉ねぎのスパイシー塩豚カレー」を食べるのは、さすがにお腹にかなりの負担を強いる事になる。


 これが、初来店であったのならば、多少、無理してでも、「トマトと玉ねぎのスパイシー塩豚カレー」を頼んだかもしれない。だが、〈塩豚〉は何度か味わった事があったので、今回は、塩豚なし副菜なし量少なめの「トマトと玉ねぎのスパイシーミニカレー」を注文する事にした次第なのだ。

 そしてお酒に関しては、以前、白ビールを、この店のスパイシーカレーに合わせた事があったので、ちょっと趣向を変えて、甘いお酒、「幸水 梨酒」をソーダ割りで試してみる事にした。


 ちなみに、お安いミニカレーでも、スタンプと北斗の〈券〉はもらえるので、これは、カレー・スタンプラリー目的の来客にはありがたいレギュレーションである。


 さて、かつて「トマトと玉ねぎのスパイシー塩豚カレー」を食べ、そして今回は、〈ハシゴカレー〉という企画遂行のため、お腹を労わって、「トマトと玉ねぎのスパイシーミニカレー」を注文した分けなのだが、来店経験を比較して書き手が思ったのが、やはり、副菜やメイン・トッピングの〈塩豚〉が無いミニカレーは、たしかにお腹には優しくとも、どうしても物足りなさを覚えてしまう、という印象であった。

 だから、店を出た後の書き手は、次に来店する機会があったら、例えば、ミニカレーに塩豚を追加できるかどうか尋ねてみよう、と考えている次第なのである。


〈訪問データ〉

 鉄板居酒屋BelonBelonBooとBarボンド:アキバ・エリア外縁、上野エリア

 A13

 八月十七日・木・十九時四十分

 トマトと玉ねぎのスパイシーミニカレー(五五〇)、幸水梨酒〈ソーダ割〉(六六〇):一二一〇円(クレカ)

 北斗の〈券〉:No.16 マミヤ〈三枚目〉


〈参考資料〉 

 「鉄板居酒屋BelonBelonBooとBarボンド」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2023』、六十四ページ。

〈WEB〉

 『BelonBelonBooとBarボンド』、二〇二三年十月十六日閲覧

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