第43匙 ワイルドだろぉ:神田ナンバー(D08)

 JRの神田駅の東口を出て、「中央通り」と「神田警察通り」を横断すると、その十字路近くの高架下を沿うように細い道が走っている。それが「神田ふれあい通り」で、特に、「鍛冶町郵便局」を起点とした百メートルほどの区域には飲食店がひしめき合っている。

 これらの飲食店の中には、今回の〈スタンプラリー二〇二三〉に参加しているカレー提供店も数多く認められ、この日の正午過ぎに書き手が訪れた「神田ナンバー」もその一つである。位置的に言うと、神田ふれあい通りともう一本の細道が交差している二本の線の接点付近の高架下側、もっと具体的に言うと「日乃屋カレー」の隣だ。


 この章は、昼にしか訪れる事ができない店について語っているので、読み手の方々にとって既に明らかなように、今回、書き手がこの店を平日の正午過ぎに訪れたのは、ここもまた、スタンプ・ラリー参加者にとって難易度が高めの店だからだ。


 神田ナンバーさんの営業時間は、土日不定休で、平日のランチが十二時から十四時(LO)、ディナーが十八時から二十四時(二十三時LO)なので、これだけを見たら、夜深い時間まで営業しているので、いつでも訪れられそうにも思えてしまうのだが、店に関するページには、「カレーはランチのみ。限定20食。 無くなり次第終了となります」と注意書きが書かれており、二時間というランチタイムの営業時間と、提供可能なカレーの皿数を鑑みると、目当てのカレーを食べるのは簡単ではないようだ。


 思うに、昼営業の時間帯に訪店する事は可能だとしても、問題は、仮にラスト・オーダー直前に滑り込んだ場合、〈カレー枯〉の憂き目に遭う可能性が高い事だ。だから、書き手は、開店直後の正午過ぎに店を訪れた次第なのである。


 ところで、神田ナンバーさんは、いわゆる立ち飲み屋で、カレーは夜の客の間で密かな人気メニューなのだが、今回はそれを昼も提供してくれる、との事である。


 店に入って、先ず驚かされたのは、かなり大きな鉢の中にナミナミとカレーが入っていた点で、おそらくこれが、提供可能な二十食分のカレーなのだろう。

 これを見て、書き手はカレーにありつける確信を抱いた。

 ちなみに、辛さに関しては、客の好みに応じて〈ふわ〉っと調整してくれるらしい。

 やがて、提供されたチキンカレーは、とにかく、鶏肉がでかく、かつ、三種の野菜の副菜もドデカかった。


 こう言ってよければ、神田ナンバーさんは、鉢も具材もとにかくワイルドであった。

 

〈訪問データ〉

 神田ナンバー:神田・神田ふれあい通り

 D08

 二〇二三年九月十一日(月)十二時半

 スパイスチキンカレー:一〇〇〇円(現金)


〈参考資料〉

 『公式ガイドブック』、五十六ページ。

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